写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2009.06.26
今回の話は、カメラを買う前に撮りたいものが決まっている方には、特に必要がないので、パスしていただいても構いません。しかし、「カメラを買ったのはいいけれど、さて、それで何を撮ろうか?」と迷う人も、意外に多いものなのです。というと、カメラ・写真が趣味ではない一般の人にとっては、少々、意味不明な感じがするでしょう? でも、まず先に、「カメラ・写真」という漠然とした“趣味の世界”(?)があることを大前提に、そこへ“入門”しようと思う人もいるので、その場合は、カメラを買ったけれど、具体的に撮りたいものが見つからないということが、わりとよくあるのです。そこで、ちょっとばかり感じる、本末転倒な気分は横に置いて、被写体の見つけ方を、実践的に考えてみたいと思います。
カメラ雑誌や、写真愛好家のブログなどを見ていると、風景写真が出てくる頻度が高いので、趣味の写真というと、必ず「自然風景」を撮るものだと思い込む初心者の方も、多いのではないかと思います。もちろん、(カメラを持っていないときでも)自然風景を眺めるのが好きだというのなら、どうぞ存分に、自然風景の撮影を楽しんでください。しかし、風景を撮ることは、決して義務ではないので、もともと自然風景にあまり興味がない方には、ほかのものを選ぶ自由もあります。被写体は、それこそ自分自身の「趣味」に合うように、主観的に探していただければOK! もともと見るだけでも興味があるものを撮れば、それで良いのです。とはいえ最初は、作品とかフォトコンテストということは考えず、まずは普通に、家族や友人との記念写真(人物写真)を撮るところから、始めることをおすすめします。なぜなら、カメラの自動露出は、いわゆる記念撮影のときに、最も高い性能を発揮するようにできているからです。そして、機材の使い方が、ある程度わかってきたところで、趣味として何かライフワーク的な撮影対象を探したいという場合は、下記の発想法を参考にしてください。
世の中には、森羅万象、いろいろなものがあります。その中で、姿や形があるものは、とりあえず何でも写真には写ります。ただし、撮った写真を誰かに見せることを考えると、言葉で説明したときに理解できる範囲から、撮影対象を選んだほうが、何かと合理的ではあります。このように考えると、小学校や中学校の授業で使った教科書にある「科目(教科)」の種類を基準に、自分自身にとって向いていると思う分野を選んでみるのが、被写体の適性を見つけるためには、わりと手っ取り早いでしょう。そこから、さらに具体的な候補を考えて、被写体を絞り込んでいけば、自分が撮るべきものを見つけられます。
いろいろな科目別に、実生活で関係のありそうな被写体を挙げてみました。学生時代、自分が得意だった科目を思い出して、そこから関心のある被写体を考えてみてください。
小説・随筆などの文学作品で、舞台として描かれている場所を訪ねて、風景や史跡を撮影。参考例として、日本経済新聞の土曜日夕刊に、日経の写真記者が小説の舞台を風景写真で紹介する、続きもののコーナーがあるので、機会があったらご覧ください。
人工的に設計されて作られたものには、必ず、算数・数学の理論が応用されています。建築物や、ダムなどの土木構造物、高速道路、空港なども、みな数学的に合理性のある「なんとかの定理」に基いた設計が、機能美を作り出しているわけです。そういったものを撮影対象に選ぶのも、また、面白いかもしれません。
理科には、物理・化学・生物・地学などがありますが、最も写真に撮りやすいのは、生物でしょう。犬やネコなどのペット、動物園にいる大型動物や、昆虫、爬虫類、両生類、それから花や植物などは、写真の被写体としても定番です。そして、天体観測や、雲の観察、地層の断面の観察なども、深く知れば面白いかもしれません。ちなみに、夏の風物である花火も、構造的には物理や化学の考え方が応用されています。そして、写真そのものも、フィルムを使えば化学です。写真映像は、それがメディアとして流通できている状態があることを前提に、ニュースや、資料、芸術表現などの用途として活用できるわけですが、写真そのものを存在させているものは、あくまでも光学と化学なので、写真の本質は「科学」ということになります。フォトコンテストや写真展などに、あまり関心がない方は、この「理科」「科学」の周辺で、被写体を探すのが良いのでは?
