写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2009.11.06
コンパクトデジカメと、デジタル一眼レフの最も大きな違いは、レンズをボディから外して、ほかのレンズに交換できること。とは言っても普及機の場合は、一眼レフのボディ+ズームレンズが、セット販売されることが多く、それ以外の交換レンズを使うことは、意外と少ないかもしれません。でも、一眼レフ用のレンズは、ほかにもいろいろなものがあるので、標準ズームレンズに、もの足りなさを感じたら、ぜひ違うレンズにもトライしてみてください。ここでは、いろいろなレンズの種類と、選び方のコツをご紹介します。
デジタル一眼レフを買ったとき、レンズキットとしてメーカーが用意するのは、標準ズームレンズ。ダブルズームキットの場合は、標準ズームレンズと、望遠ズームレンズの2本が付きます。いずれのメーカーも、入門機に付くレンズがズームレンズという点は、まったく変わりません。
標準ズームレンズは、35ミリ判換算した場合の焦点距離が、28mm程度~100mm程度で、単焦点では標準レンズとなる50mmを中心として、その前後の焦点距離をカバーし、広角から中望遠までを1本で撮影できます。広角・望遠の両端だけでなく、ズームの中間でも使用可能です。また、望遠ズームレンズは、100mm程度~300mm程度で、一通りの本格的な望遠撮影ができるようになっています。
ただし、ズームレンズに共通の特徴として、同じミリ数に相当する単焦点レンズ(ズームがないレンズ)よりも、開放F値(最も大きく開いた状態の絞り値)が暗めで、しかも、広角端より望遠端のほうが、開放F値の数字は大きくなります。これは、ユーザーが何も絞り値の操作をしなくても、望遠側にズームするだけで、開放F値が勝手に変わるということ。F値が変われば、実際の撮影時には、露出の測光が対応するシャッター速度にも直接影響しますから、スローシャッターでは望遠側のほうが手ブレしやすくなるという問題もあり、露出とISO感度の設定には注意が必要です。
レンズキットのレンズは、数人が並んだ記念写真や、旅行先で景色の写真を撮る場合など、ごく一般的な撮影には十分な性能を持っていますが、それ以外に、多少は表現に凝った特殊な撮影をする場合は、性能的に対応しきれない場合もあります。そのようなとき、一眼レフならではの最大のメリットとして活用したいのが、豊富な交換レンズ群です。
一眼レフでは、純正キットレンズ以外にも、様々な交換レンズを装着して使うことができます。以下は、その主な種類です。具体的な製品の仕様は、カメラメーカーやレンズ専業メーカーの、製品カタログなどを参照してください。
標準ズームレンズの広角端よりも、さらにミリ数が小さいレンズで、より広い範囲を、1画面に収めて撮影できます。また、最短撮影距離が近いので、標準ズームレンズよりも被写体に接近できます。広角レンズでは、1つの被写体に近付くと、逆に背景は極端に小さく写るので、遠近感が誇張されて斬新な表現が可能。広角レンズには、ズームレンズと単焦点レンズがあります。
広角系レンズのうち、少なくとも対角線方向180度の画角を、写真1コマの中に撮影できる特殊な光学系を持つものを「魚眼レンズ」といいます。これは、遠近感を極端に誇張した表現や、学術的な観測などの用途で使います。なお、魚眼レンズには、普通の四角い画面で、対角線方向の画角が180度となるタイプと、円形の像で(四角い画面がケラれる)、全方位180度にわたる範囲が写るタイプの、合計2種類があります。
望遠レンズというと、ダブルズームキットの、望遠ズームレンズを使うのが最も簡単ですが、そのほかに単焦点の製品もあります。中程度の焦点距離となる、単焦点の望遠レンズでは、画面周辺まで描写性能に優れ、開放F値も明るく、背景ボケがなめらかに写ることが特徴。また、望遠ズームレンズの望遠端よりも、さらにミリ数が大きく、極めて拡大効果の大きな写真が撮影できる、超望遠レンズもあります。
