写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2010.01.08
今回は、デジカメの買い替えを決めるときのポイントに関して、特に、デジタル一眼レフの場合を考えてみたいと思います。古いタイプのデジタル一眼レフを使っている方が、最新機種のデジタル一眼レフを購入するときに注目したい機能を、幾つか挙げてみました。
画像センサー(CCDやCMOS)の有効画素数については、一律に比較可能なので、ひとまず省略します。一眼レフの現行機種の場合では、いずれのメーカーでも、有効1000万画素以上の水準は確保されているので、画質的には、普及機も含めて、どの機種でも十分に実用的です。しかし、それ以外の性能を確認すると、一眼レフの旧機種と新機種では、以下のような点に、目立った違いが見られます。ここでは、一眼レフにしかない機能を中心に説明しますので、すべてのデジタルカメラ(フィルムカメラではないもの全部)にわたって共通するような機能については、このコーナーで昨年末に取り上げた、コンパクトデジカメを買い替える場合の確認ポイントを、参考としてください。
まず、「ライブビュー機能」について、おさらいしておきましょう。コンパクトデジカメでは、シャッターを切る前から、液晶モニター上で被写体を確認できますが、一眼レフの場合、本来は、この機能がありません。なぜなら、一眼レフの画像センサーは、撮影待機中には、シャッター幕で隠されているからです。
デジタル一眼レフが登場して間もない頃に発売された古い機種では、ほとんどすべてが、このような仕組みで、デジタルカメラとは言っても、フィルム用一眼レフとまったく同じように、光学ファインダーのみを使って撮影操作を行うようになっています。しかし、現行の最新型デジタル一眼レフでは、コンパクトデジカメと似たような操作感覚を実現した、ライブビュー機能を標準搭載する機種が増えました(搭載なしの機種もあります)。
デジタル一眼レフのライブビュー機能では、シャッターを切って撮影する前の時点で、内部のミラーを上げるとともに、シャッター幕を開放して、画像センサーで被写体像をとらえ、光学ファインダーの代用とします(ほかの仕組みを使う機種もあります)。本物の一眼レフ(「一眼カメラ」ではないもの)の場合は、モードの切替により、従来方式の光学ファインダーも使えるので、ユーザーは2通りの使い方を選べることになります。
ただし、ライブビュー機能の有無は、シャッターを切る前の時点での、使い勝手の違いだけであって、写真の写り方には関係がないので、この点での買い替えの判断は、ユーザー個人の好みによります。とはいえ、ライブビュー機能は、液晶モニターが可動式の機種であれば、ハイアングルやローアングルなどの場合でも、無理のない姿勢でカメラを構えることができるので、光学ファインダーを使うより撮影が快適になります。
名前は同じ「ライブビュー機能」でも、登場初期と現在では、少しずつ機能が違っています。初期のライブビュー対応一眼レフでは、ライブビュー使用中のAFが不可、もしくは、AF動作時だけ、瞬時にミラーを下げ、ライブビュー表示を中断していました。
一方で、現在の最新型デジタル一眼レフでは、ライブビュー使用中には、ライブビュー専用のAFシステムに切り替えて、画像表示の中断なく、ライブビュー機能が使えるようになっています。つまり、最新型のデジタル一眼レフには、2つのAFシステムが搭載されていて、それをユーザーが選べるということです。
買い替えの際は、カタログなどをご覧の上で、ライブビュー機能に「コントラストAF」があるかどうか、仕様の項目で確認してください。なお、「コントラストAF」の機能がある製品では、ライブビューモードの使用時に限って、顔認識AFも使うことができます。(ライブビュー機能のない一眼レフでは、顔認識はできません。)
デジタル一眼レフでは、ボディの小型・軽量化が進んでおり、特に現行の普及機では、ボディ側には、なるべく機械部品を多く搭載しない設計思想になっています。フィルムからデジタルへの移行により、カメラの内側でフィルムを巻き上げ、巻き戻しする必要がなくなったので、デジタルカメラの場合、基本的に高出力のモーターはなくても良いのですが、さらにAFモーターも、カメラボディから追い出して、レンズ側に移すことで、デジタル一眼レフのボディは、格段に小さく、そして軽くなりました。
