写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2010.08.06
今回のタイトルは、何を言っているのか、さっぱり、わからないという人も多いかと思います。「撮りたいものがないのに、写真を撮ろうなんて。。。?」と、ごく普通の、一般の人は考えることでしょう。しかし、写真愛好家というか、カメラ愛好家の場合は、「被写体よりも、まずカメラが先にありき」で、「機材としてのカメラを使ってみたいのだけれども、具体的に、それで何を撮ったら良いのか? ということは漠然として、また、その対象を自分で探すのも苦手だ」という人が、意外に多いらしいのです。この点が、一般のカメラユーザー(ごく普通の人)と、それ以外の写真愛好家・カメラ愛好家の間にある、感覚的なギャップなのでしょう。そこで今回は、「撮りたい被写体」を、自分で考えて見つけるための方法に、焦点を当てたいと思います。写真愛好家ではない、一般の方の場合は、どこかへ遊びに行くとき、行き先を考えるための方法だと思って、応用してみてください。
一般的に、アマチュアの写真愛好家は、風景写真を撮ることが最も多いものですが、風景とは「どこかに実在する場所」の姿なので、その場所の写真を撮るためには、カメラを持って、そこへ自分で訪ねていく必要があります。それは、写真を撮るために、旅行に出かけるということ。言い替えるなら、写真撮影には、目的地までの距離が遠いか、近いかはともかくとしても、旅がつきものなのです。
だとすれば、「撮りたいもの」が、とりあえず「風景」というジャンルなら、旅行の目的地として「行ってみたい場所」を、自分で探し出すノウハウを身に付ければ、被写体探しで苦労することはなくなるはず。カメラ機材を操作するノウハウと、撮りたいものを自分で探すノウハウは、まったくの別モノなので、どちらのノウハウも最初から知っているという人のほうが、むしろ少ないでしょうから、どちらかが苦手だという方は、これから順次、覚えていけばOKです。しかし、カメラの操作は自動化できても、被写体探しのほうは、すべて自分の意思ですから、自動化ができない分、撮りたいものを探すことのほうが、難しく感じるかもしれませんね。
実際には、目的地まで行くための往復移動時間や、交通費の金額、夏休みなど休暇のスケジュールといったものによっても、様々に制約を受けますから、最終的な結論としては、「行けるところ」が「撮りたいもの」になることが多いでしょう。ここで、自分の興味と、現実的な制約のバランスを考えていくと、撮影対象となる具体的な場所や被写体が、ほぼ自動的に決まるはずです。
旅行の目的地を探す達人といえば、「鉄ちゃん」こと、鉄道ファンの人々でしょう。鉄道ファン御用達の必需品として、紙でできている雑誌の「時刻表」というものがあるので、とりあえず書店(街の本屋さん)へ行って、「時刻表」という(本当にそのまんまのタイトルが付いた雑誌)、月刊の雑誌を買ってみてください。ここから先は、お手元に雑誌の「時刻表」がある前提で、話を進めます。
ただし、ここでは、鉄道の写真を撮ろうというのではありません。「時刻表」そのものも、決して、鉄ちゃんだけが読むマニアックな雑誌ではなくて、日本全国の鉄道各線について、駅名と列車の発着時刻が一覧化されている、旅行者が使うための本。紙質は電話帳のような感じで、使いこなすと、列車の乗り継ぎ経路や、待ち時間を考えて、旅行の計画を自由に立てられるようになります。ちなみに、写真の話は、ほとんど出てきません。
この、雑誌「時刻表」の内容を知るためには、インターネットだけを見て済ますことはできませんし、また、「時刻表」は、紙の本のほうが、漠然と行きたい場所を探すときに便利ですから、本当に書店に行って、最新号を1冊購入してきてください。「時刻表」は、全国どこの書店でも売っていて、小さな店にも置いてあると思います。「時刻表」を活用する知識は、学校や塾で習う勉強とは違いますから、実地で雑学として経験から習得するのが早道。「時刻表」という雑誌があることを、いま初めて知ったという方は、この機会に、ぜひ書店で買って読んでみてください。
雑誌の「時刻表」を見ても、写真撮影のお手本になるような風景写真は載っていませんから、単純に、すでにある写真のマネをすることはできません。この1冊の「時刻表」にある情報を手がかりに、自分の中にある想像力を発揮して、行きたい場所を考えるのです。マネはできないからこそ、ほかの人と、被写体のネタが被る心配はありませんから、写真愛好家の方にとっては、結局、そのほうが良い成果につながると思います。
さて、雑誌の「時刻表」を買ってきて、そのページをめくっていくと、まず冒頭には、全国に広がるJR・私鉄各線の路線図が描かれた、広大な地図が載っています。これを眺めればわかるように、線路は本当に、野を超え、山を越えて、どこまでも続いているのです。この「時刻表」の中の地図は、普通の道路地図とは違ったもので、描き方が独特のデザインになっていて、鉄道の路線と駅名を、どの場所についても、わかりやすく示すように作られています。
