修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.07.29
鏡筒部を分離したヘリコイド部。
1から4のネジを外し、バヨネット環を分離する。赤丸のネジは外さない。
赤丸のネジを外してしまうと、余分な作業をしなければならない。
絞り軸ネジを外し、絞り環を分離する。
絞り軸ネジは、絞り値環に連絡する貫通ネジとなっている。
1から3のネジを外し、距離環を分離する。
深度環を止めている3本ネジを外し、分離する。
深度環を分離すると、回転運動を直進運動に変える直進キーが現れる。
直進キーを止めているネジを外す。
直進キーにある調整ネジは楔型で、ヘリコイド左右ガタの調整用をする。
長年の使用により直進キーや直進キー溝の摩耗によるガタが発生するが、良く使用する範囲と使用しない範囲に摩耗の差異が起き、調整ネジによる近距離から無限迄、満足させることは出来ないので、調整ネジの送り込みに注意する。
直進キーを外すことにより、内ヘリコイドを反時計方向に回す事が出来、終端位置となる。
大方は、罫書き線があるが、無い場合は罫書く。
組み立て時は、終端位置を合わせれば位置が出る。
中・内ヘリコイドを外ヘリコイドと分離し、内ヘリコイドにある制限板を外す。
内ヘリコイドを僅かに反時計方向に回すと、終端位置になる。
制限板のネジ穴等が中ヘリコイドのどの位置にあるかを見定める。
分離した各ヘリコイドは、Aベンジンを浸したスポンジで清掃をする。
グリスを塗布するに絵の具筆でも良いが、グリスを塗布するに最適な塗り筆もある。
後は、逆に組み立てれば往年の回転感触が蘇る。
此度のニッコール標準レンズは、是非とも蘇らせて欲しいとの依頼であった。
手入れをして道具は使用されてこそ道具と思う。
そして、購入時の感触に触れながら使い続けて欲しいと願うばかりです。
日本橋店中古売場 田口由明
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。