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2011.02.11
デジタルカメラには、グレードによって、高級機・中級機・普及機などがありますが、その値段の違いは、どんなところに出るのか? 外観だけではわかりにくい、具体的なスペックの違いを比べてみましょう。今回は、デジタル一眼(主としてデジタル一眼レフ)に注目して、違いのある箇所を挙げてみます。
ミラーを使う光学ファインダーを搭載した「一眼レフカメラ」の場合では、その光学ファインダーに専用の素材を使うことになりますが、この部分にも、高級機と普及機の違いが出ます。レンズから入り、ミラーに当たって反射した光学像を、ファインダースクリーンに投影した段階で、その光学像の向きを切り替えて、接眼レンズに映すとき通過する部品。それが、ガラス素材の塊であるプリズムで作られているものと、複数のミラーを組み合わせた、合わせ鏡で作られているものの、2タイプがあるのです。この2種類の中では、プリズムを使用しているほうが高級機や中級機、合わせ鏡を使用しているほうが普及機です。機種のグレードによって部品が異なる理由は、主として部品コストの違いですが、プリズムのほうがマニュアルフォーカス時の視認精度が高く、他方、合わせ鏡のほうでは、質量が軽いためカメラボディの小型・軽量化に有効という特徴があります。なお、AF機能の精度に対しては、ファインダーの素材の違いは、まったく関係がありません。
一眼レフの場合、AF以外の機能に関しては、【高級機+中級機】とそれ以外の普及機という区分で性能が異なりますが、AF測距センサーに関してだけは、【高級機】だけが特別で、それ以外の中級機と普及機は、だいたいが同じ性能区分になります。それだけ、高級機では特別なAF測距センサーを採用していることになり、ずば抜けて高いピント精度を保っています。AF測距点の数だけをとっても、フラッグシップクラスの高級機だけが突出しているので、値段の違いは、まさにここに出ると言えそうです。
デジタル一眼レフのシャッターは、画像センサーのすぐ手前部分を、文字通りにシャッターで隠すように付いています。撮影時には、このシャッター機構を、自動または手動で設定したスピードに合わせて動作させるのですが、シャッター部品にも高性能なものと一般的なものがあって、高性能なシャッター部品のほうが、より素早い動作にも対応可能。そのため、普及機よりも部品性能が高い、高級機のほうが、シャッター速度の上限が高くなり、1/8000秒などにセットすることができます。
デジタル一眼レフでは、フラッシュ撮影時(ストロボ使用時)の同調速度(上限)も、シャッター部品の性能によって左右されます。フラッシュを使わずに撮影する場合(普通の自然光)の上限シャッター速度が、より高速であるカメラのほうが、フラッシュの同調速度も速くなり、高級機では同調速度1/250秒や1/300秒(機種によって違いがある)でフラッシュ撮影が可能。普及機の場合は、シャッター部品の性能が、高級機に比べると少し低くなるので、フラッシュの同調速度も、同メーカーの高級機と比べて1段か、1/2段分くらい遅くなります。普及機のフラッシュの同調速度については、メーカーや機種によって、それぞれ違いが見られるので、購入の前に仕様を確認してください。
カメラの露出モードを、マニュアル露出に切り替えて使用する場合は、絞り値とシャッター速度の両方とも、ユーザーが自分で任意の数値にセットしますが、そのときの設定方法が、普及機と高級機で異なっています。デジタル一眼レフの普及機では、ボディ背面にある絞り設定ボタンを押し込んだ状態で、シャッターボタンの近くに1つだけある電子ダイヤルを操作して、絞り値を変更することが普通です。ちなみに、絞り設定ボタンを押さずに、電子ダイヤルだけを単独で回すと、マニュアル露出モードの場合は、シャッター速度が変化します。それ以外のAEモードの場合は、電子ダイヤルの単独操作で、優先設定するほうの数値が変化し、また、プログラムAEの場合は露光量を一定に保ちながら、プログラムシフトします。つまり、簡単に言うと普及機では、絞り優先AEの場合と、マニュアル露出モードの場合で、絞り値のセットの仕方が違うわけです。これに対して、デジタル一眼レフの高級機の場合では、ボディ背面にシフトボタンはなく、代わりに、もう1つの独立した電子ダイヤルが付いていて、この背面ダイヤルの単独操作を、絞り値の設定変更に使用します。つまり、高級機には、独立した電子ダイヤルが、前後で合計して2つ付いていることになるので、普及機に比べると部品コストも高くなり、それが価格に反映されます。
