写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2010.12.29
現在発売されているデジタルカメラは、いずれの機種も初期設定がフルオートになっているので、どれを使っても、カメラ任せで写真を撮ることはできます。それでも、撮影する状況によって、フルオートでは思い通りの写真にならない場合が、しばしばあり得るものです。そんなときに使ってみたいのが、自動制御を解除して、自分で設定を変えることができるマニュアル機能(手動設定)。今回は、デジカメだからこそ使うことができる、マニュアル機能にスポットを当てたいと思います。一眼レフであれば全メーカー・全機種に、コンパクトデジカメでも上位機種については、マニュアル機能が搭載されているので、一通りの使い方を覚えて、実践で活用してみましょう。このように、フルオートだけに頼らない方法として、マニュアル機能も自由自在に使えるようになれば、もう「初心者」は卒業です。
マニュアル露出機能は、絞り値と、シャッター速度の両方を、それぞれ任意の数値で選択・設定する機能のこと。露出モード(撮影モード)の選択で、「M」と書かれているモードを選択すると、使用できます。ちなみに、絞り値のみ任意で選択するモードは「絞り優先AE」、シャッター速度のみ任意で選択するモードは「シャッター速度優先AE」といい、マニュアル露出とは区別します。マニュアル露出では、ズームの画角や構図を変えたり、2コマ以上続けて撮影する場合にも、自動露出とは違って露出値が勝手に変わらないので、あらかじめ的確な数値に設定しておけば、どのような撮り方をしても、露出(写真の明るさ)を一定に保てる効果があります。同じことは、自動露出にAEロック機能を併用する方法でも可能ですが、AEロックボタンを押し続けるよりも、マニュアル露出機能を使ったほうが、操作は楽で便利なのです。奇抜な構図で撮影したい場合も、カメラ任せのフルオートでは正確な露出を得ることが難しいので、マニュアル露出の習得は必須条件となります。
マニュアル・フォーカス(MF)は、オート・フォーカス(AF)の対義語。ファインダーや液晶モニターを使って、被写体のボケ具合を確認しながら、レンズに付いているピントリングを手動で回転操作することで、ピントを合わせるための機能が、マニュアル・フォーカスです。一般的な撮影であれば、ほとんどの被写体はAFだけで撮影可能ですが、測距センサーがピントを検出しにくい形状・模様の被写体もあるので、そのような場合に、マニュアル・フォーカスを使用します。また、花火や夜景を撮影する場合は、無限大(∞)にピントを固定するために、MFモードを使用する場合があります。
デジタルカメラの場合は、フィルムカメラとは違って、ISO感度を撮影中に随時、変更することができます。一般的な撮影では、ISO感度を自動設定するモードを選ぶことが多いとみられますが、そのほかに、ISO感度を任意の数値として選択・設定することも可能で、被写体の明るさや、手ブレ対策などの目的に応じて、その都度、適切な感度をユーザーが選んで使用します。ISO感度に関しては、普及機まで含めて、全メーカー・全機種で、マニュアル設定が可能です。使い方のポイントは、シャッターを高速に保つ場合は、ISO感度を高めの数値にすること。そして、画面のノイズ(ざらつき感)を避けて、画質の良い写真を撮りたい場合は、低めの数値を選ぶことです。実際の撮影では、手ブレしない程度のシャッター速度を目安として、できるだけ低い(高すぎない)ISO感度を設定すれば良いでしょう。ちなみに、フィルムカメラの場合は、フィルムを買うとき、すでにISO感度を選んでいるので、撮影の途中でカメラの感度設定を変更しても、フィルムそのものを高感度にする効果はありません。(撮影後にフィルム1本分を丸ごと、増感・減感現像することはできます。ただし、1コマ単位でのフィルムの感度変更は無理です。)
