修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.09.09
往年の名機であるペンのデザインを冠したデジカメのEP-1が発売され、ペン系のカメラに人気が集まっている。他店ではペンを初代から展示して旗振り役とし販路拡大に役立てている。残念ながら当店舗は寂しい限りである。別に努力を惜しんでいる訳ではありませんが、人気機種は足早に過ぎ去って仕舞いまして補給路がままならないのです。
そんなところへペンEEが入院してきたのです。外観の状態は○である。
けれども、暗部であろうとシャッターが切れてしまう。何とかならないか?と、腑分けを致すことにしました。本体からシャッターを分離したところです。
先ずは、絞り羽根に油分やカビによる固着が無い事。固着があると同じ症状になる。
セレン受光素子が取り付けてある場合は、レンズキャップをする。
シャッター単体の場合はそのままレリーズ軸を押します。
ロック板(2)が赤矢印方向に滑り、黄色点線部分にレリーズ軸が位置すると、ロックが掛かる。
ロック板の滑りが悪いとレリーズ軸は、尚も下方に押されるのでシャッターが切れてしまう。
では。検証をしてみます。
ロック板を外し、レリーズ軸を押しますと針押さえ板が自由に動きますからレリーズ軸との隙間がなくなります。(一つ手前の画像と見比べて下さい)
結果、ロック板に問題有りとなりますね。
ロック板の滑走面を確認しましょう。黒く汚れています。油分にゴミ等が混ざりまして粘っていたのです。ロック板と止めネジを洗浄します。
又、取り付けられているシャッター部の滑走面も清掃しておきます。
綺麗になりましたね!このまま組み込みましても動きは良いのですが、二硫化モリブデン粉を塗布すれば尚結構です。手持ちが無い場合は、鉛筆の3Bでも代用が効きます。
余分なモリブデン粉・鉛筆粉を拭うのを忘れてはいけません。
絞り羽根の動きに問題が無ければ、上カバーを外し、巻き上げノブを外せば解決出来ます。
この画像は、前記の状態で清掃後のロック板の動作確認をしたところです。
レリーズロック位置(白丸部)に速やかに動作します。
ファインダーを覗けば、黒鉄ヒロシの漫画「赤兵衛」のアッカンベ~の赤ベロが見えると思います。
此方も、それに答えてアッカンベ~をして元に戻すことに致します。
日本橋店中古売場 田口由明
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。