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2008.12.05

【画像記録モードの基本】
JPEGの設定を使いこなすために

デジタルカメラで撮影した画像の記録では、JPEGと呼ばれるファイル形式が基本。全メーカー・全機種が、このJPEG記録を標準の設定としています。ただし、同じJPEGとはいっても、それは、画像を開いて表示するときのデータ形式が同じということ。撮影した時点で、画像をJPEG化するプロセスについては、デジカメの機種それぞれが持つ機能が、結果を左右することになります。今回は、そんなカメラの中でJPEG画像を生成する機能を、写真の用途に合わせて、より効率的に使いこなす方法をガイドします。

なぜ、デジカメはJPEG記録なのか?

JPEGである理由

前回と重なりますが、デジタルカメラが、画像をJPEG形式で記録している理由としては、主に次の2つがあります。

(1)3原色に分光された画素データ群から、階調のある色空間として、1画像をまとめる

(2)1画像のデータ量を少なくして、なるべくコマ数を多く、かつ高速で保存する

ちなみに、色空間とは、モニターで普通に発色できる範囲のことです。

JPEG形式の特徴

JPEGの場合、画像を保存する時点で、画像センサーがとらえた元画像から、データ量を間引きしますが、データ変換は「元画像→JPEG」の一方通行となります。この特徴のため、JPEGデータの保存時には、次のような2つの制約が付きます。

(1)保存時にデータの間引きが良好でなかった場合も、画質を復元できません。

(2)元画像に対する圧縮率(間引きの程度)は、保存前の設定で、自在に加減できます。

圧縮率の指定は、必ず、画像をJPEG保存するより前に行いますが、JPEGの圧縮率が低い(できるだけ圧縮しない)場合は、あまりデータ量が減らないので、比較的、高画質で保存されます。一方で、圧縮率が高い(思い切り圧縮する)場合は、データ量が大幅に減るので、低画質で保存されます(元画像に対して劣化します)。画質を犠牲にする許容度によって、画像1個のデータ量の多少が決まるというわけです。

なお、ここでの圧縮率とは、データを間引く度合いのことで、画像の寸法(縦×横のピクセル面積)が減る「縮小」ではありません。JPEG保存だけでは、圧縮率に応じて画質は変わっても、画像サイズは変わらないので、両者を混同しないように、区別して覚えてください。

デジカメに特有の問題点

デジカメでJPEG画像を保存する場合、パソコンにはない決定的な問題に直面します。それは、まだ元画像がない状態で、先に、圧縮率などの設定を決めておく必要があること。パソコンの場合は、元画像をソフトで開いて画質を見極めた後で、それをコピー保存するときに、画像の用途に応じたJPEG圧縮をかけるわけですが、デジカメの場合は、JPEGの圧縮率を見込みで先に決めてから、レンズを被写体に向けて撮影する流れとなります。したがって、デジカメでは原則として、画像を見た後でJPEGの圧縮率を変えることができません。しかも、JPEG保存後の画質は復元不可、そして、撮影時のシャッターチャンスに2度目はありません。要するに、画質にこだわるにしても、限界はあるわけです。ちなみに、どうしても画像を見てからJPEGの圧縮率を変えたい場合は、デジカメではRAWモードで撮っておいて、後でパソコンを使ってJPEGに変換すれば、目的を果たすことはできます。ただし、これができるのは、基本的には一眼レフタイプだけ。多くのコンパクト機では、JPEG保存の圧縮率を、自分で予測して設定する必要があります。

JPEG形式を使いこなす方法

デジタルカメラのJPEG保存は、撮影と同時に行われ、原則として、データ圧縮前の元画像は残りません。そのため、JPEG保存が担う本来の機能(画質の決定)ではない付帯的なモード設定も、デジカメでは、事前に行うことになります。画像サイズの選択や、ホワイトバランスの設定などを、JPEGで撮る場合は、あらかじめ決めておく必要があるわけです。次は、こうしたモード設定でのポイントを、メニュー項目ごとに見ていきます。

デジタルカメラのモード設定を決めるポイント

記録モードがJPEGの場合、事前に設定するべき項目には、以下のような例があります。設定操作は、背面液晶モニターで、メニュー画面(オプション設定)を表示して、各項目ごとに行ってください。具体的なやり方は、カメラの購入時に付いている取扱い説明書に、必ず書いてあります。

必ず設定する項目=画質(自動セットなし)

「ファイン」や「スタンダード」「ノーマル」などの選択肢から、いずれか一つを必ず選びます。これは、JPEGの圧縮率を変える項目で、選んだ画質に応じて、保存されるデータ量が変わります。抽象的な名称ですが、画質が良いのが「ファイン」、低画質でデータ量が少ないのが「スタンダード」や「ノーマル」。機種によっては、「ファイン」より、さらに画質が上のモードも選べます。使い方としては、写真プリントが目的ならファイン以上、パソコンの画面で見るだけならスタンダードとするのが基本。被写体形状の複雑さや、ユーザー自身の被写体に対する思い入れの強さで、画質を選んでも構いません。低い画質を選ぶのは、画像データ量を節約するのが目的。メモリーカードの容量に余裕があるなら、もちろん「ファイン」で撮ってもOKです。ちなみに、一眼レフの高級機では、JPEG圧縮率の設定方法が、上記の方法と違う場合があります。実際の画像データ量は、JPEG圧縮率だけでなく、被写体や構図などの要因によっても、画像1点ごとに変化するので、ベストの設定は試し撮りで判断してください。

