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2009.07.24

【日食観察のまとめ方】
記録写真を資料としてレポートに使う方法

7月22日の皆既日食または部分日食は、いかがでしたか? 写真の撮影は、うまくいったでしょうか。学生さんにとっては、ひとまず観測ができていれば、宿題の自由研究のネタは揃いましたね。しかし、すでに夏休みに入っているので、学校で先生に会って相談する機会がないですから、レポートのまとめ方がわからないという学生さんも、いるのではないかと思います。そこで、せっかく撮った日食の写真を、自由研究のレポートにまとめる方法も、一通りガイドしておきましょう。ただし、キタムラは塾ではなくて、あくまで写真屋ですから、撮影した記録写真の扱い方を中心に、ご説明したいと思います。今回の話、学生ではない方には、ほとんど関係ありませんが、ご家族や知りあいの学生さんに、宿題のやり方を質問されたときにでも、参考にしてください。

用意するもの

レポート用紙と筆記用具、自分で今回の日食を撮影した写真のプリント、写真を紙に貼り付ける接着剤や両面テープ、それと参考文献や、最近の新聞から切り抜いた、日食の話題に関する記事などの資料を用意しておきます。それから、レポート用紙を最後に綴じ込むための、ホチキスが必要です。

レポートの文章を書くとき、手書きではなくてパソコンを使うなら、ワープロソフトと文書用プリンター(インクも)、そして、印刷用紙(A4やB5などの普通紙)を用意しておいてください。

ここでは、印画紙の写真プリントを、接着剤などを使用して紙に貼り付ける方法で説明します。このほか、デジタルカメラの場合は、JPEG画像のデータをワープロ文書の中に取り込んで、ダイレクトにレポート文書を仕上げるのも良いでしょう(後から写真プリントを貼る作業がない方法)。どちらでも、やりやすいほうを選んでください。

ちなみに、ここでは、自由研究の宿題が「理科」の科目から出ていることを前提に、話を進めています。ほかの科目扱いで自由研究の課題が出ている場合は、今回の日食について記録した部分以外の項目に書く内容が、微妙に変わってきますので、必要に応じてアレンジしてください。

今回の日食について事実を伝える(ここで写真を使う)

今回7月22日に、「日食」という天文現象があった事実を、最初に書きましょう。自分で日食の写真を撮影できた場合は、ここで、その記録写真を使います。まずは、必要な写真をプリントしましょう。プリントの作成方法は、キタムラのお店プリント、ネットプリント、家庭用プリンターなど、何でもOKです。

写真プリントを用意したら、その写真を撮影した正確な時刻と、撮影した場所を調べてレポートに書きます。撮影時刻は、デジカメの背面液晶モニターで画像を再生すれば、簡単にわかります。また、デジカメを買ったとき、一緒に付いているCD-ROMの中に入っている画像管理ソフトを使って再生する方法でも、正確な撮影時刻を知ることができます。

ところで、日食の写真を、あまり上手に撮影できなかった場合は、なんとか写った写真を参考にして、日食のスケッチ(絵)を描く方法もあります。手描きのスケッチは、専門的な天文学の学術研究でも使われている立派な記録手段の一つなので、単なる間に合わせではありません。

こうして用意した写真プリント(またはスケッチ)は、レポート用紙に貼り付けて、その写真のすぐ下に、撮影した日付と時刻、観測した場所などの説明を書いておきます。このような写真説明のための記述を、「キャプション」といいます。

撮影できた写真の枚数は、観測場所の天候などによって微妙に変わると思いますが、記録写真としての扱い方は、次のようにしてください。

撮影した記録写真が少ない場合

よく撮れている日食の写真を選んで、プリントして使います。レポート用紙に貼るなら、LサイズかKGサイズ(ハガキ大のサイズ)がおすすめ。大きすぎると、はみ出してしまいます。

撮影に使ったレンズの焦点距離によっては、写真の画面全体に対して、日食の太陽が小さく写っていると思いますが、その場合は、「トリミング」することで、太陽の部分だけ抜き出して大きくプリントできます。「トリミング」とは、画像の一部分を残して、それ以外の余分なところを切り捨てること。日食の場合、太陽の周辺だけを残した画像を、Lサイズなどにプリントすれば、結果としては、太陽だけ望遠レンズで撮ったようになります。

デジカメを使って、有効1000万画素で撮った場合、トリミングした後に残る画像が200万画素以上になっていれば、Lサイズプリントでの画質劣化は、ほとんど気になりません。こうしてできた日食の写真には、正確な撮影時刻と観測場所を書き添えておきましょう。レポート用紙などに写真プリントを貼る場合は、写真専用の接着剤か、両面テープを使います。

撮影した記録写真が多い場合(一定の時間的間隔をおいて連続的に撮影した場合など)

日食を、欠け始めから欠け終わりまで、通して観測・撮影した場合は、時間を追って写真を並べることで、欠け具合の変化を示すことができます。撮影時のタイミングが、5分おき、10分おきなど一定間隔になるように写真を用意できたなら、その写真を全部プリントして、時間軸に沿って並べることにより、コマ落としのアニメーションのように、その推移を知ることができます。

