写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2010.11.19
カメラ・写真の専門用語は、難解で、文字で書くと長くなり、聞き慣れないカタカナや略称が出現し、普通の日本語・英語とは意味が違う場合や、同じ1つの単語でも別の分野になると違う意味を指すような場合もあって、しかも用語の数量が極端に多いので、まったくの初心者の方や、専門分野が違う方にとっては、相当に覚えにくいと思います。しかし、その難しさは、カメラの発展史とともに、時間をかけて少しずつ増えてきたカメラ用語を、いまの時点で、全部まとめて一気に覚えようとするから難しくなってしまったもの。その中には、現行機種なら搭載されているのが当たり前になって、わざわざ特別な機能だと意識する必要がなくなっていたり、あるいは、過去にあった古い機能が、より新しい機能に代替され、結果として、もう覚える必要がなくなった用語なども、たくさん含まれています。今回は、そういった専門用語の例を、いろいろと集めてみました。ここにある用語は、わざわざ覚えなくても構わないので、初心者ユーザーの方が、カメラの操作を覚えるときの負担も、少なくすることができます。
オートフォーカスは、カメラが自動的に、レンズのピントを合わせる機能のこと。「AF」と同義。わざわざ、「オート」(自動)といっているのは、1980年代以前(まだフィルムカメラしかなかった時代)には、オートではなく手動でピントを合わせるのが、当たり前だったからです。
この機能は、コンパクト・一眼レフを問わず、デジタルカメラであれば、すべての機種に標準搭載されている、ごく当たり前の機能なので、わざわざ「オートフォーカス」という用語を、覚える必要はありません。実際、コンパクトデジカメには、オートフォーカスしか使えない機種も多いのです。
ただし、フィルムカメラの場合、完全マニュアル操作の機種に、オートフォーカス機能はありません。オートフォーカスの対義語は、「マニュアルフォーカス」(MF)といい、レンズに付いているピントリングを手動で回して、被写体までの距離を調節してピントを合わせます。なお、現行機種の一眼レフカメラは、すべてがオートフォーカスを標準設定としていますが、AF機能を解除すれば、マニュアルフォーカス・モードに切り替えて使うこともできます。
ちなみに、オートフォーカスしか付いていないカメラが増えたことで、ピントが外れているという意味の「ピンボケ」という言葉も、ほとんど使われなくなりました。
標準レンズとは、本来はズーム機能がない、単焦点の50mmレンズ。もともとの意味は、広角でも望遠でもなく、肉眼での見た目に、最も近い状態で撮影できるレンズということです。
ただし、焦点距離50mmを標準レンズと呼ぶのは、写真が露光される面積が、35ミリ判フルサイズ仕様の実効寸法になる条件のときだけのこと。おまけに、この数字の定義は、まだフィルムカメラしかなかった時代、しかもオートフォーカス一眼レフが誕生するよりも昔の、1950年代ごろにできたという、非常に古い時代の産物です。その当時、フィルム用の一眼レフでは、単焦点の50mmレンズを、基本仕様のレンズとしていたので、慣例的に、50mmレンズのことを「標準レンズ」と呼ぶようになりました。
しかし、現在ある一般的なデジカメの場合は、写真の写る面積(撮像サイズ)が、大半の一眼レフでは、35ミリ判フルサイズより小さなAPS-Cサイズ、コンパクト機では、さらに小さな専用サイズとなり、レンズの焦点距離と写る画角の関係が変わったため、単純に50mmを指して標準レンズとは呼べなくなりました。そのほか、ズームレンズが普及した結果として、標準レンズ相当の画角だけでなく、広角から望遠までの異なる画角を、1本のレンズだけで、無段階に調節して撮影できるようにもなり、かつての標準レンズの機能は、一般的なズームレンズに代替されています。また、その場合の50mmは、ズームの途中にあるので、50mmぴったりの位置に焦点距離を合わせることのほうが、最近では難しくなってしまいました。
なお、デジタルカメラ用レンズの仕様に書かれている、35ミリ判換算焦点距離とは、「35ミリ判フルサイズ(フィルム用)のカメラに例えて考えるなら、換算後のミリ数で撮った場合と同じ画角になる」という意味。そのため、光学性能が単焦点50mmのレンズでも、デジカメで撮影した画角(換算後)は50mm相当ではないので、もはや標準レンズとして、単焦点50mmを使えないことになります。
