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写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー

※掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、ページ公開日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

2008.12.19

【保存版・フィルムカメラを使いこなす】
35ミリフィルムリスト・富士フイルム編

デジタルカメラとは、一味違う楽しみがあり、一部のユーザーには根強い人気があるフィルムカメラ。これを使いこなすには、カメラに装填するフィルムの選択が重要です。デジタルカメラでも、パラメーターやホワイトバランスなどで、発色やコントラストの調整を行うことができますが、フィルムカメラでは、これと同様の効果を、フィルムの種類を選ぶことで行っています。フィルムと一口に言っても、実は、その中には多様な製品があるので、その全容をご紹介したいと思います。今回は、富士フイルム編です。

富士フイルム製35ミリ判フィルムのすべて

フィルムカメラでは最も親しまれている、35ミリ判フィルムの現行ラインアップを、タイプ別・感度別に確認してみましょう。一昔前の製品名と、現行の製品名は、リニューアルのため微妙に変わっていますので、経歴の長いベテランの方も、いま一度お確かめください。フィルムの製品名とISO感度は、外箱と、フィルムの筒(パトローネ)に書いてあります。富士フイルム製品は、グリーンのパッケージが目印です。

ちなみに、フィルムは撮影した後に必ず巻き戻し、お店に現像・プリントをオーダーして、そこで初めて見られる状態になります。撮ってすぐにカメラから取り出しても画像が見られないだけでなく、フィルムが感光して使いものにならなくなるので、初めて使う方はご注意ください。(蛇足かもしれませんが、デジカメしか知らないユーザー層が増えているので、念のため。)

ネガフィルム「フジカラー」シリーズ

いわゆる普通のフィルム。「フジカラー」は、正式には富士フイルム製品でも、ネガフィルムだけに付く商品名です。とはいえ、写真に詳しくない方は、「フィルム=ネガ」だと理解されていることが多いと思われます。ネガフィルムは、現像したフィルム上(プリントしていない原版)では、被写体の色が補色に反転して写り、印画紙にプリントすると再び反転して、元の色が得られます。ただし、フィルムそのものにベース色が付いているので、見た目では補色とは少し違う印象があります。なお、フィルムには、ネガタイプ以外にも、後述するような各種類が存在します。

ISO感度100

フィルムの基本となる感度は、ISO100です。フラッシュのガイドナンバーなども、ISO100を基準としています。しかし、店頭で販売されているネガフィルムで、数が多くて最も目につきやすいのはISO400なので、実際にISO100のネガフィルムを使うことは少なくなっていますが、知識としてはISO100を基準に考えたほうが、マニュアル露出の設定などが何かとわかりやすくなります。ISO100のフィルムは、高感度フィルムに比べて粒状性が細かく、極めて画質が良いのが特徴です。

【FUJICOLOR 100】

スタンダードな性能のネガフィルム。日中・屋外での撮影、つまり感度が低くても問題がないような、明るい場所での撮影に向いています。風景撮影などに。

【REALA ACE】

ISO100の高級ネガフィルムです。色再現に優れ、ソフトで豊かな階調が得られます。主に人物撮影で最良の画質・発色となる設計で、そのほかにも、花の撮影などに最適です。室内で撮影する場合でも、発色に蛍光灯の影響を受けにくく、フラッシュ併用時は、よりナチュラルな感じで撮影できます。

ISO感度400

現在、最も使用される機会が多い感度のフィルムです。20年ほど前までは、ISO100が主力だったので、ISO400でも高感度とされましたが(価格も高かった)、現在では、ISO400のネガフィルムが最も広く利用されています。感度が高くなると粒状性が低下する問題も、乳剤技術の発展により、現行製品では粒状性が改良されたので、画質としては昔のISO100フィルムのような感覚で、いろいろな用途に利用できます。

【SUPERIA X-TRA400】

肌色の再現に優れた、ISO400の最新フィルム。露出設定を間違えたときの誤差に対する許容度が広く、気軽に撮影して、高画質が得られます。人物ポートレートや、記念写真などに向いています。

【SUPERIA Venus 400】

ISO400のスタンダードフィルム。従来のISO100と同じレベルの粒状性で、キメの細かな画質が得られます。引き伸ばしプリントにも最適で、発色も鮮やかです。旅行などに最適。

【PRO400】

プロフェッショナルタイプの、ISO400カラーネガフィルムです。ネガのプロ用は、肌色の発色が優れており、写真スタジオなどでの人物撮影に向いています。屋外や、蛍光灯の光での撮影にも対応可能です。ちなみに、ネガを使うプロカメラマンは、人物の本格的な記念写真を撮る、写真館系のいわゆる「写真屋さん」が中心。カメラ雑誌に出てくるような、風景写真系や商業写真系のプロカメラマンとは、少し違います。そのため、プロ用ネガフィルムの多くは、中判・大判カメラ用のサイズを中心とした商品構成で、35ミリ判は、ISO400のこれしかありません。

