修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2007.12.05
販売したお客様としばしの歓談の中で「壊れた大事なコニカオートSがあるんです。
余りに昔のカメラで修理をしてくれるところが無く、信頼できる修理所も知らないし壊れたままにしておきますよ」と話されました。
「私は、4月迄修理部におりましたが店舗に移動になったんです。宜しければ、ご都合の良いときに拝見させて下さい」と伝えました。
数日後、お客様が来店なさりコニカオートSを持参しました。
「お近くにお勤めですか?」と尋ねると「有給を取って来ました」とのこと。
お住まいは 野田市 で、お勤めは 柏市 、之はまいったぁ~。
故障状況は、枚数計窓脱落・鏡胴緩み・シャッター秒時油切れ、之は直せると、預かることにしました。
(処置)
枚数計窓は破損しており、新たにアクリル板で作成しました。
鏡胴緩みは、締め付け座金の緩みとヘリコイドグリス不足が原因でした。
シャッター秒時油切れは、シャッターを分解清掃後、注油をして快調なギヤー音がします。
完成後、弊社柏店に送り、仲介の労をお願い致しました。
送付した翌日にお礼の電話を受けた。
壊れていても大事に保管していたのは、お父様の遺品であり「自分で購入したカメラは手放してもコニカオートSは手放せないのだと」語ってくれました。
鼻の奥が熱くなります。
壊れてから今日まで、どれ程の時間が経過したのでしょうか?
親子の間にどの様な人間模様があったかは知るよしもありませんが、強い親子の絆で結ばれたカメラと想像します。
カメラにフィルムを通し、ファインダーを覗けば、お父様が覗いた同じ情景と、お父様の温もりが伝わってくるものと思います。
日本橋店中古売場 田口由明
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