写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2010.02.05
一眼レフ用の交換レンズには、付属品または別売りで、それぞれの機種のレンズに最適化された、レンズフードが用意されています。レンズが販売される際の見本となる製品写真は、レンズフードなしの状態を見せているので、その存在が目立たないのですが、レンズフードは、実際の撮影には必ず使うことになる、大切なアクセサリーなのです。今回は、いろいろなレンズフードの種類を、まとめて眺めておきましょう。
レンズフードは、撮影時に、レンズの先端に装着して使用します。レンズフードを使う目的は、主に2つ。1つは、レンズの先端部を、どこかにぶつけて損傷することを防ぐため。もう1つは、逆光などの光線状態で撮影するとき、画面周辺部から余分な光がレンズ内に入らないようにするためです。また、不用意にレンズ先端に指が触れて、指紋が付くことを防止する効果もあります。レンズフードは、付けなくても撮影は可能ですが、レンズフードがあると、逆光時に発生するゴーストや、色かぶりを抑えることができます。その効果は、正確な露出の決定と、撮影された写真の画質の向上に役立ちます。
レンズフードの最適な大きさは、フィルター径と、レンズの焦点距離によって変わります。レンズフードは、余分な光をカットする効果を得ながらも、同時に、フードそのものが影を作って撮影の邪魔にならないように、レンズの製品1機種ごとに、ちょうど良い大きさで設計されるのです。したがって、広角レンズと望遠レンズでは、レンズフードの大きさが異なります。広角レンズの場合、画角が広いため、レンズの直前にある障害物が写りやすいので、レンズフードは短め。望遠レンズの場合は、画角が狭いため、レンズ直前の周辺部にあるものが視界に入ることはないので、レンズフードは長くなるのです。ちなみにズームレンズの場合は、ズーム倍率に関係なく、広角側の画角に合わせて、レンズフードが設計されています。したがって、ズームの望遠側だけで撮影する場合、もしレンズフードの効果が足らないのであれば、フィルター径が合う別のフードを代わりに装着することで、その効果を高めることもできます。
レンズフードには、大きく分けて、次に挙げるような、3つの形があります。それぞれ、各レンズごとに設計が最適化された純正フード(レンズを作っているメーカーが用意した自社製品向けの専用レンズフード)と、写真用品メーカーから発売されていて、フィルター径が合えば、原則、どのレンズでも使える汎用品のフードがあります。
花形フードの例(キヤノン純正の広角レンズ用)
現在発売されている交換レンズのレンズフードは、ほとんどが花形フードです。これは、円筒形の四隅に切り込みを入れたスタイルで、見た目の様子が「花びら」のようなので、花形フードという名前が付いています。花形フードは、広角レンズや、広角の焦点距離を含むズームレンズで使われている例が多く見られます。材質は、プラスチック、もしくは金属です。
フードの四隅に切り込みがある理由は、レンズは丸くても、写真として実際に写る画面は、四角いことに関係しています。写真は、レンズが作る円形の光学像を、四角い枠で切り出して撮るものなので、写真の四隅に当たる部分が、最もレンズの円周に接近します。この部分に長いフードがあると、写真の上に影が写ってしまうので、その該当部分だけ削った結果が、花形フードなのです。
写真の四隅以外に当たる部分では、四角い画面の枠が、レンズの円周からは離れるので、フードが長くても、影が写る心配はありません。特に、画面の長辺部分(横方向)は、短辺部分よりも、レンズの円周から遠くなるので、フードの効果を大きくすることができます。そのため、花形フードは、上下と、左右で、花びらの大きさが違うのです。ズームレンズの場合、基本的には、適合する焦点距離を広角端としてレンズフードを設計するのですが、原則が広角用の長さでも、形状を切り込みのある花形フードとすることで、余裕のある上下部分については、大きさを調整できますから、結果としては、ズームレンズを望遠側で使った場合にも、幾分は、フードで余分な光をカットする効果を高めることができます。
