修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.02.19
ミノルタCLEのファインダーにカビがあると数歩先より入院してきた。
昨今は、救急車でも受け入れを拒否され、亡くなる方がいる。悲劇の繰り返しが起きている。諸事情により、日々、ウインドーが寂しくなり来店も減っている中、受け入れねばなるまい。
ファイダーを覗くと稲妻(赤○部)が走っている。視野枠をカビが食害した痕跡が稲妻状に見えるのである。自然界の芸術とビートたけしは評価するかも知れない。
本来、無い物が見えるのは目障りであり、商品価値が落ちてしまう。
視野枠は、外すとパララックス調整が必要であり、非常に面倒な作業が待っている。
その上、CLEはファインダー光路が複雑で作業がやりづらい。
拡大しながらの作業は、顕微鏡下手術と同じで集中しなければならないが、助手もいない。
補修部品は無い。ないないづくしの中、針先程の鋭さの先に塗料を乗せ、食害された場所を埋めていく。根気のいる作業だ。
輪島塗の絵付けには、琵琶湖に生息する野鼠の髭が最高とされているが、生息数が激減し伝統工芸に暗い影を落としていると言う。
それに比べれば、手作り道具の素材には困らない。補修され、目障りが無くなったファインダーは気持ちがよい。お客様のお茶の水の先生は、ファインダーが綺麗になれば全てよし、と屈託の無い方がいる。
雷に打たれもせず、主眼が補修されたので、他のミラーやプリズムの清掃をして完成となる。
日本橋店中古売場 田口由明
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