写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.09.26
コンパクトデジカメのカタログなどで、当たり前に書かれている機能や数字。その、いったい何が、どう良いのか? ということは、誰もが知っているように思えても、本当は意外と知られていません。そんな機能と数字の秘密に、引き続き注目! 前回に続く今回は、コンパクトデジタルカメラを選ぶときに役立つ、仕様書の中の応用的な項目を取り上げて解説します。
前回は、デジカメの外観をよく観察すれば、すぐにわかるような各部品の機能を見てきましたが、今回は、ちょっと難易度が高くなります。ここで紹介する各項目は、カメラ本体には書いていないことなので、仕様書を丁寧に見ていかないと、なかなか気が付きません。カタログに書いてある機種説明の本文や、店頭の展示商品に添えてあるPOP広告だけでは、わかりにくいことでもあるので、できれば買いたいと思う機種の仕様一覧表を、細部まで注意しながら、一つ一つの項目を確認してみてください。表面的な有効画素数や光学ズーム倍率だけでは比較できないところで、高い性能を持っているデジカメもあります。いわゆる初心者向けの機種と、上位クラスの機種を比べる場合などでは、以下の知識を覚えておけば必ず役に立つはずです。
手ブレ補正機能とは、レンズの一部、または画像センサーを物理的に動かすことで、手ブレの振動を打ち消す機能のこと。クルマでいえば、“バネ”にあたる装置です。「補正」というだけあって、同じISO感度で撮影した場合にも、補正機能の「あり/なし」でブレを防ぐ効果に違いが出ます。高倍率ズームレンズを内蔵した機種では、望遠撮影時の開放F値が大きくなるので、シャッター速度の低下に備えて、手ブレ補正機能のある機種を選ぶのが効果的です。これと似て非なる機能として、ブレ軽減機能がありますが、こちらはISO感度を高くする設定を、自動的に行うことで、ブレが発生しにくいシャッター速度を維持するもの。用語としても、こちらは「手ブレ」とか「補正」とは、一言も言っていない点に注目してください。低価格の機種では、この「軽減」機能しか付いていないことがあるので、カタログの文章だけを読んで早合点しないよう、ご注意を。軽減機能は、感度を最高まで上げてもシャッター速度を維持できないほどに被写体が暗い場合は、何の補正もできないままにスローシャッターとなり、ブレは残ります。なお、ズームレンズのワイド側を使うことが多く、なおかつ記念写真などのフラッシュ撮影が大半を占める場合なら、手ブレ補正機能は、あってもなくても、あまり大きな問題にはなりません。
デジタルズームは、CCDなど画像センサーでとらえた像の一部を拡大し、それを規定サイズの画像として記録できる、補助的な機能のこと。仕様書では、デジタルズームのみの倍率として書かれていますが、実際には「光学ズーム倍率×デジタルズーム倍率」で、光学ズームレンズの能力を補って、最大の望遠性能が決まります。ただし、デジタルズームは、画像センサーの最大性能(スペック上の有効画素数)よりも、撮影時の記録画素数が少ない設定のときしか使えません。つまり、有効画素数通りの高画質性能と、デジタルズームの倍率性能は両立しません。デジタルズームの倍率を最も高くしたい場合、言い換えると、光学ズームの分も含めて、理論上で望遠性能を最も高くしたいときには、最低レベルの画素数モードを、あらかじめ選択しておく必要があります。ただし、最低画素数モードの画質では、背面液晶モニターや、普通のテレビ画面での画像再生はできても、鑑賞に耐える画質でのプリントは不可能です。有効1000万画素を超える機種では、デジタルズームを併用しても、ある程度まではプリントの画質レベルを維持できるので、光学ズームレンズの倍率は、あえて低くなっている場合があります。一方で、高倍率ズームレンズ内蔵タイプの機種では、デジタルズームを使わなくても光学レンズだけで十分な望遠効果を得られるため、有効画素数は比較的、低めに設計されている場合があります。
これは、パソコンで言えばCPUのこと。JPEG画像の生成などを受け持つ電算プログラムを、集積回路に詰め込んだ専用チップです。“エンジン”といっても、カメラの中で、何かが燃えて回っているわけではありません。デジカメの有効画素数を決定する条件は、CCDなどの画像センサーだけに限らず、画像処理エンジンの演算性能も、その実力を大きく左右します。レンズの像を受ける画像センサーは、光を色の点としてとらえる微細な素子の集合体にすぎないので、1つ1つの素子が反応して得られた電子的な情報を集約・変換し、JPEG画像1つにまとめ上げるために、画像処理エンジンが必要なのです。よって、画像処理エンジンの演算性能が負けてしまうほどに高画質の画像センサーが、デジカメに搭載されることは絶対にありません。もし、そんなことをしたら、液晶モニターに被写体を表示することさえ、満足にできなくなってしまいます。これを逆に考えると、画像処理エンジンの演算性能が高速化すれば、同時処理できる画素数に余裕が持てるので、結果として、画像センサーの高画質化が進むということになります。実際のところ、画像処理エンジンは、デジカメの年式が新しくなるごとに、少しずつですが進化しています。例えば、10年前の初期型デジカメでは、シャッターボタンを押してから実際に写真が1コマ撮れるまでの間にタイムラグがありましたが、現行機種では、ほぼタイムラグなしで連写することもできます。こうした使い勝手の向上に貢献しているのが、画像処理エンジンの進化なのです。ちなみに、同じメーカーから、同時期に発売された機種であれば、画像処理エンジンだけは、シリーズのどれでも共通であることが多いようです。だから、エントリークラスの機種でも、その能力が著しく劣るということは、デジカメの場合はありません。デジカメの最高感度性能(夜景撮影などの実力)や、暗い部分の自動補正機能、顔認識機能なども、その発展を担っているのは画像処理エンジン。ゆえに、新機種が登場し、なおかつ画像処理エンジンも新タイプに切り替わるというタイミングでは、デジカメの性能は飛躍的に向上します。
