写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2009.10.09
フィルムカメラにはなくて、デジタルカメラにはある独自の機能。その使いこなしのポイントについて、今回は、さらに深く応用的な部分を解説したいと思います。この話は、パソコンで画像処理ソフトを使った経験がある方にとっては、その知識が応用できる範囲ですが、フィルム撮影オンリーだった方にとっては(パソコン画像処理の経験がないと)、少しだけ難しく感じるかもしれません。しかし、白黒写真プリントの暗室作業をやったことがあれば、何とか理解は可能だと思いますので、ここが踏ん張りどころと思って、頑張って話について来てください。
デジタルカメラの記録画素数とは、画像の1画面を構成している点(ドット)の粒つぶの数のこと。普通、モード設定のメニューでは、横×縦を、それぞれ別のドット数として書き表します。デジタルカメラの写真では、色を持つ1つ1つの点(ドット)が大量に集まることで、その全体として絵柄を成り立たせているわけです。記録画素数を、撮影に使用する機種それぞれで、最も高いモード設定にした場合が、普通は、カタログスペック上の「有効画素数」となります。
ただし、デジタルカメラの記録画素数は、いつも必ず最高性能で使う必要はなくて、間引きした画素数で撮影することもできます。この機能は、フィルムカメラでは絶対にあり得ないので、フィルムに慣れている人ほど、理解するのが難しく感じるかもしれません。なぜ、このような機能があるかというと、デジタル画像は、それを表示するモニターや、紙に出力するプリンターの性能以上の画素数で撮ったとしても、結局は、データを間引きして使うことになるから。どうせ間引きするなら、最初から少ないデータ量にしたほうが、記録容量を少なくできるので、効率性を重視して、画素数を下げるモードがあるというわけです。
一眼レフの場合、記録画素数のモードを下げた場合でも、基本的に、写る画角が変わることはありません。光学レンズの焦点距離が一定なら、記録画素数の設定値が多くても少なくても、同じ範囲が写ります。しかし、レンズがとらえる像がまったく同じでも、記録画素数が少ないと、絵柄を構成するドットの総数が減るので、記録された画像は粗くなります。例えて言えば、ジグソーパズルのピースの数が変わっても、絵の内容は変わらないということです。
記録画素数モードが少ない設定の画像では、メモリーカードに記録する、1コマ当たりのデータ量を節約する効果があり、1枚のメモリーカードを使って、より大量のコマ数を撮ることができます。また、画像を再生するときにも、1画像ごとのデータ量が軽くて済むので、連続した閲覧にかかる時間を短くできます。この特徴は、プリントしないで、画面上で再生して見るだけで良い、ホームページ用の画像を撮影する場合などにも応用可能です。
なお、記録画素数が多い画像と、少ない画像は、パソコンで開いて見ると、その画面上では寸法が違って見えることがあります。これは、パソコンのモニターが表示している、1ドットの直径が一定という条件で、それぞれの画像ごとに、表示画素の総数が変わるからです。カメラ側の背面液晶モニターで再生する場合は、画像のアスペクト比(縦横比)だけを一定に保つ条件で、常に画面の全体を使って、記録画素数の違う画像を縮小表示するので、どの画像も一見すると、同じ画素数で撮ってあるように見えます。
記録画素数は、画質を優先する場合は、使用する機種の最高性能となるモードに設定しますが、それ以外の場合は、用途に応じて使い分けます。また、コンパクトデジカメの場合は、記録画素数を下げた場合に限って、デジタルズームを使うことが可能で、望遠効果を拡張できます。デジタルズームに関しては、例えるなら、フィルムで撮影した写真を暗室でプリントするときに、引き伸ばし機の投影位置を高くセットして、フィルムの一部分だけ、印画紙に焼き付けた状態だと思ってください。デジタルカメラでは、フィルム時代なら暗室で行っていた作業のほとんどを、ネガ像でワンクッション置くことなく、カメラ内にある機能だけを使って代替できるので、応用として、デジタルズームのようなテクニックが使えるのです。
デジタルカメラの画像ファイルは、原則としてJPEG形式なので、画像データをメモリーカードに保存する時点で、データ容量を小さくするための圧縮演算処理を行い、元になった高画質画像は自動的に捨てます。この工程は、画像処理エンジンが担う、重要な仕事の一つです。
そして、データ圧縮した画像は、1コマ当たりの容量が少なくなる代わりに、普通に目で見てもわからない程度に、画質が下がります。しかし、一旦JPEG圧縮してしまった画像は、再び、元の圧縮しない画質に戻すことができないので、データ容量と画質のバランスをとって、あらかじめデータ圧縮率を手加減する必要があります。
普通に1画像の全体を眺めるだけなら、あまり高画質ではなくても大丈夫ですが、写真を大伸ばしプリントしたり、画像の一部分を拡大して見たりするなどの予定があるなら、JPEG圧縮した後の画質を、高めに維持する必要があります。このような撮影目的の違いに合わせて、JPEGの圧縮率を変えるのが、「画質モード」という機能。これは、前述の記録画素数とは違いますので、混同しないよう、区別して覚えてください。低画素数モードの中だけでも、JPEG圧縮率が高い設定と、低い設定があります。
カメラの機能メニューを見ると、「ファイン」や「スタンダード」などの用語が示されたモードが見つかります。これが画質設定で、「ファイン」、およびそれ以上のほうが、「スタンダード」より画質が良い、つまり、JPEG圧縮率が低い(=あまり強く圧縮処理しない)ということ。これらのモード設定は、大伸ばしプリントなら「ファイン」以上、使用目的を割り切って、WEBなどで画像を表示するだけなら「スタンダード」といったように、目的に応じて使い分けます。ただし、「スタンダード」で撮ったものを、後で「ファイン」に直すことはできませんから、撮影段階では用途がわからなければ、とりあえずは「ファイン」以上で撮っておいたほうが、融通は効きます。
なお、JPEG画像は、強く圧縮したほうがデータ容量は減るので、1枚のカードに記録できるコマ数は稼げます。データ量を節約する方法として、横×縦の記録画素数の増減と、JPEG圧縮率の増減という、2つがあることになりますから、撮影目的に応じて、どのような設定を組み合わせるか、ユーザー自身で判断する必要があるわけです。これだけは、カメラが勝手にセットしてくれることは、まったくありません。
以上のモード設定は、すべて撮影前、シャッターを切る前に、ユーザー自身が見込みだけで考えて行います。ベテランの方にとっては、このあたりの手間を、少し煩わしく感じるかもしれませんが、自分好みの設定を探して、そのモードに固定しておけば良いので、実践の撮影で、いろいろと試してみてください。なお、JPEGの圧縮率は、被写体や構図によっても微妙に変化しますので、絶対的な正解というものは存在しません。大切なのは、撮影目的ごとに設定を使い分ける「判断」と、あくまで自分なりに納得ができる「感覚」。要するに、カメラを使う人によって違いがある、主観的な好みの問題です。
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