修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2007.11.12
今回の講義は、レールの腐食に関してです。
フィルムの乳剤面にはゼラチンが使われており、長い間フィルムを装填したままにしておくと、湿気で乳剤面が変化し、接している内レールに欄間の透かし彫り(雲竜文様)痕跡を作ります。
之は、暗いところに押し込められたフィルムが、恐怖から涙を流したのではと思うのです。
(パトロネの中も暗いか....)
腐食したレールを指でなぞると、ザラ~とした感触があります。
当然、装填したフィルムは、巻き上げられる度に腐食をなぞる訳で腐食が剥離し、乳剤面を汚染するとなります。
では、どうするかですが、大方は砂消しゴムかヤスリでゴシゴシって所でしょうか?
「いけませんね!」
セロテープで内レールを挟むよう養生をします。中の空気を抜くように密着させます。
呉工業のCRC5-56を内レールに塗布し、時間を置いて腐食を浮き上がらせます。
CMのように直ぐにとはいかないようです。
CRC5-56を内レールに直接噴射してはいけません。
別途、容器に分けてから筆等で塗布して下さい。
割り箸の先端に角度を付け、粘性の研磨剤ピカール(赤丸部)を塗布、CRC5-56も同場所に付け、力を入れずに研磨をするのです。
途中で経過を見ながら、新たに研磨剤ピカールを再塗布して下さい。
研磨後の画像です。腐食も大夫綺麗になりまして、フィルムに傷が付くことも無くなります。
レールにコラーゲン入りクリームを塗ったかの如くツルゥ~・ツルゥ~になりましたね!
これで、「切られ与三」のフィルムにしなくてすみます。
傷の無い与三郎では、歌舞伎の演目から外されシャレにもなりませんか....
日本橋店中古売場 田口由明
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