写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.10.31
手持ち撮影時に生じる手ブレを、物理的に打ち消す効果がある「手ブレ補正機能」は、どのメーカーのデジタルカメラにも標準搭載されている、定番のスペックになりました。この機能、一口に手ブレ補正とは言っても、実際にカメラの中で稼動する補正機構には、大きく分けて2通りの仕組みがあります。そして、デジタルカメラのうち、一眼レフタイプの場合は、メーカーによって、採用している補正方式に違いがあります。では、そのどちらを選ぶのが良いか? 実際には、ユーザー個人の好みという以外にも、いろいろな条件が絡むので、機種選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
「手ブレ補正機能」は、発生してしまった後のブレを、物理的に打ち消して、画像には残さないようにしてくれる機能です。これと似て非なるもので、「ブレ軽減機能」(“手ブレ”を“補正”するとは一言も書いていない)があるので、区別してください。両者は、カメラ用語にありがちな、呼び名だけ違う同義語ではなくて、本当に実体からして違うものです。最近のデジカメでは、1台に両方の機能が付いていて、ダブルでブレに対策をとります。ちなみに、「ブレ軽減機能」は、状況に応じて高感度を自動設定し、不要になったら感度が勝手に元に戻る機能のこと。高感度のほうがシャッター速度が速くなるので、結果として、手ブレも被写体ブレも起きにくくなりますが、感度を上げ切ってしまったり、極端に暗い場所で撮影する場合には、ブレ軽減の効果は期待できません。
発生した手ブレを、なかったことにしてくれるほうの「手ブレ補正機能」は、原理としては、レンズの像(入射光)が振動でブレている状態に対して、その振動に応じた動きを、レンズから撮像面に至る、光(像)の通り道に与え続けることで、ブレを解消してしまうもの。ほかのものに例えると、ラーメン屋さんが出前に使う小型バイクの荷台の上に付いている、あの機械と同じような作用を、光に対して与えています。
デジタル一眼レフの場合、「手ブレ補正機能」の実際のやり方には2通りあって、メーカーにより、そのどちらか一方が採用されています。1つはレンズ内蔵方式、もう1つは、カメラボディに内蔵される、画像センサーシフト方式です。いずれも画像の電子処理工程ではなく、撮影以前の光学系をコントロールする点は同じなので、「ブレ軽減機能」や、動画用の「電子式手ブレ補正」に対して、「光学式手ブレ補正」とも呼ばれていますが、メーカーにより、補正機構の搭載位置が異なります。
レンズ内蔵方式では、鏡筒内にあるレンズ群の一部が可動式になっていて、ブレの振動を吸収。一般的な写真撮影用レンズの内側は、虫メガネのように、レンズ1枚だけでできているのではなく、複数の凸レンズや凹レンズなどを組み合わせて、それらレンズ群の全体で、一定の焦点距離となるように設計されています。レンズのカタログで、○群○枚(○の中は数字)という記述がありますが、これは鏡筒の中に入っている、個々の部品レンズの構成と使用枚数を示しています。レンズ内蔵方式の手ブレ補正では、こうしたレンズ群の一部に、ブレ補正の機能を持たせています。
画像センサーシフト方式は、カメラボディ本体の中で、CCDやCMOSなどの画像センサーが搭載されている部分の全体に、ブレ補正機能があります。画像センサーそのものが、振動を打ち消すように、丸ごと上下左右に動くことで、手ブレを解消。こちらの方式では、レンズ側の光学系は動きません。単純に、撮影した後の画像について手ブレを補正するだけなら、どちらの手ブレ補正方式にも優秀な性能があり、実力としての大きな差はありません。
キヤノン、ニコン、シグマ、パナソニック(ライカ)
ソニー、コニカミノルタ、ペンタックス、オリンパス
フォーサーズ(オリンパス・パナソニック・ライカはレンズマウントが共通なので、ボディとレンズの組み合わせを自由に選べます。)
手ブレ補正機能は、いずれの方式であれ、最終的な結果(=写真画像)では同様の効果を見せますが、補正機構が付いている位置が、レンズ側か、本体側かによって、シャッターを切る以前の使い勝手が、微妙に違ってきます。これは、シャッター何段分の低速化に耐えるかという、単なる補正効果の成績とは違う問題。どちらを、より使いやすいと考えるかということは、ユーザー個々人の主観的な判断です。2つの方式それぞれについて、実践での撮影時に受けることになる、ほかの機能への影響を比較してみましょう。
具体例として、パナソニックのデジタル一眼レフでは、手ブレ補正機能のあり・なしのほか、3つの動作モードを選ぶことができます。レンズ内蔵方式による手ブレ補正機能を持つ機種の場合は、他社製品も同様に、手ブレ補正機能のモード切替、または、自動でのモード切替に対応しています。詳しくは、各メーカーのWEBサイトを参照してください。
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