修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.09.08
オリンパスペンが好きでね!と持ち込まれたレンズは珍しい焦点距離でした。60mmは偶に手入れをしますがね。60mm<70mm<100mmう~ん、違いがあるのでしょうな~。好きなだけあって道具として使われた感が顕著です。
処が白内障を患い・絞り羽根に油分の汚濁の所見です。
急がないし、手が空きましたらお願いしますと外部生の入院です。
さてと、何処から腑分けをするか?設計者が同じなら大きな違いは無いと思い外観を観察します。前群レンズと鏡筒部に隙間があります。となると、前群レンズは単体で分離出来そうです。セットネジがありました。
通常ペンF系レンズマウントは3本のネジで固定されていますが、4本のネジがあります。
X印のネジを緩めましたら抜けてこないのです。内部にあります部品を止めているネジでした。(緩み抜けてくるか?来ないかで、怪しいネジか?の診断をします。)
1から3のネジを外しますとヘリコイド部と鏡筒部とに分離できます。
1の押さえ板には絞り値環クリックの鋼球が組み込まれています。2の押さえ板を外しますと絞り値環が外れます。
後群レンズも外します。
絞り値カム板をはずします。
絞り値カム板にあります岬は絞り値環の窪みに咬合します。
絞り値環を分離しますと1から3のネジが表れ、絞り羽根室を外すことができます。
絞り羽根に油分の湿潤が見られます。
絞り羽根作動環を分離し、Aベンジンで絞り羽根室・絞り羽根を洗浄します。
組み込み時には、絞り作動環と絞り羽根室の滑走接触面に二硫化モリブデン粉を塗布します。ペンF系のレンズの絞り作動力量は出来るだけ軽くしてあげます。
標準レンズの1.4と機構的に酷似していますが、1.4と比べますと絞り羽根開閉時の動作調整は楽ですね。
レンズの薄皮を剥ぎまして、気持の良い透過像が見えるようになりました。
喜ぶ顔を思い描きながら帰り道を急ぐことにいたしましょう。
この記事は、埼玉菜園への往復の車内で作成しました。
何時もは自宅での作成ですから気分転換にもなり、乗車時間が短く感じたのです。
間もなく秋の彼岸で秋分の日が巡ってきます。夜と昼の長さが入れ替わる追分の日です。
日本橋店中古売場 田口由明
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