修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.06.19
Retina II型の外来患者であったが、シャッター羽根の重なり際に油分の湿潤が見られたので入院させることにした。俗に言う羽根油である。
シャッターを外された本体は、様にならない格好をしており、早く取り付けて欲しいと嘆いている。
車ならエンジンを下ろした状態のシャッター部です。1/500迄開閉速度が進化して、早くなったとの単語RAPIDが付記された。
電車にもRAPIDを冠した準急があり、停車する駅が少ないため所要時間が早くなるが、シャッターは途中の秒時を飛ばして早くなってはシャレにならない。
シャッター羽根の重なり部には油分の湿潤の痕跡がありありである。
シャッター羽根は勿論、機構部も洗浄し、必要な部位には注油をする。
注油の大判振る舞いは厳禁ですぞ。
3枚羽根から5枚羽根になり、開閉距離が短くなった分、1/500が可能になった。
Retina II COMPUR-RAPID シャッター機構部。
COMPUR 00番の機構部。
(DECKEL MUNCHENのブログを参照)で機構自体の仕様は大きく変わらないのがお分かり頂けると思う。
しいて、述べればレリーズ受け口の有無の違いだろうか。
素材の品質と加工精度の品質は、手を入れた後のご褒美に醸し出す作動音であり、聴覚に喜びの音を響かせる。
修理は、視覚・聴覚・触覚の世界でもある。もう一つ、嗅覚があるが、品質の悪いグリスの匂いには閉口する。最後の味覚は試したことが無いが、バターの味がするのであろうか?
日本橋店中古売場 田口由明
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