TTL露出計とは、撮影用と同じレンズが作る光学像の明るさを測って、露出を制御する機能のこと。レンズを通して測光し、自動的にシャッター速度と絞り値を決定するので、精度の高い露出制御ができます。
フィルムカメラの場合は、構造的な問題として、一眼レフでなければTTL露出計を搭載できなかったので、昔は、TTLといえば、一眼レフの内蔵露出計のことだけを表していました。しかし、現在では、一眼レフでもコンパクト機でも、すべてのデジタルカメラは、基本的に、このTTL方式の露出計だけを採用していて、それ以外はあり得ないので、特には専門用語を覚える必要もなくなっています。
ちなみに、一眼レフではない方式のフィルムカメラでは、露出計がTTL方式ではなく、撮影用レンズの外に露出計があり、専用の受光部に当たった光を直接測って、その明るさで露出値を決めているものがありました。このタイプの場合、逆光時には、露出計の誤作動に注意を要します。もっと昔までさかのぼると、すべてのカメラにはマニュアル露出機能しかなかったので、別途、単体露出計を使用して測光するか、あるいは、経験とカンだけで適当に露出を決めて、撮影者が手動で露出値をカメラにセット。こうして、自動化された機能などには、まったく頼らずに撮影していました。
しかし、それでも慣れてくると、被写体の明るさに対する、撮影者の絶対音感的な能力だけで、マニュアル露出で撮っても、しっかり適正露出になっていたものです。
クイックリターンミラーとは、一眼レフのボディ内側にあるミラーの、制御に関係する仕様のこと。シャッターを切ったあと、露光前に上昇したミラーが、元の位置まで自動的に戻って、すぐに次のコマの撮影準備ができるタイプです。
いまでは、クイックリターンではない方式のミラーを見たことがある人のほうが少ないので、クイックリターン方式だけが、ごく当たり前のミラーの機能として定着しています。そのため、クイックリターンミラーという意味で、単に、「一眼レフのミラー」という用語を使うことが普通です。
昔、フィルムカメラの時代にあった、クイックリターンではないミラーを使う初期型一眼レフでは、シャッターを1回切ると、ミラーは上がりっぱなしになり、フィルムを手動で巻き上げてシャッターをチャージするまで、ミラーを戻すことはできませんでした。このとき、ファインダー内は、上がったミラーで内側から蓋をされた状態になるので、見た目が真っ暗になります。クイックリターン方式の場合は、すぐにミラーが戻るので、ファインダーが暗くなるのは露光の瞬間だけです。
完全自動絞りとは、シャッターが開いている瞬間だけ、自動的に絞り羽根を動作させ、設定値まで絞り込むという、一眼レフの機能のこと。現在の一眼レフでは、ファインダーを覗いているとき、絞り羽根は開放された状態になっているので、最も像が明るい状態で被写体を確認することができ、シャッターボタンを押すと同時に絞り羽根も動いて、適切な露出設定で露光するようになっています。
そして、設定したF値での露光が終わると、すぐに絞り羽根が開放状態まで戻って、自動的に最も明るい像を、ファインダーで見られるようになります。このように、シャッターボタンの操作と、露光時の絞りの動きが連動する仕組みを、完全自動絞りといいますが、現在では、完全自動絞りではない一眼レフは存在しないので、この用語を覚える必要もありません。
昔、1950年代以前にあった、手動絞りのフィルム用一眼レフでは、ファインダー像が明るくて見やすい開放絞りでピントを合わせた後、手動操作で、レンズ側の絞りリングを動かし、絞り値をセットした後で、シャッターボタンを押して撮影。その後、また手動で絞りを開放に戻して、ファインダーを明るくしてから、次の撮影を準備するようになっていました。つまり、シャッターボタンの操作と、絞りの動きが、それぞれ独立していたわけです。
ちなみに、絞り操作が手動だった時代には、オートフォーカスも、プログラムAEの自動露出も、フィルムの自動巻き上げ(モータードライブ)もなくて、のんびり1コマずつ撮っていたので、絞り操作が自動ではなくても、大きな支障にはならなかったようです。その頃は、絞りを動かすよりも、もっと面倒な手動操作が、たくさんありましたから。これほどまで一眼レフを使った撮影は面倒だったので、昔は、一眼レフよりも、レンジファインダー方式のほうが人気を集めていたのです。
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