修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.01.16
親しい方より、良い本がありますと、「仕事が人をつくる」岩波新書を頂きました。
10人の技術や技能を紹介されており、引き込まれように読んでいます。
レンジファインダーの直角プリズムを清掃するのに苦労したことがあります。
外せば簡単なのです。しかし、調整が面倒なので外したくない。
そんな時に竹細工師から竹を薄く削ぐ方法を教えて貰ったことがあります。
街を歩けば、写真機修理に応用できないか?キョロキョロ挙動不審な仕草をしてしまいます。その様な好奇心が今日を築いたと言えましょう。
修理の手引きを執筆した時もどう書けば読者に伝わるかと、何度も書き直しました。
後日、ある方がもっと執筆してね!と励まされましたが、ある時、余り執筆してると言わないほうが良いよと、覚めた目で言われた時を忘れることは出来ません。
本の中で岡野雅行氏が紹介されています。岡野工業株式会社の社長で無く、代表社員です。
4年前でしょうか、テルモと岡野工業が共同開発した痛くない注射針、商品名ナノパス33の事を知りました。
注射と言われれば、痛いが相場ですが、糖尿病で一日に何度もインシュリンを注射しなければならない患者用に痛くない注射針、夢の注射針を開発したのです。
詳細に付いては、以下のアドレスを閲覧下さい。
http://hochi.yomiuri.co.jp/special/nipponjin/news/20080129-OHT1T00170.htm
では、何でナノパス33に興味を抱いたかです。
写真機の修理も注射器を使用します。中に希釈したオイルを入れ、幕軸等に注すのですが、従来の注射針では隙間が狭く注せない事がありました。
苦心して開発した方々には申し訳ありませんが、細部までオイルを注すことが出来るであろう注射針は、朗報と思いました。
手に入れ、既存の注射針に改造を施し、使用すると使い勝手が宜しいのです。
子会社時代技術力?を認められ、仕事をしてくれないかと頼まれたことがありました。
しかし、検査に合格しません。
引き受けた以上面子があるのか?当時の責任者と先輩は断ることが出来ず、私に丸投げしたのです。当時の私にはそれだけの技量はありませんでした。
仕方がありません。研修に赴き技術を習得したのです。
教えて頂いた達人は、修理要領では直せない調整法を手取り足取り教えてくれました。
そして、多くのことを学んだのです。正に仕事が、後の私を育てたのです。
当時、親身になってお世話頂いた方とは、今でもお付き合いをしております。
良い本をお世話頂きまして有り難う御座います。
日本橋店中古売場 田口由明
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