修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.11.21
興和(株)の前身は、興服産業とその関連会社である大成兵器(航空機部品製造)からなり、終戦後、軍需品の納入で関係のあった豊川海軍工廠から光学技術者と陸軍衛生材料廠から医薬技術者を招き今日に至っている。
「お前、臍が無いじゃないか」のCMの緑蛙のキャラクターでお馴染みです。
故障はと言えば持病の羽根油である。
入社当時、依頼品があると自転車で中央通りを銀座方向に走らせ、今は無き日本橋東急百貨店の交差点を左折、昭和通りを越え、高速道路を潜った右側に修理受付所に配達したものです。
未だありますかね?ありませんよ!どうしようかね!
日本橋にあります興和の会社で取り次ぎをしてくれるンです。(修理不可の場合もあります)律儀な会社です。
巻き上げますとチャージ環を赤矢印方向に押し、シャッターをセットします。
之から前板を外しますので、セットネジを緩め真鍮色の部品を外します。
組み込む際は、シャッターセットに過多・過不足にならないよう移動量(緑点線)の調整をします。
時の経過が長すぎまして擬皮の性質の性が抜けております。
4本のネジを外せば本体と分離します。
あれ~、距離計ごと前板が外れてきました。初めて見る仕様です。
このような発想もあると納得です。
遮光枠を外し、座金と考え、締め付け座を回してシャッターを分離しようとした所、途中で回転しなくなりました。可笑しいな?
締め付け座を元に戻し、座金を外すと分離が出来ました。
分離をしてみれば、その仕様が分かりますから納得です。
締め付け座はチャージ環・レリーズ環を押さえている役割で、シャッター部を前板に固定してはいないンです。新たな情報を残り少ない細胞に記憶させました。
性が抜けまして、炭化したような擬皮の養生には閉口しました。
作業机に飛び散るし手が汚れます。養生したのは良いのですが、型紙作りが待っています。
持ち合わせの山羊皮で外見の化粧をいたしました。
天然素材ですから、手触りは良好です。この後、半世紀以上もちますから。
同僚も手触りの良さと、汚れを落として見違えた民具を喜んでくれましたが、初めて手がけますから胃が少し痛むようです。
キャベジンでも飲みますか?
日本橋店中古売場 田口由明
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