写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2010.05.28
カメラを、手持ちではなく、固定して撮影したい場合には、テーブルの上に直に置くのではなくて、三脚を使用します。三脚そのものの使い方は、三脚を買ったときに付いている、取扱説明書を読めばわかるので、特に問題はありません。しかし、実際に三脚を使って撮影する場合には、手持ち撮影の場合と比べて、カメラの機能設定が変わることがあり、その点についてだけは、三脚の説明書を読んでもわかりません。今回は、この意外に見落としがちな、三脚使用時のカメラ側の機能設定にスポットを当てます。以下、三脚を使用した撮影の方法について、順を追いながら、要点を見ていきましょう。
外出先で三脚を使う場合は、第一に、その場所が、三脚を立てても良いところかどうか、よく考えて判断します。観光地などの混雑するところでは、三脚の使用を禁止していることがありますし、また、庭園や花壇、田畑など、常識的に考えて、三脚を立てるべきではないところもあります。有料で入場する観光施設などの場合は、入場券やパンフレットに、三脚の使用に関する注意書きが掲載されていることもあるので、事前に確認しておきましょう。ちなみに、フラッシュ禁止の場所では、三脚の使用も原則禁止であると思ってください(正確には個々のケースで確認を)。そして、道路や歩道の上、鉄道の軌道内などでは、三脚禁止という立て看板こそなくても、三脚を立てれば通行の邪魔になって危険なので、常識的に、使用を控えるべきでしょう。なお、現在では、カメラに手ブレ補正機能が付いているので、たとえ三脚を使用できなくても、その代替となる撮影方法が選べますから、ほとんどの撮影状況では、昔ほどには大きな問題とはなりません。
三脚を使用する場合は、基本的には、遅いシャッター速度で撮影することになるので、フラッシュは使いません。したがって、三脚使用時には、カメラの内蔵フラッシュを発光禁止とするように、設定しておきましょう。発光禁止(発光停止)モードにカメラを設定する方法は、すでに前回、このコーナーで取り上げましたので、その記事を参照してください。ちなみに、一眼レフを全自動モードのままで使用して、フラッシュが自動発光されると、シャッター速度は、X同調速度に自動設定された状態となるので、スローシャッターが使えません。このような場合は、全自動モードを解除して撮影します。
三脚を使う場合は、手持ち撮影の場合とは状況が異なりますから、内蔵フラッシュを止めると同時に、手ブレ補正機能も解除してOFFに設定しましょう。手ブレ補正機能は、手持ち撮影時にだけ、カメラの揺れを打ち消して補正するためにあるので、三脚に固定してカメラを使うときに、手ブレ補正機能が誤作動すると、まったくの逆効果となることがあります。なお、三脚を使用しなければ絶対に撮影できないような長時間露光の場合は、たとえ手ブレ補正機能を使用しても、その効果はありません。
ISO感度は、高すぎると画面にノイズが入って、画像の見た目がザラザラしたような、粗い感じになります。そこで、三脚を使う場合は、もともとスローシャッターを使って撮ろうとしているわけですから、シャッター速度よりも画質を優先して、ISO感度を適度に下げておきます。ISO100~400程度なら、画質を心配する必要はないので、使うカメラの仕様に合わせて、標準的なISO感度を選んでおけば、ほとんどの撮影には対応可能です。ただし、野鳥などの動く被写体を撮影する場合は、そのために適切なシャッター速度が得られるように、少し高いほうのISO感度を選択します。
コンパクトデジカメでは問題になりませんが、一眼レフの場合は、操作ボタンが、ボディ上面部に付いていることが多いので、各種のモード・数値設定は、カメラを三脚に載せるより前に済ませておきます。一通り設定できたら、三脚を広げて地面に立て、雲台にカメラを載せて、付属のネジでしっかり固定します。三脚の高さは、被写体を見るときに最も適していると思う視点に合わせるか、または、自分自身がカメラを扱いやすいポジションに調節します。なお、三脚の使い方は、商品タイプによって違いがあるので、三脚の取扱い説明書を参照してください。
せっかく、三脚にカメラを載せても、そのカメラのシャッターボタンを指で押してしまうと、やはりカメラブレが発生します。そこで、三脚使用時に必携のカメラアクセサリーとして、リモートコードなどを購入しておきましょう。撮影時には、これをカメラに接続して、シャッターボタンの代わりに使用します。リモートコードは、シャッターボタンと同じ機能を持ち、半押しとAF動作にも対応。そのため、それぞれのメーカーごとに仕様が異なり、各社から専用タイプが発売されています。また、コードレスのリモコン式シャッターを発売しているメーカーもあります。ちなみに、機械式フィルムカメラの場合は、単純にシャッターを切るだけの目的で使える、ケーブルレリーズという汎用製品があるので、それを使って撮影しましょう。リモートコードは、ケーブルに少したるみがある状態で使って、静かにボタンを操作すれば、振動がカメラにはまったく伝わりませんから、完全にブレを防ぐことができます。なお、カメラ本体にリモートコードを接続する方法については、メーカーごとに違いがあるので、カメラの取扱い説明書を見て確認してください。
