写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2009.12.04
カメラを作っているメーカーの、いまどきの花形事業は、実はカメラ作りではなくて、「レンズ作り」だったりします。いまのカメラメーカーは、本当にカメラだけの専業ではなくて、レンズや光学機器を使った、多様な分野の製品を作っているので、その技術開発力が最も発揮されるところは、実は、どちらかというと、カメラよりレンズなのです。一眼レフカメラでは、レンズ交換ができるわけですが、メーカー各社とも、技術力を結集した上級の交換レンズをラインアップしているので、より高い画質を求めるなら、それらのレンズ製品を使ってみるのも、一つの手段と言えます。そこで今回は、交換レンズのブランドに注目して、各社のフラッグシップ級レンズをご紹介します。
最近では、一眼レフのレンズキットとして発売されることも多い、普及クラスの一般レンズでも、実用上、ほとんどの撮影に問題がないレベルの描写性能は確保されています。しかし、平均以上の描写力を、どのような被写体であっても常に求めるなら、信頼性の高い上級レンズを選ぶこともできます。
原則論として、レンズというものは、丸い形をした像の中心部の画質が最高レベルで、丸い像の周辺部に近付くにつれて、画質と光量(像の明るさ)が落ちていきます。この画質や明るさの低減度合いという点で、一般レンズと上級レンズの違いが、最も大きく出るわけです。ということは、つまり、被写体を四角い画面の真ん中に配置して、日の丸構図だけで使うのであれば、一般レンズでも、それほど不都合はありません。
しかし、絵筆を使ってスケッチブックに芸術的な風景画を描くように、四角いフレームを切って、構図を意識した写真表現をめざそうとするような場合は、レンズの性能が原因で、周辺部の画質が落ちるなどということは、なるべく防ぎたいものです。
なぜなら、絵画の芸術論を引き合いに、四角い「写真」になった状態の構図を考える場合では、丸い「レンズ」にとって光学的に都合が良いだけの、日の丸構図で撮ることのほうが、格段に少ないから。手で絵筆を持って絵画を描くときに、普通は、光学の知識を使いません。そこで、レンズの光学特性は無視できるくらいに、構図決定の自由度が高い、上級レンズの出番となります。このように話として書くと難しそうですが、レンズの光学特性を深く考えなくても、写真の状態になった絵柄だけを考えれば済むというわけですから、ある意味、上級レンズのほうが撮影はラクです。
上級レンズを使うと、撮影された写真の画面周辺まで、画質や光量が落ちないので、構図に凝った表現であっても、ファインダーを見て予想した通りの仕上がり具合として、写せる可能性が高くなります
ほかにも、上級レンズならではの特徴として、一般レンズより開放F値が大口径であるため、背景ボケの描写が、ギザギザした感じ(ニ線ボケ)にならず、ふんわりとにじむような感じで、キレイなボケ味に写せたり、また、逆光でも、太陽など点光源から発生した「ゴースト」が、画面内の広い範囲には及ばないなど、細部にわたって妥協のない写りが得られます。そして、撮影前に、AFでは確かにピントを合わせたはずなのに、撮影後、写真の状態になってみると、何となく輪郭線の描写が甘い感じがするなどの現象(色収差の影響)も、上級レンズの場合では、ほとんどありません。これらの長所は、レンズ内のガラス素材に、高級な部品(各メーカーごとにそれぞれ名称が異なる)が使われていることの効果です。
デジタル一眼レフでは、機種のグレードが高くなるほど、画像センサーの有効画素数が増える傾向がありますが、特に有効画素数が多いフラッグシップ機では、一緒に使うレンズの性能も良くなければ、光学性能のアラが、高精細な画像センサーに写ってしまいます。したがって、買い替えの際、カメラボディを上位機種にステップアップしたら、レンズも同様にして、上級レンズにステップアップしたほうが、機材の性能をフル活用できるわけです。
