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2009.02.06
デジタル一眼レフには、売上台数で人気ダントツの普及機と、機能性重視の中級機・高級機があります。こうしたグレードの違いは、そのまま価格の違いにも反映されていますが、具体的に、どこがどう違うのか? 今回は、一眼レフカメラで実際に撮影するとき、そのグレード次第で使い勝手が左右されるポイントを、部品・機能別に解説したいと思います。
一眼レフの高級機・中級機と普及機について、違いを一言で表現すれば、搭載している部品の「質的レベル」です。この違いを知るには、カメラの仕様一覧を確認すれば、一目瞭然。以下に挙げる項目が、購入を計画している機種ではどうなっているか、じっくり見てみてください。
最近の機種では、高級機はCMOS、普及機はCCDを使うことが多くなっています。ただし、キヤノンEOSだけは、フラッグシップの超高級機から、“末っ子”の普及機までCMOSを採用しています。CMOSのほうが、画素の消費電力が少ないほか、点光源を撮影したときにスミア(白とびした光線引き)が生じにくいなどの特徴があります。なお、メーカーごとに、画像センサーの設計は微妙に違っていて、各社それぞれ違った名前を付けている例も多いようです。
一般的には、高級機のほうが多く、普及機ほど少なくなります。また、CMOSとCCDを比較すると、画像センサーのサイズが同じ場合、CMOSの有効画素数が多いことが普通です。これは、消費電力が少なくて済むCMOSのほうが、画素数の増量に有利だからとみられます。ただし、発売開始の日付が古い高級機と、その日付が新しい普及機が、同時期に継続販売されている場合、高級機の有効画素数が相対的に低くなり、短期的に逆転現象が起こることもあります。また、画像センサーのサイズによっても、有効画素数は変わります。ちなみに、有効画素数が多いということは、1画像当たりの記録データが重いということです。
大きく分けて、APS-Cサイズと、35ミリ判フルサイズがあり、小さいほうがAPS-Cサイズ。35ミリ判フルサイズでは、フィルムカメラの実効面積と同じサイズで撮影できます。普及機は、APS-Cサイズが中心。高級機では、ここ最近になって、35ミリ判フルサイズの採用例が多くなりました。中級機については、製品ラインアップの関係で、実質的には両方のサイズを選べる状態にあります。このほかに、フォーサーズなど、特定メーカーだけが採用している、デジタル専用の規格もあります。なお、画像センサーのサイズが変わると、装着して使う交換レンズの種類も変わります。そのため、APS-Cサイズの機種では、デジタル専用というレンズが用意され、ボディ・レンズの両方を合わせた小型・軽量化にも貢献しました。APS-Cサイズなどの小さい規格の場合、光学上の焦点距離よりもアップに引き寄せたように画角が狭く写るので、ファインダーを覗いたときの感覚は、レンズに表示されている数字のミリ数に、一定の倍率(機種ごとに異なる)をかけて、「35ミリ判換算焦点距離」で判断します。焦点距離の“ミリ”(mm=広角や望遠の違い)と、「35ミリ判」の“ミリ”(=撮像規格の名称)が混乱しないよう、用語に注意してください。
一眼レフの場合、ファインダーの性能評価で特に重要なのは、接眼部分ではなくて、内側に搭載されている、像の向きを切り替える部品のほう。ボディ中央にある、突起部の内側のことです。カメラ内部で、ミラーを経由して、一旦、上向きにされた像を、ファインダーで正立像として見えるようにする仕組みが、どのようになっているかで、高級機と普及機に違いが出ます。このファインダー部品には、プリズム式とミラー式があり、高級機・中級機ではプリズム式、普及機ではミラー式を採用。普及機に多いミラー式は、複数のミラーを合わせ鏡にすることで、プリズムの効果を代用。プリズム式のほうが、光の向きを変えるときのズレが生じにくく、光学的な像の精度が変わらないため、目視でマニュアルフォーカスを使用したとき、より正確にピントを合わせやすくなります。ただし、プリズムは中身が詰まったガラスで、一方のミラーは中身が空洞。プリズムのほうが、どうしても重くなってしまうのです。したがって、普及機ではAFでの使用を前提として、ファインダー部品には、ボディを軽量化しやすいミラー式を採用することが通例となっています。初心者の方は、一眼レフでも、フルオートで使える軽いカメラを好むので、普及機ではこのような設計になっているというわけ。なお、一眼レフのAFセンサーは、ファインダーとは違う場所(ミラーの下)に搭載されているので、ファインダーの種類とAFの精度は、まったく関係がありません。
測距点の数に、大きな違いがあります。高級機のほうが多く、普及機のほうが少ないのが普通です。
主にプログラムAEモードで使う、分割系測光の精度(ファインダーの視野を分割した数)が、違う場合があります。ただし、その違いは、フラッグシップクラスの超高級機と、それ以外に大別され、中級機と普及機では、さほど変わらないというメーカーも多いようです。なお、測光モードを、中央部重点平均測光や、スポット測光に切り替えて撮影する場合は、カメラのグレードがどうであれ、測光性能の差はほとんどありません。つまり、コスト対効果で考えるなら、超高級機は、自動露出で使うべきということになります。