撮影した画像のデジタルデータを書き込んで、永続的に保存するための記録媒体は、コンパクト機ではSDメモリーカードが主流。最新機種の場合では、SDよりも大容量のSDHCカードも利用できます。ただし、例外としてオリンパスと富士フイルムではxD-ピクチャーカード、ソニーではメモリースティックデュオ系のカードが、主に使われています。ただし、オリンパスと富士フイルムについては、現行機種ではSD系カードにも対応可能です。(オリンパスではアダプターを介して、マイクロSDカードを使用します。)ちなみに、スマートメディアは現在では使われていないので、10年前の初期型デジカメをお使いの方は、実用性の観点から、現行機種への買い替えをおすすめします。コンパクトフラッシュ(CFカード)は、いまのコンパクトデジカメでは採用されていませんが、デジタル一眼レフの上位機種では利用できます。
最近のコンパクトデジカメには、メモリーカードがなくても、ごく少ないコマ数だけなら、そのまま本体だけで画像を撮影できる機能として、内蔵メモリーが付いています。内蔵メモリーの容量は、機種ごとに違うので、仕様書を見て確認してください。特例として、内蔵メモリーのない機種がありますが、その場合は、メモリーカード1枚が付属している例もあります。また、普通のメモリーカードよりも内蔵メモリーのほうが大容量となる、メモリーカード不要タイプのコンパクトデジタルカメラも登場しています。
液晶モニターは、現行機種では2.5型か、3.0型が多いようです。もちろん、大きければ大きいほど、撮影対象の姿形や、表示された操作ガイドの文字はわかりやすくなりますが、液晶モニターが大きい機種では、その分だけボディ全体も大きくなります。したがって、液晶サイズが大きければそれで良いのかといえば、違う場合もありますから、実際にデジカメを操作してみたときの感覚で、自分自身に合うサイズの液晶モニターが付いている機種を選んでください。なお、液晶モニターの解像度は、画像センサーの解像度(有効画素数)と比べれば、はるかに低画質です。液晶モニターを見ただけでは、実際に撮影した写真の画質を、細部まで確認することは原則としてできないので、本当の画質性能はプリントした後で判断してください。そして、操作を押しボタン式ではなくタッチパネル式としている機種の場合は、液晶モニターが特に大きくなります。液晶モニターの大きさは、バッテリー寿命にも影響するので、実際にカメラを使う状況を考えて、購入機種を選んでください。
ほとんどのコンパクトデジカメでは、液晶モニターがファインダーの役割を果たすので、光学ファインダーはありません。でも、一部の高級タイプなどには、別途、光学ファインダーも付いていて、ユーザーの好みや撮影時の状況によって、液晶モニターと使い分けができます。コンパクト機の光学ファインダーは、一眼レフとは異なる方式で、背面から前面に貫通した穴に、目視確認専用のズームレンズを搭載したものです。昔のフィルム用コンパクトカメラのように、撮影用レンズに対して、ファインダーの視野が近距離でわずかにズレます。この光学ファインダーは、カメラをしっかり構えて撮りたいときなどに利用します。そのとき液晶モニターの表示を停止しておけば、電池の節約にも有効。なお、外観が一眼レフに似ているタイプのコンパクトデジカメでは、ファインダーは光学式ではなく電子ビュー方式が多く採用されています。これを覗くと、内側に小さな液晶画面があります。
マニュアル機能に関しては、「マニュアル」という言葉が、どういう意味で使われているのか、仕様書を読む前に、まず注意する必要があります。ユーザー感情としては、マニュアルといえば、絞りとシャッター速度を任意に設定できる「マニュアル露出機能」だと思うでしょう。しかし、コンパクトデジカメでは、「マニュアル設定」という言葉を、違う意味で使っていることもあります。ISO感度、ホワイトバランス、色調(パラメーター)、被写体別シーン選択、露出補正、フラッシュ発光制御、フォーカス切替(AF解除)などの機能を、カメラ任せのオートではなくて手動設定とする場合、そのすべてについて「マニュアル」という用語が出てくることがあり得るので、単純に露出モードのことだと勘違いしないよう、ご注意ください。コンパクトデジカメの場合、マニュアル露出機能は、まったく搭載していない、プログラムAE専用モデル(被写体に応じたシーン選択のみ対応)のほうが典型的です。一部のマニュアル露出対応機では、撮影モードとして「M(マニュアル)」という選択肢があり、また多くの場合は、「絞り優先」もしくは「シャッター速度優先」の各AE機能も、一緒に付いています。仕様書の撮影モードの項目では、このあたりの記載内容を参考に、マニュアル露出モードが本当にあるかどうか、判断してください。
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