社会科は、地理・歴史・公民の3分野。地理は、そのまま旅行なので、いろいろな地域の景勝地、名物、伝統工芸、地場産業、風習、お祭り、それから、鉄道、飛行機など、いろいろと撮影できるものがあります。そして、歴史の舞台や、城跡、神社仏閣など、歴史上の人物と関係が深い場所を訪ねることも、趣味の一分野として確立されています。これだけたくさんの撮影対象があれば、撮るものが見つからずに困ることはありません。
語学は、つまり異文化への関心です。海外旅行に行くと、あらゆるものに日本との違いがあるので、写真に撮りたいものも、たくさん見つかると思います。ただし、その場所に、カメラを持った日本人が来ること自体が珍しい場合もあるので、生活慣習や宗教の違い、それから治安にも十分に配慮して、撮影してください。海外では、新聞記者以外はカメラを持っていないような地域もたくさんあって、写真が趣味という日本国内の感覚が理解されないことも、あり得ます。
写真を「作品」と考えるなら、これが王道。絵画にある風景画や人物画の応用で、風景写真や人物写真(ポートレート)の撮影が楽しめます。フォトコンテストの応募作品を撮ることも、美術・図工が得意だった人なら、すぐに適応できるでしょう。逆に言うと、美術・図工が嫌いだった人は、景色の写真を撮ってフォトコンテストに応募するというカメラの使い方には馴染みにくい場合があるので、それ以外の楽しみ方を探したほうが面白くなるかもしれません。すでにカメラに飽きてきた方も、この項目以外を参考に。考え方としては、美術関係以外のほうが、被写体の数は多いのですから。
学校の音楽科目とは、ちょっと違いますが、アイドルタレントの追っかけも、一部のカメラユーザーには定番の被写体でしょう。ただし、コンサートなどのイベントは撮影禁止(カメラ持ち込み禁止)の場合が多いので、その点は、マナーを守って楽しんでください。そのほか、三味線や和太鼓といった郷土芸能や、舞踊なども、音楽に関係があります。
いまどきは、「ラー写」が、王道でしょう。ラーメンに限らず、食べ歩きの戦果を、デジカメ写真に記録することが、最近では新しい文化として定着しています。写真で芸術作品を表現するという感覚が、あまりよく理解できない人でも、「ラー写」がメインなら、カメラを存分に活用して楽しめます。自分で料理する人は、自慢の一品や、デコレーションに凝ったお弁当を、記念に撮っておくのもいいですね。
鉄道や自動車は、定番。最近は、産業遺産や工場風景などを鑑賞する、新しい文化も芽生え始めたようです。また、工場見学も人気があるようです。ただし、工場内は撮影を禁止していることがあるので、係の方の指示やマナーを守って撮影しましょう。
やはり、スポーツ競技の記録写真がピッタリ。競技スポーツを撮るなら、そのルールを知っていたほうが、試合の流れを読めるので、撮影しやすくなります。それから、最近は潜水対応のデジカメが数多く発売されたので、水泳やダイビングの機会に撮影を楽しむのも良いでしょう。なお、本格的なダイビングを行う場合は、講習を受けてライセンスを取得する必要があるので、水中撮影そのものがスポーツになります。
道徳科目が好きだった人は、社会問題に迫ったルポルタージュなどに、関心が高いのではないでしょうか? ただし、個人の趣味でできることと、プロのジャーナリストにしかできないことがあるので、その点は、十分に考慮してください。一般人が、気軽な観光目的で海外の紛争地域に行ったりすると、国内外の関係者に多大な迷惑をかけることもありますから、ご注意を。
関心のある分野が見つかったら、具体的に、「自分は、どこへ、何を撮りに行くか?」と、考えてみましょう。その場合は、まず、いくつかの実現できそうな候補を挙げた上で、実際に、その被写体がある場所まで行けるかどうかを判断します。自分自身のスケジュール調整や、現地へ行って、滞在するときに必要なおカネなども検討してみてください。時間やおカネの事情が許さなければ、近所や家の中で撮影できるものを選びましょう。そのあとは、普通の外出や旅行と、まったく同じ手続きです。出かけるときは、カメラを忘れずに!
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。