それゆえに、鉄道地図の上での地形と方角が、あまり正確ではない箇所もあるのですが、鉄道で旅行した場合の体感的な所要時間や、乗り継ぎする駅などは、一目で理解できるのが特徴。また、それぞれの地域を代表する観光地などの位置や名称も、地図を見て簡単に知ることができます。
この「時刻表」の地図を利用すると、まずは興味のある場所を大ざっぱに選んでから、鉄道やバスなどの公共交通機関を利用して、必ず行けるところだけを、容易に探し出すことが可能。海の景色が見たければ、海沿いの路線を、山の景色が見たければ、内陸部を通る路線を、というように、鉄道の路線図を手がかりとして、自分が行ってみたい場所を、効率的に発掘できるのです。そして、紙の「時刻表」を使えば、行き先の地名を知らない場合でも、地図から行き先候補地を探すことが、何ら問題なく実践できるという特徴もあります。
日本列島は、鉄道路線図にすると、かなり広大な面積になるので、雑誌の「時刻表」では、日本列島を幾つかの区域に分けて、それぞれの区域を、複数のページにわたって、2ページずつの見開きで掲載しています。順番としては、九州地方が最初にあり、四国・中国地方(ここでの「中国地方」とは日本国内の山陽・山陰地域という意味)、近畿・東海・北陸地方、関東・甲信越地方、東北地方、そして最後に、北海道地方という並びで、ページが進んでいきます。ちなみに、東北地方は、横倒しの状態で鉄道地図が描かれていて、右側が北です。このほかに、東京、名古屋、大阪などの都市部については、それぞれに拡大図が掲載されていて、大都市ならではの複雑な鉄道路線を、細かく見ていくことができます。さらに、各都市の地下鉄路線図が、掲載されていることもあります。
地図を見ると、JR各線については、日本全国すべての路線の駅名が、もれなく掲載されていて、まずは大ざっぱに、その位置関係や、路線の距離を知ることができます。2つ以上の路線が交差している駅は、乗り換え可能な駅。新幹線を利用する場合も、在来線との接続を、地図で確認することができます。また、私鉄各線の路線図も、一緒に掲載されているので、地方の小さなローカル線が走っている場所を、見つけることもできます。
そのほか、主なバス路線や、連絡船・遊覧船の航路なども、「時刻表」の地図に載っています。バスや船の路線がある場所は、だいたいが名の通った観光地なので、そのあたりを重点的に探していくと、珍しい風景にたどり着ける可能性が高くなります。また、各地のおすすめ観光スポットなども知ることもできるので、具体的には目的地の名称を知らないところでも、気の向くままに地図のページをめくっていけば、旅行の候補地を、必ず自力で探すことができるわけです。(普通より小さなサイズの「時刻表」もありますが、その場合は、JR以外の路線が省略されていることもあります。)
「時刻表」の地図上には、交通機関の路線図や駅名だけでなく、海や、湖、離島などの地形や位置も、簡単に描かれているので、行ってみたい場所のタイプを、ある程度は、最初から絞り込んで、旅行の目的地を探すことができます。そして、地図を見れば、行きたい場所までの距離感も直感的にわかるので、日帰りと宿泊のどちらにするか? といった、旅行の日数や、費用などの条件も合わせて検討し、自分の都合に適した計画を立てることができるでしょう。そして、地図を見て考えれば、一度に行きたい場所が2つ以上ある場合にも、訪ねるルートを決めるのが簡単です。
「時刻表」に載っている地図を見て、大ざっぱに、行ってみたいところを発見できたら、次は、そこに載っている地名を手がかりとして、もう少し、詳しい情報を確認してみましょう。まずは、「時刻表」の地図に書いてある文字から、目的地に近い駅の名前や、市町村名、あるいは、海岸や川、湖、山、島、半島、岬、その他、名所旧跡や、国立公園、温泉などの名前を調べます。
そして、次に、その地域に関する観光情報が詳しく書いてある、旅行ガイドブックを入手し、目的地の詳細を確認。この段階では、各地の市町村にある、観光協会のホームページなどで、情報を入手するのも良いでしょう。ネットが使えるのは、目的地の名前が、具体的にわかってからです。
以上のように、順番に情報を集めれば、風景写真の撮影という目的に合わせて、自分が行きたい場所を探すことは、どなたにとっても、決して難しくはないはずです。単に「風景写真」というだけでは、漠然としてイメージがわきませんが、雑誌の「時刻表」で地図を見て、地形や所在地と、鉄道路線の関連付けができれば、目的地を探して、実際にそこへ行くのは簡単。定番の有名観光地だけでなく、まだ、ほかの人には、あまり知られていない穴場を、自分の力で探す楽しみも、この方法で存分に味わえると思います。
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