修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.07.18
モルト交換と偶には風呂へ入れよとの清掃で入院していたセンソレックス。
専門外の診療ではあるが、モルト交換・清掃なら宜しかろうと始めたのであるが、まさかの坂を下ることになる。人生まさかの坂が多いようだ!未だに鍋底に到達しない。
F値開放設定ダイアルがグラグラしている。カメラの歯周病であろうか?
カバーを外してみたが、固定ネジが無い。結局、F値開放設定ダイアル前部の擬皮を剥がすとネジが現れたのです。之で止めておけばまさかの坂は、短くて済んだのです。
この機種は、追針式の方式を採っており、興味を抱いたのがまさかの坂を尚も下ることになる。
シャッタースピード板を外したら歯車屋敷に足を踏み込んで仕舞った。
ああ~、露出計組み込みTTL方式の民具はやだね~。
追針はパチンとの音を残し、バネとの綱引きに負けて戻ってしまうのです。
覆水盆に返らずで、興味なぞ持たなければ良かったと、転げた坂を見上げる。
立ち仕事で、それ程詰まってもいない頭が重く感じられる。
頸椎に負担を掛けながらASA歯車を差し込み横から動きを探ってみた。
1がASA歯車で2がアイドル歯車・3が扇形歯車で情報を伝える仕組みだ。
その先は、と言うと道が無い。尚も観察するとスタジオへならぬ底部へと続くようである。
底部に顔を出した伏流水は複雑な形状をし、F値情報を合流させ赤○のピンを動かし、追針を作動させているのです。では、歯車の組み込み位置は如何にとなり、頸椎への負担は尚も続く。
「頑張らないで、でも、諦めないで」の声がお茶の水方向より聞こえる。
ASA歯車を組み込み、追針の始点を探る。
追針の始点位置を割り出したが、ASA設定に傾きが出てしまった。
即ち、感度25から1600迄動かせず、印字されていない部分が現れる。 ASA歯車の歯を加算・減算して設定を満足させた。
ようやく低・高感度側に同量の、のりしろを振り分けることが出来ました。
情報を持たない民具を分解するのは、パンドラの箱を開けるようなものであり、開けるときに目を瞑ってはシャレにならない。
そろそろ、梅雨明け間近のようで、お化け屋敷に涼を求めるが、涼が伴わない歯車屋敷に木戸銭は払わないようにしたいものです。
日本橋店中古売場 田口由明
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。