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2011.01.21

【フラッシュの基礎知識】
「ガイドナンバー」について知っておこう

初心者向けのカメラや、レンズ付きフィルム(使いきりカメラ)にも必ず付いているのが、フラッシュ発光機能。この機能だけは、カメラに詳しくない一般の人も含めて、誰でも使う機会がある一方、その使い方といえば、あまり伝えられてこなかったような気がします。そこで今回は、少なくとも、これだけは知っておきたいという、フラッシュ撮影の基礎知識を、できるだけ簡単な話にまとめて、ご紹介したいと思います。

フラッシュは、瞬間発光する照明装置

この解説は、インターネット上でご覧いただいているので、インターネット用語と、カメラ用語の区別について、先に説明しておきます。

単に「フラッシュ」というと、インターネット用語では、ホームページ上に小さな動画像を表示するための機能か、あるいは動画像ファイル、または、そのためのパソコンソフトのことを指しますが、カメラ用語として言うときの「フラッシュ」は、意味がまったく違います。

カメラ用語の「フラッシュ」とは、カメラ本体に内蔵されているか、外付けでカメラに装着できる発光装置のこと。別名で、ストロボともいいます。普通のライトとは違って、撮影時、シャッターを切ったときだけ瞬間的に発光する仕組み。そのため、限られたバッテリー容量でも、電力消費量を節約しながら、十分に明るい光で被写体を照らすことが可能なのです。フラッシュは、太陽光などの自然光がない室内や、夜間の撮影などで、明るさを補うために利用できます。

フラッシュを使えば、手持ちで高速シャッターが切れる

暗いところで、その場にある光だけを使って写真を撮ろうとすると、自動露出でも、露出が合うシャッター速度は著しく下がります。その場合、三脚を使わずに、そのまま低速シャッターを切れば、確実に手ブレしてしまうでしょう。そんなときに、フラッシュを発光させると、被写体を明るく照らすとともに、シャッター速度を手ブレしない程度まで、上げて使うことができます。

初心者の方や、機材には深い興味がない方のために、あまりにも難しくて退屈な説明は省略しますが、なぜ、フラッシュを使ったときだけ、シャッター速度を上げられるのか、ということにも理由があります。フラッシュの発光は、極めて短い瞬間に完了するので、少なくとも、それが光っている時間より、カメラのシャッターが開いている時間のほうが長ければ、フラッシュ撮影はできることになりますね? だから、原則的に、フラッシュを使う場合は、使わない場合よりも、ある程度は、スピードが速いシャッターを選べるわけです。

ちなみに、フラッシュを使って撮影する場合は、もともと、その場にある光を測った露出値(シャッター速度と絞り値のこと)とは、露出を決めるときの考え方が異なりますから、細かいことは、あまり気にしなくても大丈夫。フラッシュ発光時の露出制御については、カメラが自動的に行いますから、そのまま自動モードで撮影可能です。

フラッシュの光が、どこまで届くか考える

フラッシュが光ったとき、その光が届く距離の範囲には、フラッシュの性能として決まっている限度があります。その限界の距離は、カメラ本体や、外付けフラッシュの取扱説明書に、しっかり書いてありますから、ぜひ確認しておいてください。カメラ内蔵フラッシュの場合は、発光のパワーが小さいので、普通の使い方では1~5メートル、長くても10mくらいが限度でしょう(一眼レフでも内蔵フラッシュについては同じ程度の性能)。ちなみに、撮る対象物に近付き過ぎても、レンズの向きと、フラッシュの光の向きがズレてしまうことがあり、正しく撮影できません。

ところで、フラッシュの光は、ISO感度によっても、到達距離が変わります。高感度にしたほうが、遠くまで光を届かせることができますから、被写体までの距離によって、感度設定を使い分けましょう。ただし、あまり高感度にすると、画像がノイズで粗くなってしまうこともあるので、バランス良い感度選択が大切です。

また、発光部にズームフラッシュ機能がある場合は、広角用と望遠用で光の強さが変わります。つまり、被写体を広く照らすのか、それとも遠くにある被写体を狙って光を当てるのか、といったことを選ぶ必要があるわけです。とはいえ、ズームフラッシュ機能は、ズームレンズの操作に連動するので、あまり神経質に考える必要はありません。

注意点として、自動制御の場合、フラッシュで確実に撮影できるのは、フラッシュの光が届く限界距離よりも近い範囲だけに限られます。また、近接撮影の限界として、ピントを合わせることができる最短距離という制約もあります。この範囲なら、フラッシュ光の強弱を、ピント位置、つまり被写体までの距離に応じて、カメラが自動的に判断して発光するので、シャッターボタンを押すだけでも、大半の場合はキレイに写せます。

レンズのズーム機能だけに頼らず、自分で近付いて撮るのがコツ

前述のように、カメラの内蔵フラッシュは、意外とパワーが弱いことがわかりました。そこで、フラッシュの光を確実に被写体まで届かせるには、コツがあります。それは、フラッシュ光の到達限界より近い距離まで、カメラの位置を、被写体に寄せることです。

ということは、要するにフラッシュを使うなら、レンズのズーム機能は、なるべく使わないようにすること。その代わりに、自分で歩いて被写体の近くまで行けば、被写体を大きく撮ることはできるので、その位置でフラッシュを光らせれば、写真は必ずキレイに写ります。被写体に近付くのが面倒くさいから、あるいは、写真を撮っている自分が目立ちたくないから(?)と、ズームレンズの望遠だけに頼っていると、フラッシュ撮影では、どうしても、それが撮影ミスの原因になってしまうのです。

実際のところ、ズームレンズの倍率の高さを売り物にしているカメラでも、内蔵フラッシュの性能だけは、意外と弱かったりもするもの。だから、フラッシュ撮影に限るなら、できるだけレンズは広角側の焦点距離を使って、自分で被写体に近付いて撮影しましょう。また、そうであるなら、もしフラッシュ撮影が多いことが事前にわかっているなら、高倍率ズーム搭載カメラよりも、小型軽量のカメラを選んだほうが、実用的で便利であると言えます。

ガイドナンバーを参考に

「ガイドナンバー」とは、撮影する感度が「ISO100」のとき、「1m先」の被写体が適正露出になるようにフラッシュを発光させるには、レンズの「絞り値」をいくつに設定すれば良いか? という意味の数字。カメラの内蔵フラッシュの場合なら、ガイドナンバー12くらいが普通です。

このガイドナンバーは、被写体までの距離「m」と、絞り値「f」との、積(掛け算)に置き換えられるので、設定する絞り値に応じて、光が届く距離を計算することもできます。とすると、レンズの開放F値は、ズームレンズなら平均してF4くらいですから、ガイドナンバーから逆算して、だいたい3mくらいまでなら、ISO100であっても、内蔵フラッシュで十分な明るさが得られるというわけです。実際には、もう少し高い感度で撮ることが多いですから、5mくらいまでなら、なんとか問題なく撮影できます。

もし、ガイドナンバー12よりも強い発光が必要な場合は、カメラ本体の内蔵フラッシュではなくて、別売りの外付けフラッシュを使うと効果的。外付けフラッシュは、ガイドナンバー30とか、60といった数値になるので、体育館や会議室のような広い場所でも、問題なくフラッシュ撮影できます。ただし、外付けフラッシュを使うには、普及機でも良いので、一眼レフを選ぶ必要があります。

 
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