リモートコードがある場合は、それを使うのが最適ですが、持ち合わせていない場合や、リモートコード等が使えないタイプのカメラでは、セルフタイマー機能を利用して、カメラブレを防ぐことも可能です。ただし、この方法が使えるのは、被写体が静止している場合に限ります。セルフタイマーは、シャッターボタンの操作から、実際にシャッターが切れるまでの間に、待機時間を設定する機能のこと。現行機種のデジタルカメラの場合は、「ドライブ機能」のモードで、セルフタイマーを選んでセットすれば、シャッターボタンを押して指を離した後、その操作の振動がおさまった状態で、自動的にシャッターが切れます。露光までの待機時間は、長い10秒モードと、短めの2秒モードが選べる機種が多いので、三脚使用時の振動防止に使う場合には、2秒モードを選んでおけば、待たされる時間を短くすることも可能です。なお、写真愛好家ではない一般消費者の方の場合、三脚といえば、撮る役目の人も一緒に、記念写真に写るために使うことが、最も多いと思われますが、そのようなときには、長いほうの10秒タイマーを利用してください。機種によっては、秒数設定ではなく、顔認識機能を応用したセルフタイマー機能を搭載している例もあります。
一眼レフの場合(ミラーレスではないタイプ)は、光学ファインダーがありますが、自動露出用の内蔵露出計がファインダーの内部に付いているので、三脚使用時は、逆入光に注意しましょう。逆入光とは、レンズ側ではなく、光学ファインダー側から、カメラ内に光が入ることです。三脚使用時には、カメラに接眼しないでシャッターを切ることもありますが、そのとき、光学ファインダー側から入った光が、内蔵露出計を過剰に反応させ、測光値が変わって、AEの露出がズレることもあり得ます。順光で撮影する場合、ファインダー部分に直射日光が当たる状況も考えられますから、接眼しないで、安易に自動露出を使って撮影すると、超露出アンダーになって、画面全体が暗く写ることもあるわけです。このような撮影ミスは、セルフタイマーを使って記念写真を撮る場合にも発生します。逆入光の影響を避けるには、必ずファインダーに接眼してからシャッターボタンを押すか、もしくは、ファインダーに付いているアイピースシャッターを閉じる(普及機の場合は付属品としてカメラに同梱されているアイピースキャップを装着する)、あるいは、マニュアル露出モードに切り替えて、露出値を事前に確定してから撮影します。カメラブレの防止と、撮影効率まで考慮するなら、三脚使用時の最適な露出設定方法は、やはりマニュアル露出モードになるでしょう。なお、ライブビューモードの場合と、一眼レフではないカメラを使う場合は、構造的に、逆入光が起こることはありません。
三脚にカメラを載せると、露出などの設定値が、位置的に見えにくくなることがあります。デジタル一眼レフの普及機やコンパクトデジカメの場合、各種の情報は背面の液晶モニターに表示されるので、三脚使用中でも特に問題はありませんが、デジタル一眼レフの上位機種や、フィルム一眼レフ(ボディ背面は単なる裏蓋)の場合は、設定値がボディ上面部に表示されるので、雲台の位置が高いと、情報を確認しにくいことがあるのです。そのような場合は、ファインダーに接眼して、その中の表示を見れば、一通りの設定値が確認できます。なお、デジタル一眼レフでライブビュー機能がある機種の場合は、ライブビュー機能に切り替えておけば、液晶モニターで設定値を確認することもできます。
撮影が終わったら、三脚からカメラを取り外します。まず、最初にリモートコードを、カメラから取り外して収納。続いて、カメラのストラップを手首に通した上で、三脚の雲台からカメラを取り外します。こうすれば、作業中にカメラを落としてしまう心配は、ありません。その後、カメラをバッグに収納するか、ストラップを首にかけてから、三脚を縮めて収納するという手順になります。
内蔵フラッシュ発光停止、手ブレ補正機能OFF、ISO感度任意、セルフタイマー2秒、ライブビューモードなどとなっているカメラの設定は、三脚を使った撮影が完了した後は、元通りに戻します。全自動で撮影したい場合は、撮影モードダイヤルも、全自動モードに戻しておきましょう。
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