修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.10.10
「稀少機種のペン3.5が良いね!でも、動かなくなってね?」と診断を仰ぎに来店されました。フィルム室側から楊枝でシャッター羽根を触ると開いた。
見立ては「羽根油ですが、入院しますか?」
依頼者:「その様な点検方法があるんだ~ぁ」「著者に任せるよ」
と預かることになりました。
ヘリコイドを廻すとかなり重い。グリスを拭うと経年変化で固形石鹸間近である。
スポンジにベンジンを含ませ施条を洗浄する。
秒時環や指標環に錆や汚れがあり、綺麗にした方が気持ちが良いだろうと、序でに洗浄をする。
洗浄が終わるとクロームメッキの光沢が蘇る。
シャッターを分解し、油分の湿潤を確認すれば不可解な湿潤(赤丸部)である。
それとも、羽根油の初期状態か?僅かな油分が機能を停止させる。
過分な油が残っていれば同じ症状を起こすので、制御部の部品を外し、ベンジンで洗浄する。
スローガバナに注油する場合は、特に注意が必要です。
過分な注油は、歯車軸が回転する毎に遠心作用により油分の湿潤を招きます。
全ての動作の源でもあり、肝心要な注油箇所です。駆動レバー軸の状態を確認し、錆等が無ければ注油をして駆動レバーを組み込みます。
透明感あるファインダーに越したことはない。
ペン最大の難所に差しかかる。此処にはエポキシ系の接着剤が使用されており、剥離には細心の注意が要求される作業だ。
長き時を経ても接着力を保持している場合はレンズや硝子の損傷に繋がる。
慎重にカッターナイフで少しずつ削ぎ落としていく。
硝子を外すことが出来ればかなり綺麗になる。
2枚の対物レンズは、無理に外さない方が良さそうです。硝子は何とかなるがレンズを破損させれば万事休すとなる。
「君子危うきに近寄らず」で、此度は硝子の分離のみとする。
日本橋店中古売場 田口由明
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