写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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平成10年9月19日
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
ぶどうに関してはワイン、ブランデー、ワイナリー、ソムリエといった横文字が並びます。そのためか、ぶどうそのものもは海外から移植されたように思われがちですが、いわれは奈良時代にまでさかのぼり、葡萄酒としての輸入は安土桃山時代と、日本でのぶどうに関する歴史は意外と古くからあります。そのぶどうの発祥の地といわれているのが山梨県勝沼町で、毎年、10月の第一日曜日にはぶどう祭が催されます。
このぶどうについての説はあまり明確ではありませんが、勝沼町に2説が残っています。古い説からでは養老2年(奈良時代)、僧の行基がこの地にとどまっている時、薬師如来が霊夢に現れ、その右手にぶどう、左手に宝印を持っていたといわれています。そこで行基はこの地に薬師如来を刻んで大善寺を建立。ぶどうが実ることを示唆したといわれています。また、大善寺に残る伝教の法典の中に「左手取宝印置花膝上、右手取葡萄、葡萄諸病忽除之宝薬也」があって、ぶどう発祥地に大善寺説が伝えられています。この文から、ぶどうは昔から病を除く、薬なりとありますから、最近の「ワインは体に良い」といった話は、すでに奈良時代から語られていた(?)ことになるのでしょうか。
そして第二説は、雨宮勘解由の説です。鎌倉時代に入ったばかりの(1186年)の頃から村人と一緒に栽培した話が残っています。その実は非常に甘く珍重されたようです。また、勘解由の子孫がぶどうを武田信玄に献上して、美味であったことから大変に褒められ太刀を賜ったともいわれています。
甲州ぶどうとして定着するのは江戸時代で、江戸まで甲州街道を運んだ姿が目に浮かびますが、葡萄酒醸造の歴史となりますと、やはり明治時代にまで下がります。もっとも白ワイン、ブランデーなどを醸造しましたが、一時的に売れたものの、残念ながら技術不足で、失敗に終わっています。勝沼で本格的な葡萄酒の醸造が始まったのは大正時代に入ってからです。この意味からすると、ワインは私ども日本人にとって新しい商品といえるかもしれませんね。
現在では国内醸造量の25%にあたる年間10,000キロリットルのワインをここ勝沼で醸造しています。また、中央線に乗って大月駅を過ぎしばらくすると、列車が高台を走ることから、ぶどう棚がズラリと並んでいる光景が見られます。日本一のぶどうの収穫量を誇る勝沼ぶどう郷です。
勝沼町はワインを求めて多くの人達が訪れますが、甲府盆地、南アルプスを見渡せる風光明媚な場所ですから、キャンプやハイキングを目的として訪問するケースも多々あります。さらにぶどうの丘、ぶどうの国文化館、ぶどうの国資料館、釈迦堂遺跡博物館など公営施設やワイナリー、ぶどう狩り園、美術館、ハーブ庭園などの施設もありますので、大人から子供まで楽しめます。もちろん、ぶどう狩りも11月中旬までできます。ただし、ワインの試飲があちらこちらでできますので、車での観光には充分の注意が必要です。
ところで、ぶどうと切っても切れない存在がぶどう発祥伝説がある真言宗の寺院“大善寺”でしょう。この本堂は鎌倉時代の建物で国宝に指定され、本尊 薬師如来座像、脇仏 日光・月光菩薩立像などの国の重要文化財もあるほか、平安時代からの古文書も多く残されています。その大善寺で10月の第一日曜日(10月4日)に鳥居焼き(とりいやき)が行われます。以前はお盆にあったのですが、現在ではぶどう祭の一環の行事として行われるようになっています。
当日のぶどう祭は主に中央公園で行われ、午前10時からスタートします。子供向けのショーや神輿、ぶどう太鼓、地元の生徒による鼓笛などのパレードがあり、夕方6時30分頃、山の中腹にある大善寺に向かって火の行列が出発します。若者たちが松明を手に駆け登り、 365本の松に火を放ち、遠くから見るとその火が鳥居の形に浮かび上がります。撮影は火の近くよりもやや遠方をがいいでしょう。火の通る道から若干外れますが、“やかた”と呼ばれる広場がありますので、そこならば、よく見えてゆっくり撮影できます。また、花火も打ち上げられますが、ここから鑑賞できます。
[交通アクセス]
JR中央線勝沼ぶどう郷駅 中央公園までタクシー5分
中央自動車道勝沼インターから役場方面へ
[問合せ]
勝沼町役場観光課 0553-44-1111 (代)
中央公民館 0553-44-2100
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