普及クラスのズームレンズは、比較的、絞りの開放F値が暗い上に、広角端と望遠端では、普通にズームするだけで開放F値が変わります。これに対して、高級クラスのズームレンズでは、開放F値がより明るく、また部品にも高品質なガラス素材が使用されており、被写体の輪郭が鮮鋭に描写されることや、なめらかな背景ボケ、色の再現性などの点で、やはり差が出ます。このような高級ズームレンズを、大口径ズームレンズともいいます。高級クラスのレンズでは、ズーム全域で開放F値が変わらないため、露出への影響もありません。難点は、普及クラスのレンズより、直径が大きくて質量が重いことと、値段が高いこと。
標準レンズを、ズームのない単焦点レンズとして探す場合、35ミリ判では、50mmが該当します。それ以外の画像センサーサイズでは、35ミリ判に換算した焦点距離として、50mm相当になるレンズを選びます。50mmレンズは、全レンズの中でも、開放F値が最も明るいのが特徴です。ちなみに、レンズ側に手ブレ補正機能を搭載するメーカーの場合、単焦点50mmレンズには手ブレ補正機能が付かないことが普通なので、覚えておいてください。
単焦点レンズには、近接性能が極めて高いレンズがあり、何もカメラアクセサリーを付けないノーマル状態でも、等倍までの撮影が可能です。このような近接撮影専用レンズを、マクロレンズといいます。マクロレンズは、もちろん、無限大までピントが合うので、普通のレンズとしても使えます。なお、等倍とは、被写体像が原寸大で、フィルムや画像センサー上に投影されるという意味です。
AFだけでなく、マニュアルフォーカスにも対応できること。絞りを最も絞り込んだ状態で、F22かF32程度になること(コンパクトデジカメの内蔵レンズはF11程度まで)。レンズ前部にフィルターを装着できることなどは、すべての一眼レフ用レンズに共通しています。レンズマウントの互換性については、既に所有しているカメラボディ・レンズと、同じメーカーの純正レンズを新品で購入すれば、間違いはありません。レンズメーカー製レンズでも、マウント部が対応しているものであれば使用可能です。
レンズキットやダブルズームキットのレンズがあれば、それだけでも、一通りの撮影はできます。つまり、「何を撮るのか、まだ具体的にはわからないから、ひとまず持っておくだけのレンズ」という意味では、標準ズームレンズと、望遠ズームレンズがあればOKです。
そのほかのレンズは、自分が撮りたいと思う被写体の種類に応じて、人それぞれに、必要なものを選んでください。交換レンズは、全種類を一度に揃えても、結局、出番がないものは使わないので、単なる他人のマネや、雑誌に書いてあるオススメ情報を鵜呑みにするのではなく、あくまで「機材を使う自分自身の場合」として、予算も含めた主観的な判断で、撮影目的がはっきりしているレンズを選ぶのが、賢い買い物をするコツです。
例えば、野生動物や鉄道などを撮る場合は、焦点距離の長い望遠レンズを使うことが多いのですが、広角レンズや、マクロレンズを使うことは、まったくありません。なぜなら、猛獣や線路に近付き過ぎると、自分の身が危険だからです。
そして、草花や昆虫などを撮る場合は、マクロレンズを使うことがあっても、超望遠レンズは使いません。なぜなら、超望遠レンズは近距離にピントが合いにくいからです。それから、建築物を撮る場合は、広角レンズを使うことは多くても、基本的には中望遠の焦点距離である、マクロレンズはあまり使いません。
このように、撮ろうと思う被写体が違えば、使うレンズはそれぞれに変わります。つまりは、自分が撮りたいものを自分で理解しておけば、それに合わせて、必要となるレンズは簡単に決められるわけです。交換レンズの中には、かなり値段が高い製品もありますから、特にこれといって撮りたい被写体が決まっていない場合は、しばらくキットレンズだけで撮り続けてみるのも良いでしょう。そして、キットレンズを卒業するころになれば、だいたい、自分好みの被写体もわかってくると思いますので、そういった個人的な好みから考えて、買い足す交換レンズを探してみてください。
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