修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.04.10
とある企業の秘書課長さんが、何とか頼むよと来店。子会社時代からの付き合いです。
年寄りの寿命を縮めないでくださいと答えましたが、入院させられてしまいました。
見れば広角ファインダーが春霞で霞んでいます。桜吹雪でも見えればシャレになるんですがね。広角ファインダーに霞が掛かっていると、とても危険な作業になるんですよ。
本来は、距離計を下ろし、接着してある対物プリズム等を剥がして清掃しますが、万が一破損させますと万事休す。触らぬ神に祟り無しなんです。
そこで、祟られないようお払いをするわけですね!
擬皮を剥がし、前板を分離します。ヘリコイドを作動させる3連の歯車が見えます。
序でに気持ちよい回転に戻すため洗浄・注油を致します。
前板を外された本体側です。
距離計の一部とシャッター機構部が露出します。
直角プリズムに春霞。3面を清掃しませんと合致像が鮮明になりません。
問題は斜辺部分にありで隙間がインカの石組みか?カミソリの刃一枚の隙間も無いことがあるのです。今回は麻紙(小津産業の清掃紙)で綺麗にすることが出来ました。
隙間に余裕がある場合は、竹細工師に教わりました竹を薄く削いだ物に和紙を被せ清掃します。
祟られず、銅鏡(直角プリズム)に透明感が戻りました。
いよいよ神域に入ります。広角ファインダーを組み込んだ為に、光路が屈折してあるんです。その仕様の為に小さな直角プリズムを貼り合わせて導いている側面に春霞が鎮座しています。距離計を下ろせば楽なのですが、万が一接着が剥がれればブラックアウトで広角ファインダーは闇の中となります。
そこで、逆鱗に触れず、祟られないよう道具を駆使して清掃を致します。
寿命の縮む思いを致しまして春霞に退散戴きました広角ファインダーです。
ユニバーサルファインダーの視野枠のゴミやカビも取り払われて鮮明になりました。 兎も角、修理をすることは危険と隣り合わせなのですよ。 危険承諾書を取り交わしましょうかね?
日本橋店中古売場 田口由明
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。