ホワイトバランスは、被写体を照らしている光源の色(太陽光や電灯光など)に適するように、白色を基調とする色全体の再現特性を調整する機能。一般的には、カメラ任せの自動ホワイトバランスで使うことが多くなります。ちなみに、この機能は、フィルムカメラにはありません。デジタルカメラでは、カメラが自動設定したホワイトバランスで撮った画像が、肉眼で見た被写体のイメージと合わない場合や、2種類以上の光源が複雑に絡み合うような場所で撮影する場合に、ホワイトバランスをマニュアルで使用。その設定方法は2通りあり、1つは、太陽光・白熱灯・蛍光灯といったような、光源の種類をモードで選択・設定する方法です。もう1つは、白い紙を用意しておき、撮影直前に、その紙の白さを基準として、光源の色をカメラに認識させる方法。2番目の方法では、レンズを通した状態で、白いものが、その通り白く写るように実測で設定します。
これも、フィルムカメラにはない機能。デジタルカメラの場合は、撮った画像をJPEG形式のデータとして記録しますが、デジカメのJPEGは、1度保存したら、やり直しが効かない圧縮データなので、シャッターを切る前に、JPEG画像の作り方を調整しておく必要があるわけです。そこで使うのが、「画像仕上げ」や「ピクチャースタイル」など(メーカーにより呼称が異なる)の機能。画像仕上げのモードには、汎用性が高いノーマルの設定もありますが、撮る被写体の種類が決まっている場合は、風景や、人物ポートレートといったように、それ専用に用意された設定を選ぶと効果的です。また、一眼レフの場合では、コントラスト・彩度・シャープネスなどの要素を、別々にマニュアル設定する機能もあり、より細かくJPEG画像の特徴を作り込むことができます。なお、普及機の撮影モードの中には、被写体の種類に応じた各種の自動制御モードがあるので、それを選べば自動的に画像仕上げも同時設定されますが、高級機には被写体別のプログラムAEがないので、露出モードの選択とは別に、(JPEGの場合は)画像仕上げをマニュアル設定しなければなりません。ただし、JPEGではなくてRAWでデータ記録する場合には、画像仕上げの設定を省略して、後回しにすることができます。
カメラ用語でいう「フラッシュ」とは、暗い場所で撮影する場合に、補助光源として瞬間的に発光することで、被写体を明るく照らすための周辺機器のこと。ちなみに、動画撮影時には使いません。多くのデジタルカメラは、小型フラッシュを内蔵していますが、一眼レフと一部の高級コンパクトデジカメでは、より明るい光を得られる、外付けフラッシュを使うこともできます。カメラの内蔵フラッシュや、純正品の外付けフラッシュには、AFで測定された被写体までの距離と、あらかじめ設定された絞り値に応じて、カメラの露出計からの指示に連携して、発光量を自動制御する機能が付いているので、基本的には、余計な手動操作をしなくてもフラッシュ撮影が可能です。それ以外の方法としては、単体露出計を使って、被写体に当たるフラッシュの光を実測し、その明るさに応じた絞り値を、カメラに手動で設定して撮ることもできます。こちらの方法を選ぶ場合は、カメラのマニュアル露出機能と連携して、フラッシュの発光量をマニュアルモードで設定すると効果的です。
デジタル一眼レフでは、JPEGモードのほかに、写真を撮影する前の時点での、ホワイトバランスの設定と、JPEGの画像仕上げや、画質(圧縮率)の設定などを後回しにして、非圧縮状態の未処理データを、そのまま記録媒体に書き込むモードも、一緒に付いています。この機能を「RAW」といい、画質設定モードの候補から選ぶことができます。RAWで撮影した画像(厳密には画像になる前の未処理データ)の場合は、撮影完了後、パソコンにデータ転送した後で、そのカメラに対応する専用ソフトを使って、後回しにした各種設定を、1つ1つの画像に適用していく必要があります。つまり、JPEGならカメラが自動処理する画像仕上げを、RAWでは、ユーザーがマニュアル操作として、パソコンで行うわけです。この後処理のことを、デジカメ用語では「RAW現像」といいます。ちなみに、「現像」という呼び名が付いていますが、それは比喩としての表現で、現像液を使う暗室現像とは、直接は関係がありません。RAW現像した画像は、パソコンソフトから保存して、1つ1つの画像データに仕上げます。このときには、JPEG形式で記録することも可能ですが、非圧縮のTIFF形式を選ぶこともできます。注意点として、何でもかんでもRAWで撮れば、必ず高画質になるとは限らないので、目的を選んで使用してください。RAW現像は、画像の数量が多くなると、実際にはかなり面倒です。
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