修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.04.17
大森幹久氏の「東京の職人」淡交社に収録されています念願の銅おろし金を求め、和光市へ出掛けてきました。閑静な住宅地にあります工房の戸を開けますとリズミカルな音色が響いております。
わざわざ出掛けなくても取扱店で求めることが出来ますが、職人の手から求めたかったのです。丁度、製品を発送梱包してしまい、未だ裏側の返しの目立てが残っています。時間はありますか?の問いに十分ありますと答えると、5分ほどお待ち下さいと、目立てを始めました。17列、一列21目程を鏨と金槌で目を起てていきます。
平岩弓枝の出世作・41回直木賞作品「鏨師」の様に、おろし金の目を見れば誰が目立てをしたのか解るのかも知れません。この目で目立てを見ましたおろし金は宝物となりました。
1列が終わりますと、鏨の先に椿油を付けます。 左手に持ちました鏨を横にずらしながら、金槌をリズム良く打ち下ろしていきます。
銅板には鏨が擦った跡はありません。目のみなのです。となると、銅板と鏨は離れていると考えます。金槌を打ち下ろし、目を起てて鏨を抜き、ずらします。 其れが直線移動にしか見えないのです。まるで鏨が踊っていると思わずにいられません。
作業台には、愛用の鏨と金槌がありました。
箱形おろし金の一列目を起こした所です。
返しの目を起こして完成です。
求めたのは3番全長24.5cmX幅15cmで重さ400gの大きめの家庭用です。
4番の全長22.5cmX幅13cmで重さ320gと箱形かにするか?迷いました。
柄の握り具合とおろし金の定番型で板型に致しました。 表が、大根用で裏が薬味用になっています。
薬味には大げさな事もあろうかと、亀型の薬味用も求めてしまいました。
縁起用に鶴亀型がありますが、亀型は汁がこぼれない皿形で選びました。
鶴は、汁が流れる仕様になっています。
裏側の薬味用の目立てです。亀型の裏には目立てがありません。甲羅の文様があったら面白いのになぁ~と、思ったりします。
代金は、定額給付金に消費税分足りませんでした。
日本橋店中古売場 田口由明
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