修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.06.12
※この記事は「F.DECKEL-MUNCHEN Part.1」からの続きとなっています。
1のシャッター羽根の一部が反っておりスローガバナに食い込まない仕様になっている。
開閉環は、六角ネジ2本とスローガバナの突起で押さえている。
スローガバナとは、Slow緩速governor変調機で車の変速機と同じ様な役目をします。
秒時環にあるカム溝の形状により、歯車の動く組み合わせを変えます。
要は、走っている人を一時的にトウセンボする時間を変える役割がスローガバナなのです。
即ち、トウセンボされている時間だけシャッターが開いている事になります。
汚れはAベンジンで洗浄したが、汚れが完全に落ちず、シンナーで洗浄をしたら綺麗になり、開閉環が収まっている溝部には二硫化モリブデン粉を塗布する。
絞り羽根部も汚れを洗浄した。
(T&Bの作動原理)
T&Bを使用する場合は、セット環は動かない。
その理由は、セット環の一部が秒時環の狭い溝に入り、セット環の動きを押さえているからで、動かないからとセット環を無理矢理動かすと破損し万事休すになる。
レリーズにはT&Bレバーが一体の仕様になっている。
T&Bを使用する場合は、T&Bレバーが開閉環を開く方向に押して作り出される。
Tは秒時環のTの窪みに位置するときに開閉環がTレバーで係止され、再度、レリーズすると解除される。
BはBの窪みに位置し、Tレバーは係止の役目をしないので、レリーズしている間だけシャッターは開いているのです。
1秒以上になると秒時環により、更にTレバーは押し上げられて働かない機構になる。
機械式は手を入れただけ答えてくれる。
今回のコンパー00番シャッターは、製造から半世紀を超えていると思われるが、心地よい作動音が蘇ったのが嬉しい限りです。
アメリカ合衆国5セント硬貨は、通称ニッケルの愛称があり、帰国後、グアム赴任時代の使い残しがポケットに入っていました。今では電池蓋の開閉に重宝しています。
そして、暖かみのあるニッケルメッキの秒時環は、クロームと違って落ち着いた輝きを放っていると思うのは小生だけだろうか?
日本橋店中古売場 田口由明
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