修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.05.26
浅草寺(東京都台東区)の雷門と大提灯は、100年近く仮設状態のままになっていたところ、1960年に松下幸之助氏が寄進して現在の形に再建されたのです。
大提灯の底部に龍の彫り物があります。龍は雲を呼び雨を降らし、建物を火災から救うとされています。
雷門を後にしまして合羽橋道具街に向かいます。
70メシュの篩の持ち合わせは在りますが、何せ目が細かい。 抹茶と蕎麦粉を馴染ませるためには60メシュの篩が良いとのことで、たかさご会で茶蕎麦大王と呼ばれる小生は求めに出掛けたのです。
番手(mesh)の意味ですが、1インチ(25.4mm)幅に編み込まれている線(ステンレスや真鍮が多いようです)の数を表しているのです。たとえば60番の篩の場合、25.4mm四方に縦横60本の線が走っていると言うことになります。また、線自体にも太さ(線径)があり、JIS規格では60番の場合0.17mmの線を使用することになっていますので、0.17×60本=10.2mmは線自体の太さがしめることになります。
そうしますと、結果的に目開は(25.4-10.2)÷60=0.25mmという計算になり、25.4mm四方の中に0.25mmの穴が1200個開いていると言うことになります。
そこで、編み目を撮影してみました。XD-Pictureに印字してありますMの幅が2mmです。黒い線が線径で0.17が5本。目開き0.25が5個と言うことで、合計2.1mmになりました。絨毯も縦糸の数で値段に違いが出ますが、縦糸の数が全てでは無いようです。例えば、カシャン・タブリーズ・クム産ですと1ラージ(凡そ7cm)に幾つ結び目があるかで40ラージ・70ラージと表します。 因みに、篩の値段は1,850円でした。
撮影には小道具を使いファインピックスZ1を使用しましたが、トリミング機能がありません。従来のF-420のお世話になります所が不満なのです。
途中、砥石屋がありまして、寄り道してしまいました。
天然砥石とは、火山岩が風化して非常に細かい粒子となり、雨水などにより分離して大きさの揃った粒子が適当な接着物質と堆積し長い時間の地殻変動の圧力がかかって出来た水成岩です。
店に入りますと、岡山から砥石を買いに来た女性客がおりました。何本も砥石を買いましたが、所持の刃物が砥石を嫌うのか?思う様な切れ味にならないと言います。
80歳くらいご主人は、高い砥石を買えば切れるように研げるのは間違いで、砥石が刃物を嫌うのです。刃物に合った本物の砥石を選ばなくてはと語ります。 そして、とある仏師が買い求めた砥石で研ぎ、観音様を彫りますと、立て続けに注文が入ったと喜んでいたと申します。
又、宮大工が求めた砥石は貴重な砥石の様で、鉋を掛けました柱は掴むと滑り掴めない仕上がりになりまして棟梁が喜んだと話します。
その砥石は上の画像の値段に0を追加した高価な砥石でした。
そして、実直なお店の噂を聞きつけ、全国から砥石を求めに来るようですが、気に入らない客は「帰れと」追い帰してしまう頑固さを持ち合わせているようです。(羨ましいですな~)
そんな宮大工の話を聞きまして、思い出した読み物がありました。
香苗は軽くうなずいて、麻太郎が手にしている鉋屑を眺めた。
「随分と薄くひけるのですね」
「叔父上がおっしゃったのです。棟梁のひく鉋屑は薄いだけではない。表面に艶があると。。。本当にその通りでした。」
香苗が麻太郎の手から鉋屑を取り上げて陽に透かすようにした。
「本当に。。。なんともいえない艶がございますのね。東吾様のおっしゃる通り。。。」平岩弓枝著:御宿かわせみ32巻(十三歳の仲人より)
日本橋店中古売場 田口由明
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