修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.02.28
「おやじのマミヤレンズが壊れてしまってね!直るかなぁ~」と、聞かれた。
何時でも直すからと答えると、入院してこない。2年越での入院である。遠いところに住んでいるのかと思う。多分、おぃ~まだかと催促されたのであろう。「まぁ~だだよ」とは言えなかったと思う。
天の岩戸状態のマミヤレンズ。百万(やおろず)の神々が宴会を開いても開かない。
シャッターチャージ環が滑走するA点線部とB点線部には、モリブデングリスが塗布してあるが、働き過ぎの為、息切れをしている。
大方はモリブデンの黒色だが、汚れと摩耗による金属粉が混じっている。両、滑走面を良く清掃し、新たなモリブデングリスを塗布する。
羽根開かずの主原因は、油分の潤湿による羽根の貼り付きにより起こる。レンズシャッターの宿命とも思う。前玉群を外し、楊枝の先で軽く突くと羽根が開くので診断は楽である。
絞り羽根も同様で、Aベンジンにて洗浄する。
ここも、肝心な場所だ!!羽根開閉環の清掃をしなくては!油分の潤湿があると、ゆるりと開閉するのである。汚れを清掃し、モリブデン粉を塗布する。ここは、乾燥地帯だ。
スローガバナもチリチリ虫が住み着いている。Aベンジン浴で歯車の汚れを落とし、油分という食事を与えると心地よい音色が蘇る。
来た道を引き返し完成となる。仕上がったよと渡すと「悪かったところは?」と、聞かれたのでスタジオへでは無く、ブログで説明すると答える。
日本橋店中古売場 田口由明
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