修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.12.17
1930年代のアメリカの雰囲気がありますRetina118です。
とても状態が宜しい。でもシャッター作動に難点があるとの事で外部生の入院となりました。
依頼されたお客様は、この時代のRetinaに愛着があるのか?しばしば依頼されてくるのです。少しばかりお待ち頂いちゃいましたね!申し訳ありません。
本体から分離しましたシャッターから前・後玉を外します。
カントリーの雰囲気の銘板を外しまして、豚鼻ネジの固定を解除します。
固定盤を赤矢印の反時計方向に廻し外します。
固定盤・秒時カム盤、引っ張りバネの掛かりを逃がしチャージ環を外します。
作業風景をチェックしておりますお客様が「之は持っていないんだよ~ね!
プシュレリーズ付きは貴重品ですよ。一時は万からしたのだけどね!」と垂涎の的です。
「外観も綺麗だし売り物かね?」いや預かり物ですよ。がっかりする姿がありました。
其れでは、分解に話を戻しましょう。
赤丸のネジを外し、レリーズ受けを外します。
シャッター側壁に位置しているレリーズ連絡板のバネを逃がして軸より抜きます。
Mバネも外します。レリーズレバーも軸から抜いておきます。
T&B作動レバーが取り付けてあります。注意しながらの作業です。
シャッター裏側の3本ネジを外しますと、身二つとなります。
シャッター羽根は左巻きに組み込まれています。
押さえ板を外し、開閉環:開閉環溝を清掃します。二硫化モリブデン粉を塗布して組み立てます。
絞り羽根にも油分の湿潤が見られます。プリセット羽根の組み込みは大変ですね!
長くお使い頂くために洗浄します。
絞り作動環とシャッター後室の滑走面はグリスではなく蝋を塗ります。
理由は、油分ですと湿潤に繋がりますからリスクを少しでも避ける意味があります。
始めはさほど問題は無いのですが、最後の4枚目当たりから羽根の下へ、下へと組み込んでいきますね。そうしますと、どうしても先に入れました羽根が動いてしまいます。
生真面目に等分に組み込もうとすると夜が明けてしまいます。
適当な配分で押さえ板を乗せます。そして、先が曲がっているピンセット(INOX #7)
で絞り羽根ダボを挟み押さえ板の穴に入れていきます。
絞り作動環を動かし乍ら上下のダボが収まっているかの確認をします。
此処で、絞り作動環を最小絞り迄動かしてはいけません。
少し動かして、綺麗に光彩の形が出来たかの確認が必要です。
如何に夜の長い季節と言えプリセット絞りを組み込む際の参考にして下さい。
日本橋店中古売場 田口由明
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