修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.08.26
暖かみのあるニッケルメッキされた沈銅方式が便利だね!使い勝手も良いしと、同僚が自慢する。分かった、分かったと民具に執着のない小生は生返事である。
所でね!シャッターが開かないのだけど!!来たよ!危ない危ない。
気が向けば診察するから、そこいらに置いておけよ、と少し乱暴である。
悪かった。真面目に直すからとさ。と答えると安堵したようである。だけど未知の世界だよ。
機構は単純で在るからして、シャッター機構部を剥き出しにして所見を確認する。
レンズシャッターの持病か?羽根開閉環が重い。
開腹するか。。。
裏側の座金を外せば、いとも簡単に本体から分離できる。
レンズを外し、絞り値板を外せば社名盤を止めている固定ネジが現れる。
固定ネジを外し、社名盤を左に回して外す。秒時カム環も外す。
チャージ環の引っ張りバネの掛かり(赤丸部)を外し、分離する。
シャッター前室との接合部は清掃し、二硫化モリブデングリスを塗布する。
裏側にある3本ネジを外せば前後に分離する。
初期にコンパーの仕様が見られる三枚羽根はネジ止めだ。其れも手作りに似ており、外した場所は記録しておいた方が良さそうだ。
羽根開閉環も2本の手作りネジとスローガバナの庇で押さえられている。
このネジの外し所も記録しておいた方が良さそうだ。
各々を洗浄し、溝部に二硫化モリブデン粉を塗布する。
後は帰り道、気楽にと思いきや甘くはありませんでした。
組み込んで、シャッター後室のネジを締めると作動が可笑しいのです。
組み込み違いか?と思ったら、シャッター後室が潰れているのです。
金床を二つ並べシャッター後室を挟むように置き潰れている場所を叩き出します。
傾いていたシャッター後室が平行になりました。
お~い。直ったぞ。楽しませて貰いましたと引き渡したのです。
日本橋店中古売場 田口由明
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