JPEGモードだけで変更できる項目=画像サイズ(自動セットなし)

JPEGモードでは、画像センサーが持つ最高性能としてのピクセル数より少ない画素数で、画像を記録することができます。この項目は、画像の「縮小」を目的としたもの。前述の「画質」(JPEG圧縮率)とは別の設定で、縦×横のピクセル数が変わります。画像サイズは小さく、圧縮率(画質)はファイン以上にすれば、JPEG保存時点での画質劣化を抑えながら、写真の目的に応じた解像度の確保が可能です。画像サイズは、プリントなどの用途に合わせて選ぶのが効率的。プリント時の用紙サイズがそれほど大きくない場合、画像データとしての記録画素数だけが多くても、プリンター側の解像度性能に収まりきらないことがあるので、結局は、データを間引いて縮小状態でプリントしますから、あまり画像サイズ(記録画素数)が大きくてもムダになります。Lサイズでプリントする場合、実は200万画素のデータがあれば理論上は十分なので、この目的だけで使うなら、有効画素数通りの最高設定を選ばなくても問題はありません。また、パソコンのモニターで表示できる画素数は、デジカメの有効画素数より少ないので、スライドショーが目的なら、比較的小さな画像サイズで撮影しても、鑑賞に耐える十分なレベルの解像度は得られます。しかし、大きなサイズで引き伸ばしプリントする可能性もありますから、メモリーカードの消費量と相談しつつ、ほどほどの画像サイズを選んでおくのが現実的でしょう。ちなみに、画像サイズを下げた場合、一眼レフでは単純に全体が縮小されて、記録されるピクセル数が変わるだけですが(部分的なトリミングにはならない)、コンパクトデジカメの場合は、有効画素数と実際の記録画素数の差を利用して、デジタルズームが使えます。有効画素数通りの高画質で撮るなら画像サイズは最高に、デジタルズームを使うなら画像サイズは画質が許す程度に小さくセットするというわけです。

できれば調整したい項目=パラメーター(自動制御可)

JPEG画像は、一旦保存すると、元画像の画質に復元できません。そのため、あらゆる画質設定は、撮影前に指定することとなります。「パラメーター」または「画像仕上げ」と呼ばれる設定も、JPEGモードでは、必ず先に行う必要があります。パラメーターには、コントラスト、彩度、シャープネスなどのメニューがありますが、これらは被写体の種類によって、1つ1つ設定が変わります。ただし、個別設定は煩雑なので、カメラ任せの自動モード(標準モード)を選ぶこともできます。パラメーターは、各項目を数字で設定するだけでなく、「風景用」「夜景用」「夕景用」「人物用」などの候補から選ぶこともできます。そのほかに、「白黒」や「セピア」を選べる機種もあります。なお、パラメーターそのものに露出を補正する働きはないので、撮影モード(露出モード)や、絞りとシャッター速度、ISO感度などの設定は、1コマずつ正確に行いましょう(自動設定可)。パラメーターでは、画像センサーでとらえた生の画素データから、1つの写真画像をまとめるときに、ユーザーの「好み」を聞く役割を果たしています。画像の発色や、被写体の輪郭などの傾向に不満があれば、まずは、このパラメーターを調節してみてください。

精度を追求する設定=ホワイトバランス(自動制御可)

ホワイトバランスも、JPEGで記録する場合は、撮影前に決めておく必要があります。これは、被写体を照らしている光源の色がどうであれ、白いものは白く写すための調整機能です。基本的には、カメラ任せの「自動」で構いませんが、普通のフィルム(ネガ)と同じ発色傾向にするには「太陽光」を、屋内で撮影する場合は「白熱灯」や「蛍光灯」など、その場にある光源に合うモードを選択します。また、白い紙をカメラで実測して、正確なホワイトバランスを取得することもできます。RAWではホワイトバランスの微調整を後回しにできますが、JPEGの場合は、ホワイトバランスを間違えて撮影・記録すると、後の修正処理が意外に面倒なので、手動設定する場合は、正しくセットしておきましょう。マニュアルセットの場合は、撮影場所を移動したときに再セットを忘れないよう、十分な注意と確認をおすすめします。

普及機と高級機で違う設定方法

パラメーターやホワイトバランスの設定方法は、同じメーカーであっても、高級一眼レフの場合と、コンパクト機および普及型一眼レフの場合とで、操作に微妙な違いがあります。被写体別シーン選択機能が、撮影モードの中にあるデジタル一眼レフの普及機などでは、パラメーターの設定がシーン選択に連動。例えば、シーン選択を「風景」とした場合では、自動露出が風景撮影に適した専用プログラムAEとなるだけでなく、パラメーターも連動して「風景用」に自動セットされます。シーン選択機能(および全自動モード)を使う場合は、ホワイトバランスも自動設定に切り替わります。したがって、基本的にシーン選択機能(および全自動モード)だけを使う場合は、パラメーターなどのメニューを、直接操作することはありません。しかし、露出を数値でセットするP・S・A・Mの各モードを選んでいる場合は、パラメーターとホワイトバランスは、露出モードに連動しないので、個別にメニュー画面を表示して、最適なモードを手動セットする必要があります(全自動とプログラムAEは違います)。露出モードにシーン選択機能がない高級機の場合も、パラメーターとホワイトバランス、そして露出制御は別なので、それぞれ1項目ずつセットします(自動制御するモードはあります)。普及機から高級機に買い換えるときは、これら各項目のユーザー設定が必須となるので、このあたりの使い方を重点的に習得して、撮影に役立ててください。

 
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