写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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1997年4月5日
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鳥取県西伯郡西伯町(さいはくちょう)は米子から南へ約12kmにある、のどかな町です。桜きれいな名所でもありますが、ここに記す民衆芸術“一式飾り”が行われる4月14~15日頃は、例年ならば、まだ盛りと咲いてます。しかし今年は残念ながら、1週間以上も早く咲きだしてしまい、葉桜になりそうです。とはいえ、西伯町の魅力が減じるわけではありません。美しい山と河に恵まれ、多くの伝説、古墳、古文書、史跡が息づくこの地は、むしろ歴史の散策、花鳥風月を楽しむのであれば、かえって葉桜もまた魅力的かもしれません。
法勝寺の氏子たちが班に別れて、ワラや木片などの様々な素材で、どんな物を作るか、逆にこのような素晴らしい器がこんな素材でできるのかと、知恵を競っていろいろな物を作り上げます。それを見せ合うのが“一式飾り”です。一般のお祭りとは異なって、趣のある行事です。西伯町の無形文化財に指定され、過去百年以上にわたり、生活の楽しみとして培われ、飾られてきた貴重な文化遺産です。
戦国時代には山名、尼子、毛利が死闘をくりひろげられ、その当時を忍ぶ尾崎城跡(現:法勝寺城山公園)もあります。また町の中心にある法勝寺は江戸時代上方(大阪)と出雲(島根)を結ぶ交通の要所で、宿場町としても栄え、今でも道標や街並に面影を忍ばせています。このような風土の中で“一式飾り”や“法勝寺歌舞伎”が受け継がれています。
“一式飾り”の作製は一定の条件があり、食器なら食器、農具なら農具だけというように、同一種類の素材で構成しなければならないとされ、そこに作品を仕上げるための苦労と面白みがあります。例えば、正月用品一式(神棚に飾られる昆布、のり、するめ、干し数の子など)、漆器一式(膳、椀、盆など)、おとぎ話に出てくるもの一式、干支一式といったように、すべと一式で工夫を凝らして作られます。最近は漫画の主人公なども登場します。
最近は個人で飾られる例が少なくなり、チームを組んで飾るようになっています。島根県平田市では大掛かりな一式飾りが行われていますが、この地では素朴で民芸的な要素が強いイメージがあります。この素朴さを求めて、一度、訪れてはいかがでしょう。
【西伯町への交通アクセス】
JR山陰本線米子駅からバス約50分。1時間ごと程度に便があります。
【情報問合せ】
西伯町役場 電話0859-66-3111
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