普通は、デジタルカメラに付いている、メモリーカードスロットの数は1つだけですが、高級機の中でもプロ用のフラッグシップクラスの機種では、それが2つ付いているものがあります。言い替えると、2枚同時に、異なるメモリーカードをセットすることができます。この装備を利用すれば、1コマ撮影するごとに画像のバックアップデータを記録したり、撮影済みの画像データを、カメラの中だけで全部コピーすることも可能です。ちなみに、中級機には、そこまでの重装備はないので、ほかの主な性能では類似していても、このあたりには高級機と中級機の違いが見られることになります。
複数コマを連続して撮影するとき、1秒間の連写コマ数では、普及機よりも、高級機のほうが格段に高性能です。この点は、フィルムを使う一眼レフだけでなく、デジタル一眼レフでも同様。フィルム用一眼レフの場合は、巻き上げモーターの性能が連写速度の高速化において最も重要でしたが、デジタル一眼レフでは、物理的にモーターで巻き上げるものはないので、その代わりとして、画像データを処理・記録するスピードが重要になっています。画像処理エンジンの性能が高ければ、撮影済みの画像データを、次々と素早く送り出せるので、連写速度もスピードアップできるわけです。このような情報処理系統でも、高級機のほうが性能の高い部品を、惜しげなく使っています。なお、同じ連写速度(1秒間に撮れるコマ数の設定)で撮影した場合でも、普及機より高級機のほうがデータ処理系統の性能に余裕があるので、そのペースを保って撮影を続けられる上限のコマ数では、高級機が勝っています。
普及機のデジタル一眼レフの場合、ボディ上面にはモードダイヤルがあるだけですが、高級機の場合は、ボディ上面にもカメラの設定状態や、露出の測光値などを表示するための液晶表示パネル(文字・記号・数字などの表示専用)が付いています。普及機では、背面の液晶モニターしか画面がありませんが、高級機には、表示用の画面が外側に合計2箇所(そのほかに全機種ともファインダー内の表示が1箇所)あるわけです。このように高級機では、普及機よりも部品点数そのものが多くなるので、その分だけ製造コストが高くなり、製品全体の価格にも反映されます。
普及機の一眼レフでは、初心者のニーズに応えるため、カメラボディを小さく軽く作ってあります。そして、高級機や中級機の場合では、カメラボディの軽さより、頑丈さを優先して、多少は重くなっても壊れにくい素材を使用しています。このあたりの材質の違いも、しっかり価格に反映されているところで、基本的には、重いカメラほど、グレードが上がって、価格は高くなります。また、高級機や中級機は、雨天の屋外で撮影する場合などに対応可能な防滴性能にも優れており、カメラボディ内部への、水の浸入を防ぐ加工に、製造コストがかかっています。
液晶モニター以外に光学ファインダーがあること、レンズ交換(レンズの取外し)を可能とするために、レンズマウントがあることなどは、一眼レフカメラだけに見られる特徴です。このような独特の部品を装備するため、コンパクトデジカメよりも、デジタル一眼レフのほうが、部品コストはどうしても高くなります。また、画像センサーそのものの寸法も、比較すると、デジタル一眼レフのほうが大きくなるので、それだけ製造コストはかかっています。このような理由から、デジタル一眼レフは、それが普及機であっても、コンパクトデジカメよりは値段が高くなるわけです。また、さらに性能の高い部品を満載している、デジタル一眼レフの高級機は、より値段が高めに設定されています。
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