修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.06.27
情報を持たない。経験が無い民具を分解するのは不安がある。
トプコンスパーDは未経験であり、止めネジが正か逆か?この様な場合、一気に回してはならない。注意深く回し、伝わる感覚で緩んだかを判断する。
スパーDは、逆ネジであった。第一関門突破。
チリチリ虫の住処が分からない。多くは本体底部に取り付けられているが、C社の一部は巻上部側に取り付けられている。先ずは、聴覚で音の発生所を聞き分ける。シャッター制御部付近より聞こえる感がする。音はすれど姿は見えず。
シャッターを切ると赤○部が動く、調整レバーを赤矢印方向に動かすとアンクルの音がした。
試しに枚数計部を取り去るとスローガバナが見えた。これでチリチリ虫の鳴き声が直る。
歯車とアンクルに注油するとリズム良い鳴き声に変りました。
上カバーを外すに当たり、もう一つの懸念がある。TTL露出計を組み込んであると、組み込み位置が何処か?と言う事になる。
例え、外れても内部に印があれば幸運で、無ければ達磨大師になる。 それ故、シャッターダイアルを無闇に外せば連動仕掛けを破損してしまう事もあります。
AE-1やSRT101の例に習い、ASAを最高感度に、シャッタースピードをBにして外すことにしました。外したところ、僅かにバネが動いた音がした。
ワォ~、内部に鎖が張りめぐらしてある。さぁ~困った。シャッターダイアル組み込み位置が判らない。鎖呪縛であろうか?鎖で縛られた夢を見てはシャレにならない。
このような時は、ティータイムが宜しい。加齢で萎縮し始めた大脳に糖分を補給し、脳を喜ばせる事にする。多少は、思考回路が回復するだろう。
赤丸部の穴は何を意味するのか?シャッターダイアルを取り付ける盤の下に、鎖が取り付けてあるASA盤を覗く穴か?
兎も角、ASA盤を時計回りに回すと、赤丸部の穴から赤い印が見えたのである。
シャッタースピードB・ASA感度を最高にして外したにもかかわらず戻った音は、この送り量が理由であった。
脇からASA盤を押さえたのではシャッターダイアルが組み込めない。
2番ドライバを穴に入れASA盤を押さえ、動かないようにしながらシャッターダイアルを上から2番ドライバに通し、ASA最高感度(赤点線位置)に組み込んだのです。
「がんばらないで」でも「あきらめないで」は、お茶の水の先生からの伝聞である。
このような思いやりある言葉をかけられたら、「がんばっちゃう」よね!
とんだ、チリチリ虫の鳴くスパーDであった。
日本橋店中古売場 田口由明
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