修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.03.26
オリンパスペンの虜になってしまった方が相談に見えた。
手に入りづらいペンワイドをオークションで手に入れたが、不具合があり是非とも小生に修理をして頂きたいとの要望で「拝見しますと」答えると、休み明けに来訪者は入院をしていたのである。
ファインダーは春霞の様相を呈し、秋晴れの空を希望と記述がある。
春の来客、黄砂が入ってしまったのか?
巻き上げ飛びの症状があり、シャッターがセットされない。
作動音も心なしか頼りが無く、仕方なしに動いている状態であった。
こりゃダメだ、昔年の汚れもある。総分解をして洗浄後、注油をしなければならない。
シャッター機構部は全ての部品を外し、Aベンジンで洗浄をする。
頼りがない動きは、駆動レバーと駆動レバー軸の油切れであった。
洗浄して注油をすれば良い動きとなる。修理をするに当たり、肝心要な部分でもある。
「肝心」は「肝腎」とも書き、肝と心、肝と腎は、どちらも人体にとって大事な臓器であり、要は、扇の元を止めている金具で「要」が壊れたら、ダメになる故「最も大事な部分」からが語源となっている。
裏蓋や本体にあるモルト(遮光スポンジ)も加水分解により遮光の役目を果たせない。
新しいモルトは弾力があり、泡一つ一つが元気な細胞である。
完成したペンワイドをウインドーで保管展示しておいた所、値札が無いのに「おいくらですか?」と聞かれる希少なペンワイドであった。
日本橋店中古売場 田口由明
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