写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2009.08.07
「店頭にあるデジカメが多すぎて、どれを選んでいいのか、さっぱりわからない。。。!」 カメラに詳しくない人にとって(実際、そういう方のほうがユーザー人口としては多いでしょう)、機能を比較してカメラを選ぶのは、とても難しいことだと思います。文字や数字で書いてある仕様一覧から、実際に写真を撮ったときどうなるか? と想像して機能を理解するには、相当な実践経験が必要なはずですから。だからといって、何だかわからないまま、単純に「値段が安ければ、安いほど良いのだろう」とだけ考えると、実際に使い始めた後で不満を残してしまうこともあるもの。というわけで今回は、いくつかの要点を押さえて、機能中心の視点からデジカメを探す方法をガイドします。
カメラを売っているメーカーや店舗の宣伝では、「キレイな写真を誰にでも簡単に」というフレーズが、ほぼ必ず出てきます。一方で、専門のカメラ雑誌を読むと、「自然風景を“作品”として撮ることを楽しむ」というニュアンスの記事が大半を占めていて、「写真は撮る人それぞれの感性で、独自に表現するものだ」といわれています。この2つの主張を、一元的につなげて、まとまったものだと受け取ると、当然ながら、初心者の方(カメラに詳しくない一般の人)は、矛盾するように思うことでしょう。
しかし、実は、この2つは、それぞれに別の考え方。カメラの販売促進で言っているのは、機材としての最新カメラ製品の便利さであり、カメラ雑誌が言っているのは、撮影した後の結果として、印画紙にプリントされた「写真」から、見る人が感じる芸術作品としての魅力のことです。だから、それぞれを別のものとして受け取れば、混乱することはありません。
ということで、まず注目してほしいのは、あなた自身がカメラを使うとき、それで「芸術作品を撮る」という意識があるかどうかです。より具体的に言えば、撮影する対象の大部分が、自然景観などの風景写真になるのかどうか? ここで、カメラを使うときに芸術表現ではなく、ごく普通に人物の記念写真や、メモ帳的にネタ見せするための記録写真を撮るという用途を選ぶ場合は、「芸術作品」という意識から自分自身の考え方を解放しましょう。そうすると、初心者の方にとっても、カメラ選びは、とてもシンプルになります。写真歴の長いベテラン写真愛好家やプロ写真家と、ごく普通の一般カメラユーザー(消費者)では、カメラ選びの哲学がまったく違うことがあるので、まずは基本的な考え方を、自分で決めることが重要です。そうでなければ、専門家に相談しても、的外れなアドバイスが返ってきてしまいますから。
しかし、「誰にでも簡単でわかりやすいこと」は、別の立場の人にとっては、「誰が撮っても同じになる、単純でつまらないこと」と言えるのかもしれません。だから、あなた自身が、これからカメラを持つときの使い道を予想して、記念写真や記録写真なのか、それとも芸術作品の表現なのかという点を、まず判断してみてください。それだけで、選ぶべきカメラの種類が、大きく変わります。
この項目で考えることは、カメラの操作を、カメラ任せのオート中心(AFと自動露出)で使うのか、それとも、自分自身の判断で数値を設定して、マニュアル中心(MFとマニュアル露出)で使うのか? 現行機種の場合、どの製品でもフルオートモードは付いていますが、レンズの光学性能と、画像処理エンジンの世代が同じ条件なら、フルオートモードで撮影した場合の写り具合は、上級機でも普及機でも大差がありません。
最も違うところは、ユーザー設定のマニュアル操作ができるかどうか、という点。普及機の場合、特にコンパクト機では、オートしか付いていないことがありますが(だから押しボタンが少なくて済む)、それでもカメラ任せだけで使うなら、中味の撮影性能としては、まったく問題がないのです。
しかし、マニュアル操作を必ず使う予定があるなら、上級機を選ぶ必要があります。ここで、前述した「芸術作品」を撮るかどうか? ということを思い出してください。写真を「作品」として撮る場合には、マニュアル露出を使う機会が多くなります。逆に言うと、写真に作品性を求めない、記念写真や記録写真をカメラ任せで撮りたい場合は、値段が安い普及機から探したほうが、お買い得になるわけです。こうしてカメラの用途を先に決めておくと、カメラ選びの候補となる機種を、具体的に想像することができます。
「デジタル一眼レフを使ってみたい」と思っている方は、目的がはっきりしているので、迷わずに一眼レフを選んでください。しかし、一眼レフと、コンパクトデジカメを決めかねる場合は、それぞれ一方のみに搭載されている機能について、考えてみましょう。
光学ファインダーで被写体を覗くことができて、ズームレンズを手動による回転で操作できるのは、基本的には一眼レフだけです。そして、デジタルズーム機能が使用可能であり、本体だけで水中撮影もできる機種があるのは、基本的にコンパクトデジカメだけです。それから、一眼レフでは必ず、ピント合わせのAF/MF切替と、マニュアル露出モードが付いているものですが、コンパクトデジカメの場合、それができるのは一部の高級機に限られます。
ここで、「芸術作品」を撮るかどうかという条件に照らし合わせて考えると、作品撮りなら一眼レフが原則、それ以外の用途なら、コンパクトデジカメでも機能は十分となるでしょう。なお、長時間にわたって使い続けたときに、より電池消耗が少なくて、目が疲れにくいのは、やはり、光学ファインダーを使う一眼レフになると思われます。
次に考えるのは、レンズの光学ズーム倍率。一見すると、ズーム倍率は多ければ多いほど良いかのように思えるかもしれませんが、実際には、あまり倍率が高すぎると、レンズ部分が大きくなるので、カメラを持ち運ぶときに疲れます。だから、「大は小を兼ねる」ではなく、用途を考えて、ちょうどよいズーム倍率のレンズを選んだほうが、より実用的なのです。
そこで注目したいのが、実際に撮る被写体の種類と、そのときのカメラの使い方。例えば、スポーツや運動会の撮影では、望遠で撮る機会が増えますが、その被写体は、ほぼ必ず晴れた日の屋外で撮影するので、基本的にフラッシュは使いません。
その一方、パーティーなどの席で、知人や友人と記念写真を撮るなら、望遠レンズを使うことはありませんが、フラッシュを使うことだけは確実です。つまり、望遠レンズとフラッシュは、ユーザーの使い方としても、仕様としても、両立はしないのです。
だとすると、カメラの使い方を限定して考えれば、選ぶべきカメラの姿も変化します。つまり、カメラの質量が少々くらい重くなっても、ズーム倍率が高くて望遠撮影に向く、上級コンパクト機や一眼レフを選択するのか? それとも、服のポケットに入れて持っていても邪魔にならないような、ズーム倍率の低い小型・軽量タイプのコンパクト機を選ぶのか? といった判断が、簡単にできることになるのです。
ちなみに、屋内でのフラッシュ撮影を、より本格的に行いたい場合は、被写体に関わらず、大型の外付けフラッシュを使える一眼レフがおすすめ(普及型一眼レフとコンパクト機には小型の内蔵フラッシュがあります)。しかし、「芸術作品」として風景写真を撮る場合はフラッシュを使う機会がないので、一眼レフを大前提に、ズーム倍率や、開放F値などを基準として、目的に合うレンズを選ぶことになるでしょう。
※次回に続きます。
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