修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.11.18
「他では直らないンですよ!大事なカメラでね!」と囁くように依頼をされたのです。
「動くようになれば、もう一度写真を撮りたい」と話す、お客様の熱意は熱い。
レール面より座金を外せば鏡筒部が分離する。
鏡筒部にある、前・後玉、化粧環、秒時環&絞り値環と外していく。
秒時制御部が現れ、シャッター羽根を強制開放すれば持病だね!
僅かに湿潤した油分は、シャッター羽根の開閉を妨げる大きな力となる。
シャッター開閉環を押さえている押さえ環の裏側に油分の溜まり場(赤丸部)が見られる。 分解せず、シャッ ター羽根の洗浄のみで組み立てれば、毛細管現象で元の木阿弥となる。 Aベンジン浴で洗浄する。
開閉環の収まっていた溝部も油分と金属の摩耗に寄る汚れがある。
同じくAベンジン浴で洗浄し、溝部には微粉末の二硫化モリブデン粉を塗布する。
滑らかな動きが蘇る。
上カバーを外し、ファインダー部を清掃しようとしたら、ビームスプリターの端に怪しげな物体(カビ)が住み着いて居るではないか?
其れも、蒸着面である。局所に限定して生息しているが、胞子を飛ばす能力は持ち合わせている。
危なかったね!蒸着全面に広がれば只の硝子と化し、合致像が失われる所でした。
又、発生した場所が端であったことも幸いしました。
中央の合致像の位置に発生していたら、AF機のシャッターミラーの移植となり、大変な作業になるところでした。
日本橋店中古売場 田口由明
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