溜息を喜びに（Condor V2 編 その１）

「見たこともない民具がありますよ！」と好奇心を擽ります同僚です。
確かに「お初にお目に掛かります」と挨拶しちゃいますね。てな訳で入院です。
何かに似ていません？フロントカバーがニコンS2に似ています。

オマケに枚数計部がニコンS２にそっくりです。
巻き戻しクランクの下部にありますメモ盤は、S2のシンクロセレクターを意識したのでしょうか？

見て下さい。この綿埃を、長い間放置されていたのでしょうね。
どれ位の時間、身じろぎもせず孤独の中、埃が沈降するのに堪えていたのでしょうか？
其れは、民具の独り言として、何時か存在に気が付いて欲しいとの思いもあったと推測致す次第でございます。

先ずは、お顔（フロントカバー）の汚れを落とし美白が蘇りました。
鈴木その子の美白化粧品を使用したのではありませんです。
レンズも見かけ上綺麗になりましたね！ファインダー対物レンズも研磨剤（酸化セリウム）で綺麗になりました。

軍艦部は見違える程綺麗になりましたでしょう。
心持ち民具が軽くなった気がします。

実際の所、これからが大仕事になっていきます。
巻き上げは止まらない。レリーズは戻らない。シャッターは切れない。
ファインダーのビームスプリターは腐食で見えない。
ヘリコイドの距離環は乳歯の生え替わり時期でグラグラと来れば、思わず溜息が出てしまうのでございます。余り溜息を吐きますと幸せが逃げると申すようです。
少しずつ吐いた溜息を喜びに替えるため作業を致すことに致しましょう。
シャッターは、裏側より座金を外し分離済みです。
擬皮を剥ぎ、６本のネジを外しますと前板が分離します。

距離環のグラグラを直したいのですが、被写界深度環を固定しているネジが見あたりません。填め込みか？と引っ張りましたがダメなのです。
其れではと拡大鏡をとりだしますと、線条がみえたのです。溶剤をながし、掴み所が無いほどの幅を工夫しまして外れて頂きました次第です。
その結果、距離環を止めている剣先ネジが駄々を捏ねまして緩んでおりました次第です。
長くなりますので、溜息の続きをお待ち下さい。

日本橋店中古売場　田口由明