修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.09.10
引き渡しを致しましてから数日「FRレバーが重いのだが?」と相談に見えました。
確かにR位置にしますと、かなり重くなります。
前回のお預かりの際、上カバーを分解したかったのですが、シュー止めネジが固く、奥歯が磨り減りそうなので諦めました経緯はお話済みでした。
エイヤーと言うわけに行かず短期入院となりました。
力の入れ具合と治具を選びながら、やっとの思いで外すことが出来ました。
現れた機構は単純です。巻き上げノブを廻すと、蒸気機関車の動輪に似た1の歯車が回り、サイドロッド2が赤矢印方向に引き寄せられ、3のシャッターセットレバーを動かします。
問題のR位置にするときに重たくなる原因はと申しますと、遊離レバーを引きつけている引っ張りバネにあります。
この遊離レバーの下側にアイドル歯車が取り付けてあり、引っ張りバネの力量で、次に位置する歯車と咬合をしています。
引っ張りバネの力量が弱いと咬合が外れる恐れがありますね!
相撲で言うなら「脇が甘い、甘いと差されてしまいます」
差したり切ったりしていますと歯車が禿げ山になります。
R位置にするには遊離レバーを逃がさなければなりませんよね!
そうです、引っ張りバネの力量以上に力を加えなければなりません。
しかるに部品が噛んでいるように錯覚をしたのです。けれども裏付けが必要ですので苦心の分解を致しました。心は、ルンルンです。
赤丸部の接触部にはモリブデングリスを塗布して軽減を致しました。
楽屋裏が解りまして安心して説明が出来ます。
日本橋店中古売場 田口由明
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