普及機には、被写体別に絵文字で自動露出モードを選べる、シーン選択機能が必ず付いています。一方、高級機には、この機能がなくて、基本4モードからの選択。つまり、絞りとシャッター速度の、数値的な関係を十分に理解していないと、高級機を使いこなすのは難しくなってしまいます。中級機の場合、中の上は高級機に、中の下は普及機(シーン選択付き)に準じた、露出モードを採用しています。
ISO感度を調整できる点は、どのグレードでも同じですが、調整のステップは、普及機よりも高級機のほうが細かくなっています。そのほか、高級機では設定感度の上限と下限にも余裕があり、ISO感度を、より自由に選択可能です。
設定可能な上限のシャッター速度が、普及機では1/4000秒、高級機・中級機では1/8000秒となっていることが普通です。また、フラッシュ撮影時に、フル発光する場合の同調速度(上限)についても、高級機・中級機のほうが高速で、1/250秒以上となるように設計されています。普及機では、速くても1/200秒くらいです。逆光時の屋外撮影でフラッシュを使いたい場合などに、高級機・中級機を選ぶと威力を発揮します。
シャッター速度の設定では、いずれの機種も、シャッターボタンの近くにあるメインダイヤルの操作で行いますが、マニュアル露出で撮影する場合の、絞り値の設定操作だけは、普及機と高級機・中級機で大きく変わります。普及機では、ボディ後ろ側の上部にある、絞り設定ボタン(露出補正ボタンと兼用)を押しながらメインダイヤルを操作、高級機・中級機ではボディ背面部にある、独立機能のサブダイヤルを使います。マニュアル露出での撮影が多い場合、なるべくなら上位機種のほうが、ユーザー心理としては快適に撮影できます。
1秒間に連続して何コマ撮れるか? という連写性能は、高級機のほうがダンゼン上です。また、高級機と普及機で、秒間撮影コマ数が同じ場合は、そのスピードを維持して連続記録できるコマ数の多さという点で、高級機のほうが有利です。ちなみに、コンパクトデジカメの場合、記録画素数を下げて連写速度を稼ぎますが、一眼レフの場合は、基本的には画素数を下げずに、シャッター機構と画像処理エンジンの連携だけで、高速連続撮影に対応します。
高級機には、内蔵フラッシュがありません。普及機には、小型フラッシュが必ずボディに内蔵されていますが、中級機の場合は、機種によりさまざまです。フラッシュについては、必ずカメラの仕様一覧で、搭載の有無をお確かめください。なお、どのグレードの機種でも、外付けフラッシュは使えます。
デジタル一眼レフのライブビューに関しては、特に新しい機能なので、機種のグレードよりも、発売開始時期によって、搭載の有無が決まるのが現在の状況です。これも、仕様一覧を見て、確認してください。
モニター画面のサイズに関しては、機種のグレードによる違いは、さほど大きくありません。ただし、モニターで再生できる画質だけは違う場合があり、最近の機種では、高級機のほうが、より画素数の多い(画像のドットが細かい)液晶モニターを使っている例があります。
カメラの各種設定や、絞り・シャッター速度、露出補正などの撮影データを集中表示するための画面は、高級機の場合、ボディ背面の液晶モニターとは別にあり、独立したものが採用されています。その表示パネルが搭載されている位置は、ボディ上面の右側です。普及機の場合は、撮影した画像の確認に使う背面の液晶モニターで、各種データ表示も兼用する方式になっています。
高級機・中級機では、デジタル一眼レフが誕生した当初から、CFカードの使用を続けています。しかし、最近の普及機では、コンパクトデジカメと同じ、SD系のメモリーカードを使う例も増えています。このほかに、オリンパスでは、xD-ピクチャーカードも採用しています。多くの場合、デジタル一眼レフの現行機種間で、普及機から上位機種に買い替えるときには、メモリーカードも、改めて買い直す必要があります。ちなみに、コンパクト機から、同じメーカーの普及型デジタル一眼レフへ買い替え・買い増しする条件では、通例、既に持っているメモリーカードを流用できることが多いようです。
一般的に、グレードが上がるほど、カメラ本体は重くなります。これは、高級になるほど搭載部品が増えて、しかも上質になり、さらにボディ外装の素材も頑丈なものが使われるからです。また、高級機で使うべきレンズは、やはり重くなります。こうした点を考慮すると、大きさ・軽さだけが条件なら、普及機のほうに強みがありそうです。しかし、ファインダーをミラー式にしたり、サブダイヤルを付けないなど、普及機では、ボディを軽く作るために省略された機能も多いことは、一応、覚えておいてください。
フラッグシップクラスの高級機は、報道系のプロカメラマンも常用するので、少々の雨の中で撮影しても、内部に浸水して壊れたりしないようにできています。普及機の防滴性能は、これほどまでは高くありませんから、なるべく丁寧に扱ってください。
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