ISO感度800

ベテランの方には馴染みのない感度ですが、現行製品では、ISO800のネガフィルムもあります。

【SUPERIA Venus 800】

従来のISO400レベルの粒状性で、感度だけアップした、使い勝手の良い高感度フィルム。コンパクトカメラ(フィルム用)など、ズームレンズの絞りが、比較的暗いカメラにベストマッチします。ちなみに、この感度以上のフィルムは、空港の手荷物検査で、X線の影響に対して本気で注意する必要があります。

ISO感度1600

現行のネガフィルムでは、ISO1600が最高感度です。

【NATURA 1600】

暗い場所での撮影に向く、ISO1600の超高感度フィルム。フラッシュを使わないで撮影したい場合に、このフィルムを使用します。屋内スポーツを撮影する場合は、フラッシュを発光しても、観客席からは絶対に光が届きませんから、フィルムカメラであれば、この超高感度フィルムの使用をおすすめします。夜景や天体写真などを撮影する場合にも便利です。

ポジフィルム「フジクローム」シリーズ

ネガフィルムと違って、フィルム上では補色にならず、現像するだけで、そのまま被写体の色が再現されるフィルムです。ネガに対して「ポジ」といいますが、同じ意味で、リバーサルフィルム、スライド用フィルムと呼ばれることもあります。ネガより露出誤差に弱いので撮影(露出設定)は難しくなりますが、より鮮やかな発色を得ることが可能。その特性から、多くの写真愛好家やプロ写真家が、作品を撮るためにポジフィルムを選んでいます。1コマずつカットしてマウントに収めれば、そのままスライドとして上映することも可能です。また、ポジからの印画紙プリントも可。ポジでは、ネガと違って比較的簡単に増感・減感現像ができるので、パッケージに書いてあるISO感度の数字以外でも撮影することができます(増減感では現像オーダー時に指示を忘れないようにご注意ください)。

ISO感度50

ポジフィルムには、ISO50の低感度フィルムがあります。感度が低いほうが、より粒状性が細かくなり、画質重視の撮影ができます。

【ベルビア50】

キメの細かな超微粒子による高画質と、派手な発色が特徴のISO50ポジフィルム。自然風景や花などを、美しく印象的に撮影したい場合に向いています。シャッター速度が遅くなるので、手持ち撮影ではなく、三脚の使用をおすすめします。

ISO感度100

ポジフィルムでは、現在でもISO100が標準で、最も多く利用されています。

【プロビア100F】

富士フイルム製では、最もスタンダードなポジフィルム。ナチュラルな発色傾向で、どのような被写体にも対応できる、優れた汎用性が魅力です。ISO100で撮影できるのはもちろん、増感・減感も可能。一般的に、雑誌や広告といった印刷物の原稿として使う写真には、ネガよりポジフィルムが適しているので、結果として、商業写真系プロカメラマンの多くが、このフィルムを常用に選んでいます。撮影する被写体が、さらに特定できる場合は、以下に挙げる姉妹製品もお使いください。

【アスティア100F】

ベルビアとは、正反対の特性を持つフィルム。鮮やかさとコントラストを抑えて、基本的には、見たままの感じで撮影できる、ISO100のポジフィルムです。超微粒子で画質が良く、ソフトな階調を得ることができます。肌色の再現に優れ、人物撮影に最適。

【ベルビア100】

もともとはISO50だけだったベルビアの特徴を、ISO100に応用したポジフィルムです。色再現が派手めで、コントラストの高い写真が撮れる特性を継承し、さらに発展させた「超・極彩」タイプ。また、感度が比較的高いので、手持ち撮影での使い勝手も良くなっています。花や紅葉、夕焼けといった自然風景を、見た目よりも印象的に演出したいとき、お使いください。フォトコンテストの応募作品などに。

【ベルビア100F】

ISO100に対応した、もう一つのベルビア。名前に「F」が付くこちらの製品は、高彩度・高コントラストでありながらも、それが極端ではなく、より見た目に近い感じの色相で撮影できるのが特徴です。あらゆる被写体で、ベルビアならではの高度な性能を利用できます。

