写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2009.08.28
キタムラでは、現行機種の新品カメラのほかに、中古カメラも多数、お取扱いしています。その中から、ユーザーそれぞれの使用目的にピッタリの、理想の1台を探すことができるよう、実践的な発掘ノウハウを、お伝えしたいと思います。そこで、まず必要になるのが、製品情報が極端に少ない中古カメラについて、その性能を知るということ。昔のカメラには、いまのカメラと同じレベルの機能は、ないのです。今回は、現行機種の新品デジタルカメラとは違う、中古カメラの多様な特徴について、ざっと解説します。
中古カメラを選ぶには、まず、過去の時代におけるカメラの発展史について、ある程度は、知っておく必要があります。ただし、いまでも普通に発売されている、35ミリ判や中判のカラーフィルムを使用して撮影するだけなら、だいたい、1970年代以降から、現在までのカメラ史の流れがわかれば、それで十分でしょう。過去40年あまりのカメラの歴史は、おおまかに言って、以下のようになっています。
フィルムカメラのみ、しかもマニュアル専用機の全盛時代。この時代のカメラでは、ピントも、露出も、自分で判断して合わせる必要がありました。操作方法は、いまのような電子ボタン式ではなく、メカによる回転ダイヤル式。レンズの絞りは、レンズ側のみで設定します。一部の機種には、露出だけオート対応(あくまで原始的な性能)の機種はありましたが、基本的に、ピントは自分の手で合わせる仕組みです。
この時代には、一眼レフではないカメラも、ピント合わせがマニュアル方式のみで、特に、低価格な機種の場合は、目測だけで距離(メートル)を判断するようになっています。そのため操作に慣れないと、よくピンボケしました。
70年代のカメラでは、フィルム送りと巻き戻しも、手作業で行います。マニュアル操作が多いため電力をあまり必要としないので、小さなボタン型電池1個、あるいは電池なしでも使える機種がたくさんありました。
当たり前ですが、この時代にデジタルカメラは、まだ登場していません。また、パソコンもまだなかったので、フィルムで撮ってからデジタル画像を作るということも、当時はできませんでした。
フィルムカメラが、最も隆盛を極めたのが、1980年代。まず、その前半当時に、AFのコンパクトカメラが登場し、後半当時には、一眼レフのAF化も実現されました。
露出制御は、本格的なオート対応が進み、一眼レフの露出モードは、プログラムを含めて選択肢が4つという、現在と同じ仕様が完成。ただし、測光性能的には、まだ精度が低いものでした。
80年代になると、フィルム送りは手動ではなく、内蔵モーターで行う機種が次第に増えて、カメラの外観デザインも変化。さらに、一眼レフの場合では、この80年代を境として、レンズマウントの仕様を革命的に一新したメーカーが多く、それ以前のMF専用と、それ以後のAF専用の間には、同一メーカーでも互換性がない例が見られます。
現在のデジタル一眼レフと、80年代製造のフィルムカメラで、交換レンズを共用したいなら、実用可能な最も古い中古カメラは、原則として、80年代製が限界で、それより古いカメラは使えません。また、MF専用機を探したい場合は、80年代より以前の機種が、対象となる候補としては最多となります。
ちなみに、1980年代にも、まだデジタルカメラはありません。当時、パソコンは既に登場していましたが、画像処理性能(演算速度)が低かったので、フィルムの画像を、写真画質を維持したままでデジタル化することは困難でした。ビデオカメラはありましたが、デジタルではなく、アナログ記録となっていました。
一眼レフでは、フィルムカメラのAF機が全盛だった時代。各社のAF一眼レフが出揃って、その搭載機能も完成の域に近付いてきました。AFの測距点が増え、分割測光の精度も向上し、自動制御での撮影が、より実用的になりました。90年代以降のカメラでは、ボディ上面の機械式ダイヤルが姿を消して、ほとんどの操作を、押しボタンか電子ダイヤルを使って、電子的に設定するようになっています。また、レンズの絞りも、ボディ側のボタンで操作する方式が主流です。
したがって、いまのデジタル一眼レフと同じ使い勝手を保ちつつ、記録媒体だけはフィルムという仕様のカメラを探すなら、必ず、90年代以降の製品を選ぶことになります。実際にも、中古市場でフィルム用一眼レフを探す場合は、この時代に作られた機種が、候補として最も数が多く、品質的にも優良な製品が在庫・流通しており、値段(時価)の点でも、入手しやすくなっています。
なお、1990年代には、一眼レフのMF専用機は、ほぼ全廃されました。したがって、MF機の中古カメラについては、いまでも在庫・流通している数量が極端に少ないので、比較的新しい、90年代製のAF機よりも、80年代以前のMF機のほうが、高額となることがあります。
コンパクトカメラの場合は、デジタルへの移行が一眼レフより早かったので、フィルム用コンパクト機を求めるなら、この時代の機種を探してください。また、90年代だけの特徴的な製品として、APSカメラもあります。
1990年代には、初期型のデジタルカメラが登場しましたが、画質性能は低かったので、主にパソコンの画面で画像を見るために使われていました。当時のデジカメには、まだフィルムを代替するほどの性能はありません。ちなみに、この当時に記録された画質の良いデジタル画像は、フィルムを使って撮影した後に、フィルムスキャナーで入力されたものです。
この10年間は、フィルムカメラから、デジタルカメラへの移行期でした。00年代の前半には、まだ一部にフィルムカメラの新製品もありましたが、結果としては、それがフィルム時代の最後を飾ることになりました。その後、現在に至るまでの経過は、すでにご存知の通りです。
一般消費者向けのデジカメは、1990年代後半から登場しましたが、誕生から約10年間は、まだ発展途上でした。それでも、当時としてはデジカメは珍しいものだったのですが、以後の技術的な進化も速かったので、いまの感覚で見ると、最新機種より画質が劣ることだけは否定できません。
デジタルカメラの中から、現在の実用レベルとしても許容できる性能を持つ中古機を探す場合、目安としては、2005年以降の時期に登場した製品を選んでください。00年代前半より以前に発売された古いデジタルカメラでは、有効画素数が写真プリント用として適する画質に達していなかったり、記録媒体(メモリーカード)の種類が現在と異なっていたり、USBケーブルによるプリンター接続が、未対応の機種もあります。
現在では、デジタルカメラが主流となった代わりに、フィルムカメラが、入手しにくくなってきました。実質的に、フィルムカメラは年式落ちの中古しかないので、フィルム撮影に関心がある初心者の方にとっては、機材探しが難しくなっています。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。