＊＊＊　藤の花が桜を追いかける　＊＊＊
全国各地に歴史とロマンを秘めた藤の花

『あなたを歓迎します』は藤の花言葉です。この藤、桜の花を追いかけるように咲きますが、花の色からくるのでしょうか、桜が『動』とするなら藤は『静』と対照的な感じを私たちに与えてくれます。季語は春、もっとも春といっても初夏に近い時期のようです。源氏物語の「藤壷」と「光源氏」が逢う場面が、なんとなく藤の花が咲いている下でのイメージを想像してしまいます。この藤壷もそうですが、藤の花を愛したといわれる藤原重徳の娘、熊野御前（ゆやごぜん）は和歌にも通じ、才色ともに優れ、女性の手本、鏡ともされ、藤の花が似合うあるいは愛でる女性はシットリとした上品さを感じます。独特の甘い香りもやはり気品の高さを思わせてくれます。（写真は熊野の長藤）
また、雨が似合う花のひとつではないでしょうか。特に春の煙るような雨にピッタリしたイメージもあります。新緑が映えるこの時期の藤の花には写欲がそそられますね。
藤の花にも何種類かあります。大別しますとと右巻きのフジ（長藤）と左巻きのヤマフジ（花美短藤）とに分けられ、花房の長さ、花色で分類されています。ヤマフジ、ナガフジ（紫）、ナガフジ（白）などが代表的です。さらにこの藤は長寿で1000年以上の古木もあり、それだけにいわれや由緒のある藤が各地に散在しています。ロマンと歴史を感じさせる花でもあるわけです。国、県、市町村の指定天然記念物も多々あります。

藤の花の名所

主な場所を記しますが、関西から関東の見頃は4月下旬から5月上旬です。但し、今年は若干、早まっているようです。
＊宮崎県宮崎市　宮崎神宮　根まわり約3mのオオシラフジ　国指定天然記念物　4月下旬まで
＊愛媛県五十崎町 竜王公園 西日本一の長さの藤棚350mのトンネル 4月29日に藤祭= JR内子線内子駅下車 問合せ　五十崎町観光協会 0893-44-2121
＊徳島県石井町　地福寺= 藤の石井町とも石井町の藤ともいわれている　JR徳島本線石井駅下車
＊岡山県和気町 名勝芳嵐園・藤公園= 和気神社（和気清麻呂公いわれの神社）外苑として清流日笠川に沿う= 1.5万平米の公園 藤棚面積3600平米の藤棚 日本一の声も 4月29日に藤祭= JR山陽本線和気駅からタクシー 1,000円前後
＊兵庫県明石市 住吉神社= 毎年5月1日には奉納能楽会が開催され、この時期には境内の藤棚も薄紫の独特の世界を作る= 山陽電鉄 魚住駅徒歩5～6分　問合せ住吉神社 078-946-0417
＊兵庫県山崎町　大歳神社= 藤は県指定天然記念物　山陽電鉄山電網干駅からバス神姫バス50分= 大阪駅から高速バス山崎インター下車
＊兵庫県神戸市 妙法寺川公園= 藤棚の下では藤の花の甘い香り　山陽電鉄東須磨下車　南東徒歩3分
＊京都市　城南宮= 優雅な優雅な巫女と藤　京都駅19系統バス城南宮行（京阪電車中書島からもバスあり）
＊京都市　梨木神社 紫式部の邸跡といわれる= 河原町駅から市バスで府立医大病院前停下車　京都御苑の東側
＊京都市 仁和寺 徒然草にも登場するお寺 嵐電御室駅で下車
＊京都府宇治市　平等院　女性の散策にはピッタリの参道　JR・京阪電鉄の宇治駅から徒歩
＊滋賀県 正法寺 300年以上も昔に普存禅師が植えた藤が咲く 5月上～中旬= 近江鉄道日野駅より鎌掛行バス終点下車
＊奈良県奈良市　奈良公園 春日大社神苑 万葉植物園 原生林の藤の花も= 5月上～中旬　JR・近鉄奈良駅からバス
＊奈良県室生村　大野寺（室生寺の末寺）しだれ桜でも有名 5月上～中旬= 近鉄室生口大野駅から徒歩約5分

＊福井県福井市　福井市少年自然の家までの登り道　古いものは樹齢が1000年を越えるといわれる= 5月上～中旬 問合せ 0776-41-3660
＊石川県金沢市 兼六園 庭園に映える藤 5月上～中旬
＊三重県松阪市　松阪城跡（松阪公園）
＊愛知県江南市 曼陀羅寺公園 藤まつり 4月19日～5月5日 名鉄江南駅
＊静岡県藤枝市= 町で藤の花をバックアップ　白藤の滝、盤脚院、清水公園、藤美園　青木遊歩道（藤棚の路）、谷稲葉の山藤、蓮華寺池公園など　4月下旬～5月上旬　JR東海道本線藤枝駅
＊東京都調布市　国領神社　5月上旬　京王線　布田駅から北へ徒歩7～8分
＊東京都台東区　亀戸天神　都内でも有名な藤の花の名所　5月上旬　JR総武線亀戸駅から徒歩10分
＊新潟県燕市八王子　安了寺の樹齢 300年の大藤 5月上旬= 新幹線 燕三条駅からタクシー10分弱
（写真は藤枝市蓮華寺池公園）

藤にちなんだ番外

第4回全国藤の都市サミット（藤の花を市の指定にしている14の首長が集まる）江南市で開催= 4月30日～5月1日