【センシアIII100】

「作品用」の派手な発色とは違う、見た目と同じ、ナチュラルな色再現が特徴のISO100ポジフィルム。適正露出で撮影すれば、被写体の実物に対して、正確で忠実な色再現が得られるため、本来は、医療・学術用途に適したフイルムです。とはいえ、アスティアに近い発色傾向なので、スナップやポートレートなど、人物を撮る場合にも利用できます。なお、このフィルムは、「プロフェッショナル」(印刷原稿用)ではないタイプの製品です。

【トレビ100C】

プロビア100Fに近いスタンダードな発色傾向で、「プロフェッショナル用」ではないタイプのISO100ポジフィルム。フジクローム各製品の中では、アマチュアの方も気軽に使える製品です。価格の安さも魅力。ポジを初めて使う方は、ほかの製品に対する比較の基準を知るためにも、まず最初は、このフィルムから試してみてください。

ISO感度400

ポジは増感できるので、わざわざ高感度フィルムを選ぶ機会は、ネガよりは少なくなりますが、一応、高感度タイプの製品も用意されています。

【プロビア400X】

プロビア100Fの高感度版。従来のISO100レベルの粒状性を保ちつつ、感度を引き上げています。手持ちでの撮影や、動きの激しい被写体を狙う場合などに使うと便利です。

タングステン・ISO感度64

特殊用途用のポジフィルム。普通のポジは、すべてデーライトタイプですが、これはタングステンタイプです。デーライトタイプとは、デジカメのホワイトバランスに例えると、「太陽光」と同じ状態のこと。タングステンタイプは、写真専用の電球光源に最適化されたフィルムで、ホワイトバランスに例えると「白熱灯」に近い状態になっています。デーライトタイプは、白熱灯の光で撮影すると、写真全体が赤っぽくなりますが、タングステンタイプを使うと、白熱灯でも見た目通りの色に再現されます。

【T64】

ISO64でタングステンタイプの屋内撮影専用ポジフィルム。原則として写真専用の電球光源のもとで使いますが、普通の白熱灯の光でも撮影は可能です。屋外で使用するときは、色補正フィルターをレンズ前部に装着して撮影します。

ISO感度5~10

特殊用途用のポジフィルムです。

【CDU II】

デュープリケーティングフィルムというもので、原版のポジフィルムからもう1枚、フィルムとして複製物を作るときに使います。普通の撮影には向きません。なお、このデュープの作成は、自分で行わなくても、キタムラの店頭で注文できます。

白黒フィルム「ネオパン」シリーズ

白黒フィルムは、現在でも発売されています。白黒写真であれば、手作業での現像が、カラー写真よりは比較的簡単にできるので、必要な道具を揃えて、フィルム現像から、印画紙プリント・現像までの全工程を、自分で行うことも可能。そのため、少々、レトロな匂いのある白黒フィルムにも、一定の需要が根強く残っています。自分で薬液を使って現像する写真には、デジタルとは、また一味違った魅力があるものです。白黒フィルムの製品は、ネガタイプだけで、ポジはありません。ちなみに、お店で白黒現像をオーダーすることもできますが、店頭の設備では、カラーネガ以外の処理対応ができないので、お取次ぎになります。

ISO感度100

白黒フィルムでも、標準はISO100です。極めてキメの細かい、粒状性の良さが特徴です。なお、自家現像では、プリントに使う印画紙の標準サイズが、L判ではなく、キャビネ(2L判と同じくらいの大きさ)になることが多いほか、引き伸ばしでのトリミング(部分拡大)も増えるので、フィルムの粒状性が、より重要となります。

【ネオパン 100 ACROS】

白黒フィルムのスタンダード。ISO100として、世界最高レベルの粒状性、シャープネスと、豊かな階調を備えています。あらゆる被写体の撮影に、幅広く対応できます。

【ネオパン SS】

露出誤差に強い白黒フィルム。自分で現像、引き伸ばしプリントする方に、おすすめします。

ISO感度400

粒状性が比較的細かく、実用性に優れた、高感度の白黒フィルムです。

【ネオパン 400 PRESTO】

暗い場所での撮影や、動きの激しい被写体を狙うとき、または、開放F値の暗いズームレンズを使う場合などに向いている白黒フィルムです。表示感度はISO400ですが、現像するときに増感処理を行えば、撮影時の感度を800~3200に上げることができます。

ISO感度1600

最高感度の白黒フィルムは、ISO1600です。

【ネオパン 1600 Super PRESTO】

普通に現像するとISO1600ですが、現像処理によって、感度を800~3200の範囲で選ぶことができます。この点は「ネオパン 400 PRESTO」と同じですが、高感度時の粒状性などについては、こちらのほうが高画質です。暗い場所で撮ることが最初からわかっているときは、こちらのフィルムで撮影してください。

 
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