写真をプリントしたとき、太陽以外の余分な背景が多い場合は、カッターやハサミなどで印画紙を直にカットしてから並べても可。その場合は、切った後の写真の寸法を、複数の写真の全部について、なるべく揃えるのが、キレイに見せるコツです。

デジカメで撮影した写真であれば、まずトリミングした後でプリントすることも可能。トリミングは、デジタルカメラの付属CD-ROMに入っているソフトを使ってできますが、よくわからない場合は、近所にあるキタムラのお店で聞いてください。

観測・撮影方法を示す

今回の日食を観測した方法についても、詳しく書いておきましょう。コツは、次に日食を見る機会があったときに、観測のやり方が、読んでわかる程度には、細かく丁寧に書いておくこと。写真を撮影した場合は、カメラ・レンズ・フィルターなどの機材名と、露出設定やISO感度などの撮影データを記録します。デジタルカメラなら、画像のExifデータを全部転記しておけば良いでしょう。

天文台の観測会などに参加した場合は、その観測場所の地名や、そこで使った(見学した)観測機材についても書いておきます。できれば、観測に使った道具を写真に撮ってあると、より参考になりそうです。

ちなみに、観測途中で天気が悪くなってしまったときは、当日の気象概況を新聞記事や、インターネットなどから切り抜いて、レポートに付けておけば、正当な言い訳になります。「観測は、さぼってないですよ~!」と、アピールしたい場合にどうぞ。

新聞記事や天文雑誌の記事と比べる

日食は、観測する地域によって、太陽の欠け具合(食分)が違います。自分が見たり写真に撮った日食が、どのくらい欠けていたか、資料を参照して比べてみましょう。一般の新聞や、天文の専門雑誌などを見れば、日本国内各地の日食の予報が掲載された記事が出ているはずなので、そういった資料をコピーして用意します。

新聞や雑誌の記事が見つけられない場合は、近くにある公立図書館などで探してみましょう。国立天文台や、望遠鏡メーカーなどのホームページにも参考情報が載っています。図書館では、必要な資料について、著作権の法律に触れない範囲で、コピーをとることができます。

新聞・雑誌のコピーや、ホームページのプリントアウトを資料としてレポートに貼り付ける場合は、その引用する資料の出典元(新聞・雑誌・ホームページなどの名称と刊行の日付)を、忘れずに明記しましょう。文献をコピーするときに、そのコピーした新聞や雑誌、書籍などの名称や日付といった情報を必ずメモすれば、後で困らずに済みます。そして、ホームページを参考資料とする場合は、サイト・ページの名前(タイトル)だけでなく、URL(アドレス)も控えておくこと。こうしておけば、後で同じページを見たいとき、間違わずにアクセスできます。

日食という天文現象についてまとめる

今回、自分が見た日食は、そう呼ばれる天文現象の中では、あくまで、たくさんある見え方の1パターンにすぎません。たまたま自分が見たものだけで、日食のことが、すべてわかったというわけではないのです。だから、今回の観測を通じて知った、日食という天文現象について、より深く考察した知識についても触れておきましょう。日食についての全般的な知識は、天文関係の図鑑やホームページなどを見れば、載っています。ここの項目でも、参考にした本の名前(出典元)を、一緒に書き添えておきましょう。

「日食」とは何か? という定義を書く

いま、ここで答を書いてしまうと、単なる“宿題のネタ帳”になってしまうので、図鑑などを見て、日食の定義を、自分で調べてみてください。自由研究の成果を、勉強として役立てるためには、ここが最重要ポイント。これがなければ、ただの絵日記です。

「日食」の種類について書く

今回の日食は、日本では離島と海上だけが皆既食になったので、ほとんどの人は、部分日食だけを見たはずです。部分日食以外には、どのような日食があるのか、調べてみましょう。同じ日付の日食であっても、観測場所によって、それぞれ見え方(欠け方)が違うことがわかると思います。

まとめと感想・考察を書く

日食を見て、どう思ったか、どんなところに興味を持ったか、といった感想を、最後に書いておきましょう。日食そのものよりも、観測・撮影機材に興味があったという場合でも、それはそれでOK。天体や宇宙に関心を持つきっかけになったのなら、大きな収穫です。次の日食がいつ起きるかわかったら、それも調べて書いておきましょう。なお、自由研究の宿題が出た科目が「理科」ではない場合、ここは、多少、違った内容に変わるはずです。

ここまでたどり着いたら、自由研究の宿題は、だいたい完成! 「日食」をテーマとした自由研究の場合、日食当日の観測をしっかりやってあるなら、宿題は2日もあれば終わるのでは? あとは思う存分、8月31日まで夏休みを遊び倒してください。思い出になる写真も、たくさん撮ってくださいね。

書き上げたレポートは、用紙数枚になっていると思いますが、バラバラにならないようにホチキスでとめて仕上げましょう。それと、提出物には自分の名前を書くのも忘れずに。

 
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