写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.12.12
35ミリ判といえば、カメラがデジタル化へ方向を変えたとき、もう見切りを付けた規格だと思われているフシがあるかもしれません。しかし、ここ最近になって、デジタル一眼レフでは35ミリ判フルサイズモデルでの新製品が相次ぎ、にわかに、規格として復活する兆しが現れています。また、フィルムカメラも、以前より需要が減ったとはいえ、絶滅したわけではありません。これは要するに、35ミリ判という条件でカメラを選ぶなら、同じ画角に対して、フィルムとデジタルの、どちらでも選べるということです。デジカメのカタログには「35ミリ判換算焦点距離」という用語が、現在でも必ず出ているくらいで、35ミリ判は、まさに比較の基準となる、カメラ全機種のスタンダード。というわけで、いまキタムラで購入できる機種を中心に、35ミリ判カメラの現状をまとめてみたいと思います。
35ミリ判フルサイズとは、実際に写真が写る部分の実効画面が、24×36mmとなるカメラのこと。全幅が35ミリである一般的なフィルムでいえば、両脇に並んで付いている穴の列を除外した、本当に使う部分がこのサイズになります。また、デジタルの場合は、この実効サイズのことを「35ミリ判フルサイズ」と呼んでいます。デジタルでは、規格としての寸法と、35ミリという名称が、必ずしも一致していない点には注意しておいてください。現在、35ミリ判フルサイズで撮影できるカメラには、次のようなものがあります。
キヤノン: EOS-1Ds系、EOS 5D系
ニコン: D3系、D700
ソニー: α900
現行機種では、上記3社が、35ミリ判フルサイズ仕様のデジタル一眼レフを発売しています。キヤノンとニコンでは、プロ仕様のフラッグシップモデルに加えて、それより価格的にお手頃な、中堅モデルもラインアップ。ソニーは、いまのところ1機種のみですが、唯一、ボディ側に手ブレ補正機能を搭載していることが特徴です。このほかに、コンタックスにも「N DIGITAL」(2002年)という35ミリ判モデルがありましたが、このメーカーはカメラ事業から撤退したので、現在では同機はありません。
AFタイプ: キヤノンEOS-1v、ニコンF6
MF専用: ニコンFM10、ライカR9、ケンコーKF系
フィルムで撮影するAF一眼レフについては、キヤノンが2000年発売のフラッグシップ1機種、ニコンが2004年発売のフラッグシップ1機種を継続発売中。同じくMF(マニュアルフォーカス)専用タイプの一眼レフについては、ニコンが1996年発売の1機種を継続発売中。ライカも、高級MF機の発売を続けています。ケンコーは、新たにMF機を発売し、ニコン・ペンタックス・コンタックスの各レンズマウントに対応した機種を用意しています。ただし、現在でもMF一眼レフ用レンズを、現行品として製造しているのは、ニコンとライカだけです。
ライカ、フォクトレンダー、コシナ(ツァイスイコン)などのメーカーが、レンジファインダー式の35ミリ判フィルムカメラを発売しています。いずれも、マニュアルフォーカス方式です。一眼レフではありませんが、レンズは交換可能で、正確なピント合わせができます。これらの機種は、かつて一眼レフ方式のカメラが誕生するよりも以前の時代に流行していた、クラシックカメラのスタイルを受け継いだものです。
フィルムメーカーの富士フイルムが、現在でも、コンパクトカメラ各機種を発売しています。高級タイプの「クラッセ」シリーズ、スタンダードタイプの「ナチュラ」シリーズ。そして、お手軽タイプの「クリアショット」シリーズをラインアップ。このほかにケンコーも、コンパクトカメラを発売しています。ほかのメーカーは、デジカメの普及に呼応して、フィルム用コンパクトカメラの生産を終了しました。ちなみに、コンパクトデジタルカメラでは、現在のところ、35ミリ判フルサイズの機種は存在しません。フィルムカメラでは、このタイプの「高級ではない普通クラスの機種」の需要が、いちばん先に低下しました。理由は、デジタル時代にあって、なおフィルムの描写にこだわりを持つユーザー層は、主に本格的な写真愛好家層だけになったからです。
トイカメラとは、コンパクトカメラの中でも、特に構造が簡素なもので、名前の通り「おもちゃ」のようなカメラです。多くはAF機能さえ持たず、その代わりに、レンズは単焦点の固定焦点式(絞りだけに頼ってピント合わせはしない方式)を内蔵しており、撮影機能や写り具合は、このスペックなりのレベルになります。ただし、トイカメラは、あくまで趣味の道具という位置づけになっている商品なので、ほかのカメラのように、失敗なくきれいに写すことを、さほどユーザーから期待されていません。こういった目的に限定すれば、同じ35ミリ判フィルムが使えるカメラとして、各種のトイカメラも選択候補に入ります。ちなみに、キタムラでは、トイカメラは取り扱っていません。
「写ルンです」「スナップキッズ」などのブランドで知られる、いわゆる“使い捨てカメラ”(実際には部品をリサイクルしています)では、いまでも35ミリ判フィルムが最も多く使われています。また、一部にはAPSフィルムを使う製品もあります。おそらく、将来的に最も存続する可能性が高いフィルムカメラは、このレンズ付きフィルムであろうと思われます。
一眼レフ(AF/MF)
コンパクトカメラ等
中古カメラ市場では、デジカメよりも、まだフィルムカメラのほうに、たくさんの機種が出回っているようです。一眼レフについては、1980年代を境に、それ以前のMF機と、それ以後のAF機に大別されます。AF機の場合、キヤノンEOSとミノルタαであれば、現在のデジタル一眼レフとも、AFレンズの互換性が保たれています。また、コンパクトカメラの中古機種や、「コンパクトカメラ」というジャンルの機種が登場するよりも前の時代に発売された、多様なタイプのフィルムカメラも中古で探すことができます。あえてフィルムで撮影するなら、こうした古い機種を試してみるのも、また写真の楽しみ方の一つでしょう。ちなみに、中古カメラには取扱説明書が付かないことのほうが多いので、初心者の方は、専門の本を自分で購入して勉強するなど、対策をとってください。デジカメしか使ったことがない方には、手動でのフィルム装填などが、少し難しく感じるかもしれません。
デジタルカメラ、特にコンパクトデジカメの画像センサーは、メーカーや年式、グレードなどによって、そのサイズが微妙に変わっています。そのため、使用するズームレンズの、換算しないミリ数(光学上の焦点距離)も、実は、機種ごとに少しずつ違います。「コンパクトデジカメより一眼レフのほうが写りがいい」とか、「デジカメよりもフィルムで撮ったほうがキレイ」といった意見の方も多いようですが、そこで比較されていることは、実は、デジカメとそれ以外のカメラという構造の問題ではなくて、撮像面積が極小サイズか、35ミリ判かということのほうが、より重要なポイントになっている可能性があります。実効画面が35ミリ判フルサイズなら、使うレンズの描写特性も変わるので、結果としては、普通のデジカメの写り方との間に違いは出るでしょう。その場合、35ミリ判で撮った写真は、見る人に対して、概ね好印象を与えているのではないでしょうか。35ミリ判で選べるカメラの種類はたくさんありますから、普段はコンパクトデジカメだけを使っているという方も、興味があれば、いろいろな35ミリ判カメラを、ぜひ試してみてください。また、同じ画面規格で比較すれば、デジタルとフィルムのそれぞれに、持ち味を生かす楽しみ方があることも、きっと発見できるはずです。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。