なお、レンズフードそのものは昔からありますが、そのほとんどの形状が花形フードになったのは、実は、ごく最近のことです。昔のレンズは、マニュアルフォーカス方式で、なおかつレンズに絞りリングが付いていたので、ピントリングによるピント合わせを、主にレンズの先端側で行っていました。この方式では、レンズの先端部分が、ピントリングと一緒に回転するので、レンズフードも、直径が常に一定な円形である必要があったのです。もし、先端が回るレンズに花形フードを装着したら、切り込み部分が写真の四隅に一致しないので、写真にフードの影が写ってしまいます。現在のレンズ製品は、原則がオートフォーカスで、絞りリングのないタイプが主流となり、ピント合わせをレンズの鏡筒内で行う方式が増えたため、レンズ先端部は回転しないので、それに対応して、レンズフードも花形フードが選ばれるようになりました。
丸形フードの例(ニコン用)
ラバーフードの例(エツミ製汎用タイプ)
ピント合わせの際にレンズの先端部が回転する方式のレンズや、標準・望遠などの単焦点レンズでは、四隅に切り込みのないタイプの、丸いレンズフードが選ばれることがあります。丸形フードの場合は、どの部分でも直径は同じ長さなので、あまり装着状態を心配することなく、気軽に利用できます。これも、材質はプラスチック、もしくは金属です。ちなみに、常識的に考えて、太陽光は上から照らすものなので、カメラを縦位置に構えた状態で撮影する場合には、丸形フードのほうが高い効果を期待できます。
丸形のレンズフードのうち、材質がプラスチックや金属ではなく、柔らかいゴム(ラバー)でできているものがあります。これは、フードがいらないときに、いちいち取り外すのではなく、短く畳んでしまうこともできるのが特徴。ガラス越しの景色を撮影する場合には、ガラスにフードを密着させることができるので、撮影用途によっては、いろいろと融通が利いて便利です。また、素材が柔らかいので、持ち運びの邪魔にならない、レンズキャップを着脱しやすいという、使い勝手の良い一面もあります。価格的には、ラバーフードが最も安く購入可能。
レンズフードをレンズに装着する方法は、レンズのメーカーや、レンズの機種によって様々です。方法としては、以下のようなものがあります。
レンズキャップと似た要領で使用するタイプで、レンズフード側にあるツメが、レンズ鏡筒の先端部に噛み付き、バネの力を使って固定する方式。レンズフードの中では、最も古くからあります。着脱が簡単なのが特徴ですが、レンズフードをぶつけたとき、衝撃で落下しやすいので注意。
レンズマウントと同じような要領で、レンズフードを半回転させて装着するタイプ。レンズ側と、フード側それぞれにある装着用の溝を合わせて、指定方向に回すことで固定されます。このタイプは、レンズ本体にも溝が必要なので、純正レンズフードのみで使われています。
フィルターを装着する要領で、レンズ先端のフィルター枠部分にあるネジ山に、レンズフードをしっかりとねじ込んで固定します。装着は確実ですが、その分だけ手間がかかります。汎用品のラバーフードは、基本的に、このタイプです。フィルター径のサイズを事前にお確かめの上で、お買い求めください。
撮影中には、被写体側に向いているレンズフードの先端部を逆に向ける、つまり、カメラボディ側にレンズフードの先端部を向けて、前後を逆にした状態で、レンズにレンズフードを装着すると、スペースを取らずにレンズフードを収納できます。レンズ鏡筒の前側部分を、レンズフードで覆ったような形になる収納方法です。ただし、このやり方は、できるレンズフードと、できないレンズフードがあり、フィルター枠にねじ込む方式のレンズフードの場合は、残念ながら、この方法は使えません。原則として、レンズフードとレンズキャップを併用できるタイプの製品なら、このやり方で対応できます。
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