修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.07.28
カンテラ兼用かと思われる多機能ベークライト製のカメラでは無かった。
BROWNIE HAKEYEは、純然たるカメラである。
裏蓋を開けると使用すべきフィルムの種類が印刷されている。
タイプ620は、生産中止で入手が出来ない。カメラ名がフィルムの呼称となったブロニー・120タイプと同じであるが、巻き付けてあるスプールが細身なのです。
120タイプを流用するには、620タイプのスプールに巻き直して使用するが、巻き取り側にも必要で、2本ないと使用できない貴重なスプールです。
現像を依頼するときには、必ずスプールを返却してもらおう。
化粧板を止めている4本を外すと、レンズ保護硝子・ビューレンズ・ルーペが一度に外れてくる。注意して外さないと硝子類がコロコロと転がり破損しかねない。
アングルファインダーのミラーも簡単に外れる。
この辺の作りに無駄は無い。
所が、ビックリである。何とミラーが表面蒸着になっておらず、風呂場の鏡と同じ仕様になっている。光学ミラーは重複像を防ぐ意味から表面蒸着とばかり思っていたからである。
50有余年前は、見えれば良しとの大陸的おおらかさなのかも知れない。
フィルム室側から見える2本ネジを外すと撮影レンズの清掃が出来る。
カビやクモリで汚れていたが、素硝子のお陰で驚くほど綺麗になる。
現代のレンズは曇ればバツであり、素材の進歩は逆の感がする罪作りでもある。
2速のパチンコシャッターは単純機構であるが故にバランスを崩すと手に負えない難しさがある。バランスが崩れた時、心療内科に出向いても直らない。
上記の画像は、Bの状態で、Bレバーが円盤の回転を途中で通せんぼして成立する。
シンクロ機能は、単純明快で分かりやすい。
Bレバーを外すと、1/30の速度になる。 レンズのF値は16で、当時のフィルム感度には丁度良い仕様のようだ。
ベークライトは人類が始めて作り出した合成樹皮です。
原料はコールタールから分離されたフェノール(石炭酸)とホルマリンを化合させ、フェノール(石炭酸)の利用法の実験中に作り出された。
軽く・硬く・熱に強く・電気絶縁性に優れ、加工のし易さからカメラに採用されたものと思う。
日本橋店中古売場 田口由明
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