このような設計思想の変更にともない、キヤノン以外のメーカーでは、純正AFレンズの互換性にも、新旧の製品で対応の変化が見られています。キヤノンの場合は、フィルムカメラ全盛の1980年代に、AF一眼レフのEOSシステムが誕生した当初から、AFモーターをレンズ側のみに搭載する方式をとったので、どのAFレンズでも、ボディとの対応に例外はありません。
一方で、キヤノン以外のメーカー各社は、フィルム用AF一眼レフのすべてと、初期型のデジタル一眼レフにおいて、カメラボディ側にAFモーターを搭載していました。この方式の場合、レンズ側にはモーターを設けず、カプラー(歯車)で、ボディ側のモーターから動力を伝達しています。モーターの小型化が発展途上で、部品価格も高かった昔の時代には、個々のレンズに別々のモーターを搭載しない方式のほうが、好都合だったのです。しかし、AFモーターの性能向上とコスト低下に伴って、デジタル一眼レフの小型・軽量化ニーズに対応するため、キヤノン以外のメーカー各社も、最近では、ボディ側からレンズ側へと、AFモーターを移す方向に動いています。
その結果として、各メーカーとも現行機種では、カメラボディ内のAFモーターではなく、1つ1つのレンズに内蔵して仕様を最適化したモーターを、AF駆動に使用する方式が原則となりました。このような変化があっても、最新機種のレンズキットなど、カメラボディとレンズの年式が同じ場合は、何も問題はありません。しかし、ユーザーが一眼レフを買い替える場合は、カメラボディまたはレンズの、どちらか一方だけを購入することがあるので、その点について、最新機種では注意が必要です。
例えば、ニコンの場合、最も価格がお手頃な普及機の最新モデルでは、デジタル一眼レフのカメラボディ側に、AFモーターが、まったく付いていません。つまり、レンズ側に内蔵モーターがなければ、AF機能が使えないようになっています(MFでの撮影は可能)。もともと、ニコンはボディ内蔵モーター方式を採用していたメーカーだったのですが、最新の普及機では、旧式AFレンズの流用ができないことになるので、購入時には、ボディだけでなく、レンズも一緒に買い換える必要があるということです。ただし、レンズをほとんど∞(無限大)のピント位置だけで使うような風景写真などの場合は、旧式AFレンズでも実用上は問題ありません。v
ただし、ニコン製一眼レフでも、中級機や高級機の場合に限っては、従来通り、ボディ側にもAFモーターを搭載しているので、旧式AFレンズでもAF機能を使うことができます。したがって、購入予算も考えに含めるなら、普及機を選んでレンズも一緒に買い替えるか、上位機種を選んで手持ちのレンズを流用するか、といった判断ができるわけです。
ところで、このように、同じメーカーでも新旧のデジタル一眼レフの間では、AF機能の互換性という点で違いがあるとすると、デジタル一眼レフの買い替えでは、「同じメーカーの製品を支持して使い続けなければならない」という固定観念を、一旦、忘れることも可能になります。一眼レフは、そもそもは、ボディとレンズのどちらか一方ずつ、時期をずらして、別々に買い増していくときに、一眼レフシステム全体としてのメリットが発揮されるものです。しかし、ボディとレンズを同時に一新しなければ、十分にその最新の機能を活用できないとなれば、選ぶ機種が同じメーカーの新機種でも、まったく別のメーカーの新機種でも、買い替えにかかる購入コストの負担総額としては、ほとんど変わらないことになります。そうであるなら、デジタル一眼レフの、特に普及クラスの機種を選んで、旧モデルから最新モデルに買い替えるときは、メーカーを乗り変える好機にもなるでしょう。
例えば、キヤノンのEOS kissシリーズと、ニコンのD5000またはD3000、ソニーのα300シリーズ、そしてペンタックスのK-x、オリンパスのE-500シリーズなどは、メーカーは違っても、想定ユーザー層だけは一致する、すべて同じグレードの製品です。旧機種から最新機種へ買い替える場合は、違うメーカーから出ている同じグレードの機種も購入候補に含めておくと、商品イメージだけではなく、搭載機能を現実的に検討したカメラ選びが、簡単にできるようになります。
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