上級レンズの欠点としては、画質を最優先するので、鏡筒のサイズが大きく、重くなること。構造的に、ズームレンズの高倍率化と、その画質や明るさの維持は両立しにくいため、撮影に必要な焦点距離をカバーするには、レンズそのものを複数に分けて持ち、交換して使う必要があること、そして、レンズ1本ごとの値段が、一般レンズに対して相当に高いことなどが挙げられます。つまり、上級レンズを使うと荷物が増えるので、あまり「気軽に」撮れなくなるという一面があるわけです。しかし、多少の苦労に代えてでも、ぜひ美しい写真を撮りたいと思うカメラユーザーは、上級レンズを選んでいます。
それぞれのメーカーごとに、一般用レンズと区別された、上級レンズ専用のブランドがあります。詳しくは、メーカーのレンズカタログで、個別の製品を探してみてください。
EOS用レンズの、上級ラインアップ。レンズ鏡筒に入った、赤いラインが目印です。ズームレンズと単焦点レンズがあり、Lレンズは35ミリ判フルサイズに対応しています。APS-Cサイズ専用のLレンズは、現時点ではありません。ただし、APS-C専用レンズについても、最高級を示すLレンズの名称こそ使われていませんが、特殊低分散ガラスに相当する部品として、「UDレンズ」を使用した製品が発売されています。
ニコンのEDレンズは、特殊低分散ガラスを使用して、色収差の補正力を向上させたレンズ。APS-C専用のDXフォーマット用レンズの中にも、EDレンズがあります。ただし、最新型レンズのほとんどには、すべて「ED」の名称が付いているので、キヤノンのLレンズとは、ネーミングの考え方が異なります。
Gレンズは、かつてのミノルタ・コニカミノルタ時代から続く、αレンズの上級ラインアップです。このほかに、ソニー時代ならではの上級αレンズとして、高画質で定評のあるカールツァイスレンズが、αマウント対応で発売されています。Gレンズと、カールツァイスレンズの2つは、それぞれ焦点距離域が重複しないようにラインアップされているので、必要な画角に応じて使い分けてください。カールツァイスは、広角~標準、Gレンズは望遠が中心となっています。
ペンタックスでは、APS-Cサイズの一般レンズがDAレンズと呼ばれ、上級レンズには、DAの次に★印が付いて、「DA★レンズ」となります。上級レンズは、超音波モーターを内蔵する方式ですが、超音波モーターレンズ非対応の旧式デジタル一眼レフでも使用が可能で、カメラボディ側からのカプラー駆動AF方式に自動で切り替えて、AF動作に対応できます。これに対して、現行製品の一般レンズは、旧式ボディに装着したとき、カプラー駆動AFを使用できない、超音波モーターAFのみの対応に移行しつつあります。なお、上級レンズは、レンズ鏡筒の全体が、防滴構造になっていることも特徴です。
パナソニック製のデジタル一眼レフカメラ用(フォーサーズ)交換レンズと、デジタル一眼カメラ用(マイクロフォーサーズ)交換レンズの一部製品には、ライカ製のレンズが採用されています。高画質で知られるライカレンズの性能を、比較的、低コストで使える点も、パナソニック製品ならでは。パナソニックでは、もともと同社製品として発売されている交換レンズの数が少ないので(互換性のある他社製レンズを使用可)、基本的には、自社ブランドの全製品が上級レンズということになります。
オリンパスでは、パナソニックと互換性のあるフォーサーズマウント、マイクロフォーサーズマウントを採用しています。オリンパスの純正レンズは、わかりやすく3つのグレードに分類され、それぞれ、スタンダード、ハイグレード、スーパーハイグレードという名称が付いています。ハイグレードは、明るさと近接性能に優れ、防滴構造になっていることが特徴。さらに上級のスーパーハイグレードは、妥協のない光学性能を誇るプロ仕様タイプで、 鏡筒にデザインされた1本のプラチナラインが目印です。なお、マイクロフォーサーズ用の交換レンズに関しては、現在のところ、オリンパス純正レンズとしてのラインアップ数が少ないので、上級レンズに相当する製品はありません。。
以上のメーカー純正レンズのほかに、レンズメーカー製のレンズについても、一般レンズ以外に、上級ラインアップを発売している例があります。詳しくは、カタログなどをご覧ください。
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