修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2008.12.05
底カバーを外すと現れる簡素な巻き上げ機構部です。正にシンプルisベストです。
擬皮を剥がし、シャッター部を分離された本体側で、電流計が組み込まれましたEE機構部が大部分を占めています。
分離しましたシャッター部を組み込む際に約束事があります。
その約束事を思い出しながらの作業となりました。
昔の事は思い出しますが、最近の事柄は、記憶に止まらない年齢になってしまいました。
典型的な加齢現象です。
後玉群・座金・リード線2本・連動レバーを外せばヘリコイド部とシャッター部とに別れます。連動レバーの取り付け方向に約束事があります。
前玉群・受光部(セレン素子)を分離しますと、前枠を外すことが出来ます。
そしてシャッター機構部が姿を現します。
前枠にはシャッター秒時の情報を伝える連動軸があり、シャッター秒時に応じたカム溝で回転して連動レバーに伝えます。
連動レバーはEE機構部に情報を伝えるのです。
ありゃりゃ、スローガバナのアンクル部のピンが曲がっています。
シャッターが切れないからとシャッター秒時環を無闇に回した結果です。
ヤットコで少しずつ修正をしました。修正中に折れて仕舞えば、嫁さん探しをしなくてはなりません。
作動不具合の場合は動かしてはいけないのです。
絞り羽根にカビの発生も見られますので洗浄をします。
シャッター羽根も同じように洗浄します。
帰り道は、組み立て要領を思い出しながらの作業でした。
何で外部生としてキャノネットが入院してきたかと申しますと。
何度か来店されておるお客様が、何とか直して欲しいと頼まれたのです。
最初は大変なのでとお断りしたのですが、何度も来店され、遂に押し切られてしまいました。
所有者は、自分と同じ時を刻みましたキャノネットに愛着をお持ちなのでしょう。
之からも良き伴侶として大事にご使用されることを願っております。
日本橋店中古売場 田口由明
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