修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.07.27
この所ペンF系の修理をしていまして、同じ様なクローン記事を書くわけにも行かずにおりました。そこへ久し振りに老いた脳をリセットするべき小物民具がやって来たのです。
対物レンズが濃霧状態で霧笛が聞こえてきそうです。
二枚の対物レンズを酸化セロックスで研磨しましたら透明感が戻りました。
接眼レンズにもクモリがあります。3本のセットネジを外しますと分離できました。
同じように酸化セロックスを使用してみました。
制限ネジを外しますとパララックスカムが外れます。
固定環が固くて外れません。シンナーを流し、木槌で軽い振動を与えますと外すことが出来ました。
之は、振動を与えることで素材毎の振動に違いが起きるのを利用したのです。
そうしますとネジ切りの咬合部に僅かな隙間が出来まして、外しやすくなるのです。
逆に車や電車の点検にハンマーで叩くのは、音の響きで緩んでいるかどうかを確かめます。
レンズ焦点カム環は、レンズ焦点距離の表示環と焦点距離を移動させるカム環の2点で構成されています。カム軸を外します。
移動レンズ群が抜けてきました。此処も白濁したレンズがあります。
残念なことにカシメてあり、貝の口を開けることが出来ません。仕方なく両面だけの清掃となります。作動を滑らかにと酸化したグリスを拭き取り、新しいグリスを塗布します。
最初と比べますと格段に透明感に違いがあります。
小物って主役を引き立たせる役割がありますよね!又、この様な小物があったんだ~、と小物を見つける楽しみが在りますよね!その様なお店って楽しめると思うのです。
探し出す楽しみと提供する喜び。其の一翼を担いたいと考えております。
日本橋店中古売場 田口由明
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。